第二章 ~松陽~(83P)
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「行きましょうか。この子は外にいる君の弟弟子に預けましょう。あの子ならきっとこの子を護ってくれますから」
ニコリと優しい笑顔を見せた松陽は、そっと柚希を抱き上げながら立ち上がる。少しでも体に負担がかからないようにゆっくり廊下を歩いていると、意識が戻ったのか柚希の目がぼんやりと開いた。
「お……やじ、さま……?」
「ああ柚希、気が付きましたか。肩の傷は応急処置をしましたが、他に痛い所や苦しい所はありませんか?」
「大丈夫……傷は……肩だけ……」
「そうですか。後で緒方先生に診てもらいましょうね」
「うん、良かった……親父様が無事で……」
痛みがあるはずなのに、うめき声すらあげず自分の事を心配する柚希に、松陽の体が小さく震える。必死に自分の感情を隠しながら笑顔を見せる松陽は、傷を負っている柚希よりも痛々しく見えた。
「私は大丈夫ですよ。それよりもアナタの方が問題です。こんな無茶をするなんて」
「だって、私のせいで親父様が捕まったら……」
「心外ですね。私の強さを侮ってませんか?」
「親父様は強いけど……優し過ぎるから……」
そう言って今いる玄関のたたきから門の方を見れば、心配そうに中を覗き込んでいる銀時が見える。二人の姿に気付いた銀時は、必死の形相でこちらに走り寄って来た。
「ねぇ、あの傷の人って親父様の何? 聞いてもあの人は答えてくれなかったけど……深い繋がりがあるのは感じたの」
銀時の姿を確認し、松陽の袖をギュッと掴んだ柚希は腕から降ろすよう松陽に促す。そして松陽の後ろを黙ってついてきていた朧を睨みながら言った。
「親父様、自分から捕まろうとしてるよね……それは私たちを護るため? それともあの人のため?」
「それは……」
「何の話だ? っつーか柚希、お前怪我してんのかよ!」
丁度やって来た銀時が、この状況を理解できずに困惑の表情を見せる。ただ、とてつもなくヤバい状況だという事だけは肌で感じていた。
「あいつらにやられたのか!? 捕まるってどういう事だよ!」
柚希と松陽を背にし、朧との間に立った銀時は、本能的に持っていた刀へと手をかけながら言う。そんな銀時に、ずっと沈黙を保っていた朧は鼻で笑った。
「……お前たちは師と仰ぐ者についての知識がまるで無いのだな。哀れなものだ」
銀時に蔑むような視線を向ける朧からは、柚希や松陽を見る時とは全く違った感情が込められているように見受けられる。それが何かを柚希に理解することは出来なかったが、少なくともその中に憎しみが込められている事だけは分かった。
ニコリと優しい笑顔を見せた松陽は、そっと柚希を抱き上げながら立ち上がる。少しでも体に負担がかからないようにゆっくり廊下を歩いていると、意識が戻ったのか柚希の目がぼんやりと開いた。
「お……やじ、さま……?」
「ああ柚希、気が付きましたか。肩の傷は応急処置をしましたが、他に痛い所や苦しい所はありませんか?」
「大丈夫……傷は……肩だけ……」
「そうですか。後で緒方先生に診てもらいましょうね」
「うん、良かった……親父様が無事で……」
痛みがあるはずなのに、うめき声すらあげず自分の事を心配する柚希に、松陽の体が小さく震える。必死に自分の感情を隠しながら笑顔を見せる松陽は、傷を負っている柚希よりも痛々しく見えた。
「私は大丈夫ですよ。それよりもアナタの方が問題です。こんな無茶をするなんて」
「だって、私のせいで親父様が捕まったら……」
「心外ですね。私の強さを侮ってませんか?」
「親父様は強いけど……優し過ぎるから……」
そう言って今いる玄関のたたきから門の方を見れば、心配そうに中を覗き込んでいる銀時が見える。二人の姿に気付いた銀時は、必死の形相でこちらに走り寄って来た。
「ねぇ、あの傷の人って親父様の何? 聞いてもあの人は答えてくれなかったけど……深い繋がりがあるのは感じたの」
銀時の姿を確認し、松陽の袖をギュッと掴んだ柚希は腕から降ろすよう松陽に促す。そして松陽の後ろを黙ってついてきていた朧を睨みながら言った。
「親父様、自分から捕まろうとしてるよね……それは私たちを護るため? それともあの人のため?」
「それは……」
「何の話だ? っつーか柚希、お前怪我してんのかよ!」
丁度やって来た銀時が、この状況を理解できずに困惑の表情を見せる。ただ、とてつもなくヤバい状況だという事だけは肌で感じていた。
「あいつらにやられたのか!? 捕まるってどういう事だよ!」
柚希と松陽を背にし、朧との間に立った銀時は、本能的に持っていた刀へと手をかけながら言う。そんな銀時に、ずっと沈黙を保っていた朧は鼻で笑った。
「……お前たちは師と仰ぐ者についての知識がまるで無いのだな。哀れなものだ」
銀時に蔑むような視線を向ける朧からは、柚希や松陽を見る時とは全く違った感情が込められているように見受けられる。それが何かを柚希に理解することは出来なかったが、少なくともその中に憎しみが込められている事だけは分かった。