第二章 ~松陽~(83P)
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「あの男を超える強さを身に着けて、必ず松陽を取り戻してやる……!」
「あの男?」
訳が分からず首を傾げる子供たちに、今度は柚希が答える。
「……私たちより少し年上の、顔に傷のある白髪の男よ。多分彼は過去に親父様と交流があったんだと思う。それも私たちと同じか、それ以上に深い繋がりがあったのかも……」
そこまで言った柚希が口を噤んだのを見て、前のめりになる高杉たちを制した桂は、本当は自らも問い詰めたい気持ちをぐっと抑え込みながら優しく尋ねた。
「どうしてそう思ったんだ?」
「親父様を大切に思ってるんじゃないかと感じるそぶりを何度か見せてたのよ。大好きなのに、何かが邪魔をしているような……それが何かは分からないけど、本人も葛藤していた気がする」
「それは前にもお前が言ってたけど、俺には意味が分かんねーよ。葛藤するくらいならこんなやり方しなくても、正面から松陽と話でも何でもすりゃ良いだろ?」
「……おい、銀時。さっきから聞いていれば『松陽』と呼び捨てにしているが、ちゃんと先生と呼べよ」
我慢できなくなったのか高杉が目を釣り上げて怒ると、銀時もそれに対抗するかのように目を釣り上げて言う。
「アイツが……松陽が言ったんだ。先生としての役目はもう終えているって。だから……だったら俺はもうアイツを先生とは呼んでやらねーって決めた」
「何があっても先生は先生だって事に変わりはないだろうが!」
「知るかよ! 俺だって本当は……ッ」
止めようとする桂を振り払い、高杉が銀時に掴みかかると、受けて立つと言わんばかりに銀時も構える。
恐ろしい剣幕の二人にオロオロとする子供たち。まさに一触即発の状況だったが、それを回避したのは桂だった。
「ならばもう一度銀時が『先生』と呼べるよう、戻って来て貰えば良い。先生としての役目を終えただなんてありえない事だからな。俺は未だまだ先生から学びたい事が山ほどある。お前たちはどうだ?」
そう言って皆の顔を順番に見ていく。桂の言葉に促され、子供たちは少しずつ松陽への思いを表し始めた。
「俺も、もっと先生から学びたい!」
「先生の講釈、面白いもんな」
「私も先生の授業好き!」
「先生がいてくれないと困るよな」
顔を見合わせ頷き合い、お互いの意志を確かめ合った子供たちは、銀時たちを取り囲むようにして集まってくる。
「俺たちで松陽先生を取り戻そう!」
「僕たちだって松下村塾の門下生なんだ。皆で力を合わせれば、どんな強い敵だってきっと倒せる!」
「そうだ! 皆で松陽先生を取り戻すんだ!」
わぁっと盛り上がる子供たち。
その勢いに飲まれ、振り上げていた拳をばつが悪そうに引っ込めた銀時と高杉を見て、桂が満足げに頷いた。
「あの男?」
訳が分からず首を傾げる子供たちに、今度は柚希が答える。
「……私たちより少し年上の、顔に傷のある白髪の男よ。多分彼は過去に親父様と交流があったんだと思う。それも私たちと同じか、それ以上に深い繋がりがあったのかも……」
そこまで言った柚希が口を噤んだのを見て、前のめりになる高杉たちを制した桂は、本当は自らも問い詰めたい気持ちをぐっと抑え込みながら優しく尋ねた。
「どうしてそう思ったんだ?」
「親父様を大切に思ってるんじゃないかと感じるそぶりを何度か見せてたのよ。大好きなのに、何かが邪魔をしているような……それが何かは分からないけど、本人も葛藤していた気がする」
「それは前にもお前が言ってたけど、俺には意味が分かんねーよ。葛藤するくらいならこんなやり方しなくても、正面から松陽と話でも何でもすりゃ良いだろ?」
「……おい、銀時。さっきから聞いていれば『松陽』と呼び捨てにしているが、ちゃんと先生と呼べよ」
我慢できなくなったのか高杉が目を釣り上げて怒ると、銀時もそれに対抗するかのように目を釣り上げて言う。
「アイツが……松陽が言ったんだ。先生としての役目はもう終えているって。だから……だったら俺はもうアイツを先生とは呼んでやらねーって決めた」
「何があっても先生は先生だって事に変わりはないだろうが!」
「知るかよ! 俺だって本当は……ッ」
止めようとする桂を振り払い、高杉が銀時に掴みかかると、受けて立つと言わんばかりに銀時も構える。
恐ろしい剣幕の二人にオロオロとする子供たち。まさに一触即発の状況だったが、それを回避したのは桂だった。
「ならばもう一度銀時が『先生』と呼べるよう、戻って来て貰えば良い。先生としての役目を終えただなんてありえない事だからな。俺は未だまだ先生から学びたい事が山ほどある。お前たちはどうだ?」
そう言って皆の顔を順番に見ていく。桂の言葉に促され、子供たちは少しずつ松陽への思いを表し始めた。
「俺も、もっと先生から学びたい!」
「先生の講釈、面白いもんな」
「私も先生の授業好き!」
「先生がいてくれないと困るよな」
顔を見合わせ頷き合い、お互いの意志を確かめ合った子供たちは、銀時たちを取り囲むようにして集まってくる。
「俺たちで松陽先生を取り戻そう!」
「僕たちだって松下村塾の門下生なんだ。皆で力を合わせれば、どんな強い敵だってきっと倒せる!」
「そうだ! 皆で松陽先生を取り戻すんだ!」
わぁっと盛り上がる子供たち。
その勢いに飲まれ、振り上げていた拳をばつが悪そうに引っ込めた銀時と高杉を見て、桂が満足げに頷いた。