第二章 ~松陽~(83P)
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「ガハ……ッ!」
再び弾き飛ばされた銀時の体は、地面に叩きつけられる。それでも攻撃は止まらず、朧の錫杖が銀時に向けられた。
「シロ……っ!」
咄嗟に叫んで駆け出した柚希が振り上げたのは扇子。先の戦いで玉は欠けていたが、それでも器用に朧の錫杖を絡め取ると、その動きを止めさせた。
「逃げて……は……やく……っ!」
力比べで敵わない事は分かっている。それでも柚希は必死だった。
「もう何も失いたくないの! お願いだから親父様を連れて行かないで! シロを傷つけないで!」
銀時が朧から距離を取ったのを確認した柚希は、糸を緩めて錫杖を放す。いつの間にか手馴れていた糸の巻き取りを終えると、再び扇子を構えた。
「私たちはただ平凡に暮らしたいだけなの。そんなささやかな幸せを何で邪魔するのよ!」
朧が一歩でも動けば攻撃できるようにと、全神経を朧に向ける。柚希の横では、傷だらけの銀時も自らの刀を抜いて朧を睨みつけていた。
「親父様はあんた達なんかに絶対に渡さない! だから親父様も私たちと一緒に……え……?」
不意に走った悪寒。
目の前の朧の口元に浮かぶ笑みがもう全て終わったのだと言っている気がして、後ろにいるはずの松陽を振り向く。
するとそこには、後ろ手に縛られようとしている松陽の姿があった。
「お……やじ様……?」
「ふざけんな! 先生ならそんな奴ら簡単に倒せるだろ!? 何で抵抗もせずに捕まってんだよ!」
驚きで目を見開く二人に、松陽は言った。
「だって、君たちを信じてますから」
「何だよそれ。信じてるから捕まるって、意味分かんねーよ!」
「信じてるなら一緒に逃げよう! ね? 親父様!」
慌てて引き止めようと松陽に縋り付いたが、いつの間にか数が増えていた男たちに引き剥がされ、更には銀時も後ろ手に縛られてしまった。
「くそ……ッ離せッ!」
全力で暴れても手の自由を奪われ、屈強な男たちに囲まれていてはどうする事も出来ない。
かろうじて捕まらなかった柚希も、銀時と松陽を置いて逃げ出すわけにもいかず、朧を目の前にして膠着状態だった。
「私が何とかしなきゃ……」
気持ちばかりが焦る中、間合いを取りつつ相手の出方を伺っていると、何故か男たちが一人、また一人と姿を消していく。
同時に促された松陽が門の外へと歩き出したため、柚希も追いかけようとしたが、朧が邪魔をして身動きが取れなかった。
再び弾き飛ばされた銀時の体は、地面に叩きつけられる。それでも攻撃は止まらず、朧の錫杖が銀時に向けられた。
「シロ……っ!」
咄嗟に叫んで駆け出した柚希が振り上げたのは扇子。先の戦いで玉は欠けていたが、それでも器用に朧の錫杖を絡め取ると、その動きを止めさせた。
「逃げて……は……やく……っ!」
力比べで敵わない事は分かっている。それでも柚希は必死だった。
「もう何も失いたくないの! お願いだから親父様を連れて行かないで! シロを傷つけないで!」
銀時が朧から距離を取ったのを確認した柚希は、糸を緩めて錫杖を放す。いつの間にか手馴れていた糸の巻き取りを終えると、再び扇子を構えた。
「私たちはただ平凡に暮らしたいだけなの。そんなささやかな幸せを何で邪魔するのよ!」
朧が一歩でも動けば攻撃できるようにと、全神経を朧に向ける。柚希の横では、傷だらけの銀時も自らの刀を抜いて朧を睨みつけていた。
「親父様はあんた達なんかに絶対に渡さない! だから親父様も私たちと一緒に……え……?」
不意に走った悪寒。
目の前の朧の口元に浮かぶ笑みがもう全て終わったのだと言っている気がして、後ろにいるはずの松陽を振り向く。
するとそこには、後ろ手に縛られようとしている松陽の姿があった。
「お……やじ様……?」
「ふざけんな! 先生ならそんな奴ら簡単に倒せるだろ!? 何で抵抗もせずに捕まってんだよ!」
驚きで目を見開く二人に、松陽は言った。
「だって、君たちを信じてますから」
「何だよそれ。信じてるから捕まるって、意味分かんねーよ!」
「信じてるなら一緒に逃げよう! ね? 親父様!」
慌てて引き止めようと松陽に縋り付いたが、いつの間にか数が増えていた男たちに引き剥がされ、更には銀時も後ろ手に縛られてしまった。
「くそ……ッ離せッ!」
全力で暴れても手の自由を奪われ、屈強な男たちに囲まれていてはどうする事も出来ない。
かろうじて捕まらなかった柚希も、銀時と松陽を置いて逃げ出すわけにもいかず、朧を目の前にして膠着状態だった。
「私が何とかしなきゃ……」
気持ちばかりが焦る中、間合いを取りつつ相手の出方を伺っていると、何故か男たちが一人、また一人と姿を消していく。
同時に促された松陽が門の外へと歩き出したため、柚希も追いかけようとしたが、朧が邪魔をして身動きが取れなかった。