第二章 ~松陽~(83P)
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「あんた達なら避けられるのは分かってたしね。もちろん手加減はしてたわよ」
「手加減って……今のは何だ?」
頬を伝う冷や汗をぬぐいながら高杉が言う。
音と殺気で反射的に逃れる事は出来たが、その物を目で追えてはいなかったようだ。
どうやら側にいた桂も同じだったらしく、何かが飛んできた、程度の事しか理解は出来ていない。
他の者達に至っては、銀時が何を怒っているのかすら分かっていない状態だった。
「今のが見えていなければ、あの男はもちろん、下っ端の足元にも及ばない。私はこれで戦ったけど、あっさりと負けたのよ」
扇子を振り上げ、「銀時!」と叫びながら振り下ろす。その意味を理解した銀時は抜刀すると、飛んで来た玉を刀で弾き返した。
――が、時間差でもう一つの玉が飛んで来た事に驚き慌てる。
「聞いてねーぞ、柚希!」
そう怒鳴りながらも軌道は見えてはいるのか、すぐにその玉も弾き返した。
「言ってなかったからね。一つ増えてるわよ」
「マジかよ! いつの間に!?」
二つの玉を器用に扇子に収めた柚希は、それを見せつけるように手をまっすぐ伸ばすと、門下生達の顔を順番に見る。
「行くよ」
再びヒュッと音が聞こえた時には、銀時と高杉、桂以外の竹刀の鍔が割られていた。
「やっぱり避けられたのはこの三人か……親父様を本気で連れ戻したいのなら、せめてこの程度の事に対応出来ないと……殺されるわよ」
扇子を握り締め、冷たい眼差しで皆を見る柚希。そこには恐ろしい殺気が宿っており、子供たちは震えあがった。
「それが嫌ならやめておくことね。私程度に怯えているようじゃ、戦う事なんて出来ない。実際に行けばそこで行われるのは喧嘩じゃない。情け容赦の無い殺し合いよ」
「それでも行くというなら止めないけどね」と言った柚希の顔はとても恐ろしくて。
戦いよりも目の前の柚希が怖くなった子供たちが一人、また一人とその場から逃げ出し始める。
「今の柚希ちゃんの顔……前に絵本で見た夜叉みたいで怖い……」
そう言い残して去って行ったのは、柚希が最も親しくしていた女友達の小夜 。
数分と経たぬ内に子供たちの数は減り、結局最後までその場に残ったのは銀時と高杉、桂と他数名だった。
「手加減って……今のは何だ?」
頬を伝う冷や汗をぬぐいながら高杉が言う。
音と殺気で反射的に逃れる事は出来たが、その物を目で追えてはいなかったようだ。
どうやら側にいた桂も同じだったらしく、何かが飛んできた、程度の事しか理解は出来ていない。
他の者達に至っては、銀時が何を怒っているのかすら分かっていない状態だった。
「今のが見えていなければ、あの男はもちろん、下っ端の足元にも及ばない。私はこれで戦ったけど、あっさりと負けたのよ」
扇子を振り上げ、「銀時!」と叫びながら振り下ろす。その意味を理解した銀時は抜刀すると、飛んで来た玉を刀で弾き返した。
――が、時間差でもう一つの玉が飛んで来た事に驚き慌てる。
「聞いてねーぞ、柚希!」
そう怒鳴りながらも軌道は見えてはいるのか、すぐにその玉も弾き返した。
「言ってなかったからね。一つ増えてるわよ」
「マジかよ! いつの間に!?」
二つの玉を器用に扇子に収めた柚希は、それを見せつけるように手をまっすぐ伸ばすと、門下生達の顔を順番に見る。
「行くよ」
再びヒュッと音が聞こえた時には、銀時と高杉、桂以外の竹刀の鍔が割られていた。
「やっぱり避けられたのはこの三人か……親父様を本気で連れ戻したいのなら、せめてこの程度の事に対応出来ないと……殺されるわよ」
扇子を握り締め、冷たい眼差しで皆を見る柚希。そこには恐ろしい殺気が宿っており、子供たちは震えあがった。
「それが嫌ならやめておくことね。私程度に怯えているようじゃ、戦う事なんて出来ない。実際に行けばそこで行われるのは喧嘩じゃない。情け容赦の無い殺し合いよ」
「それでも行くというなら止めないけどね」と言った柚希の顔はとても恐ろしくて。
戦いよりも目の前の柚希が怖くなった子供たちが一人、また一人とその場から逃げ出し始める。
「今の柚希ちゃんの顔……前に絵本で見た夜叉みたいで怖い……」
そう言い残して去って行ったのは、柚希が最も親しくしていた女友達の
数分と経たぬ内に子供たちの数は減り、結局最後までその場に残ったのは銀時と高杉、桂と他数名だった。