第二章 ~松陽~(83P)
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それを見た銀時は、面白くなさそうに言う。
「さっき俺が言った事を言い換えただけじゃねーか」
「いや、テメェのはただ柚希を追い込んでただけだろ。桂は言葉を選んでるからな」
「何だよそれ! 俺がバカみてェな言い方しやがって」
「へェ、自覚があったのか。」
「高杉てめェ!」
どこまでも犬猿の仲の二人に周りの者たちは呆れた顔をして見ていたが、そのいつも通りの光景は柚希の心を明るくしてくれたようだ。
「ほんとバカね」と言った柚希は、やれやれと苦笑いしながらも口角を上げて銀時を見つめる。
「な、何だよ」
その視線の意味が理解できず戸惑う銀時だったが、涙が止まっている事だけは分かり小さく安堵した。
「あ~……言いたい事があるなら言えって。ここにいる奴らはもう何を聞かされても驚かねーぜ」
先ほどの高杉の言葉を意識してか、銀時が少しだけ考えながら柚希を促す。
自分に対して気を使っている銀時の姿にクスリと笑った柚希は、やがて何かを決心するように大きくフッと息を吐くと、真剣な表情を見せながら言った。
「攘夷戦争」
「は?」
それは想像もしていなかった言葉。
銀時はもちろん高杉も、桂ですらそのような言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
「すまぬが、先生と攘夷戦争とどう繋がるのかがよく分からない。まさか先生は元々攘夷志士だったとでも言うのか?」
桂が柚希の表情を伺いながら尋ねると、柚希は静かに首を振る。
「違うよ。そうじゃなくてね、親父様に繋がる情報は攘夷戦争にあるって事」
「攘夷戦争ってなァ、攘夷志士と天人との戦争だろ?……って事は、先生を連れ去った輩ってのは天人か!」
高杉がこぶしを握り締めて興奮気味に言ったが、これもまた柚希に首を横に振られてしまった。
「そこは分からない。攘夷志士が相手取っているのは天人だけじゃなくて幕府もでしょ? ただ今回私たちを襲った奴らが攘夷志士の敵である事は間違いないみたいだから」
「何でお前がそんな事知ってるんだよ。松陽から教えられてたわけでもなさそうだし、この数日お前は何をしてたんだ? さっきの扇子もお前が手を加えたわけじゃねェんだろ?」
緒方診療所に引き取られた日の翌日から、柚希が何度も外出していた事は知っている。だがそれは買い物や友達に会っているのだとばかり思っていたのだ。しかし今の話ではどうも違っていたとしか思えない。
「扇子はおもちゃのカラクリ師を万屋のおばちゃんに紹介してもらってちょっと、ね。あとは少しばかり情報収集をしたよ」
「何で俺にも声かけねーんだよ! 一人で動き回ってて、もしアイツらがまた来たら――」
「その時はその時よ。でも多分大丈夫。向こうは私たちが子供だと甘く見てたし、それに……」
「それに?」
遠い目をして口を噤む柚希に、桂が続きを促す。ちらりと桂を見た柚希は、そのまま視線を高杉、銀時と流していき、他の子供たちを見ると悲し気な笑みを見せた。
「さっき俺が言った事を言い換えただけじゃねーか」
「いや、テメェのはただ柚希を追い込んでただけだろ。桂は言葉を選んでるからな」
「何だよそれ! 俺がバカみてェな言い方しやがって」
「へェ、自覚があったのか。」
「高杉てめェ!」
どこまでも犬猿の仲の二人に周りの者たちは呆れた顔をして見ていたが、そのいつも通りの光景は柚希の心を明るくしてくれたようだ。
「ほんとバカね」と言った柚希は、やれやれと苦笑いしながらも口角を上げて銀時を見つめる。
「な、何だよ」
その視線の意味が理解できず戸惑う銀時だったが、涙が止まっている事だけは分かり小さく安堵した。
「あ~……言いたい事があるなら言えって。ここにいる奴らはもう何を聞かされても驚かねーぜ」
先ほどの高杉の言葉を意識してか、銀時が少しだけ考えながら柚希を促す。
自分に対して気を使っている銀時の姿にクスリと笑った柚希は、やがて何かを決心するように大きくフッと息を吐くと、真剣な表情を見せながら言った。
「攘夷戦争」
「は?」
それは想像もしていなかった言葉。
銀時はもちろん高杉も、桂ですらそのような言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
「すまぬが、先生と攘夷戦争とどう繋がるのかがよく分からない。まさか先生は元々攘夷志士だったとでも言うのか?」
桂が柚希の表情を伺いながら尋ねると、柚希は静かに首を振る。
「違うよ。そうじゃなくてね、親父様に繋がる情報は攘夷戦争にあるって事」
「攘夷戦争ってなァ、攘夷志士と天人との戦争だろ?……って事は、先生を連れ去った輩ってのは天人か!」
高杉がこぶしを握り締めて興奮気味に言ったが、これもまた柚希に首を横に振られてしまった。
「そこは分からない。攘夷志士が相手取っているのは天人だけじゃなくて幕府もでしょ? ただ今回私たちを襲った奴らが攘夷志士の敵である事は間違いないみたいだから」
「何でお前がそんな事知ってるんだよ。松陽から教えられてたわけでもなさそうだし、この数日お前は何をしてたんだ? さっきの扇子もお前が手を加えたわけじゃねェんだろ?」
緒方診療所に引き取られた日の翌日から、柚希が何度も外出していた事は知っている。だがそれは買い物や友達に会っているのだとばかり思っていたのだ。しかし今の話ではどうも違っていたとしか思えない。
「扇子はおもちゃのカラクリ師を万屋のおばちゃんに紹介してもらってちょっと、ね。あとは少しばかり情報収集をしたよ」
「何で俺にも声かけねーんだよ! 一人で動き回ってて、もしアイツらがまた来たら――」
「その時はその時よ。でも多分大丈夫。向こうは私たちが子供だと甘く見てたし、それに……」
「それに?」
遠い目をして口を噤む柚希に、桂が続きを促す。ちらりと桂を見た柚希は、そのまま視線を高杉、銀時と流していき、他の子供たちを見ると悲し気な笑みを見せた。