第二章 ~松陽~(83P)
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――ボスッ!
「……え……うぇえっ!?」
目の前で起こった出来事に、悲鳴を上げる柚希。驚いた事に、扇子から突如何かが勢いよく飛び出たかと思うと、襖に突き刺さっていたのだ。扇子と襖の間には、糸が一本垂れ下がっている。
「ちょ、ナニコレ! やだコレ! 信じらんな~い!」
慌てて襖に駆け寄り、出来るだけ被害を小さくするよう気を付けながらそっと糸を引っ張る。糸の先には小さな鉛玉が付いており、これが襖を突き破っていた。
「何なのよこれ……まさかこんな危険なおもちゃだったとは……」
引きつりながら扇子を確認すると、どうやら中骨が筒状になっているようだ。更に詳しく見れば要の部分が緩んでおり、摘んで引っ張ると糸が手繰り寄せられた。
「一体何をさせたいのよ、このおもちゃ……と言っていいのか分からない代物は」
中骨を蛇腹のように伝っているのか、器用に手繰り寄せられた糸が扇子に収まる。何だかなぁと思いながらももう一度扇子を持ち直した柚希は、今度は誰もいない庭へと移動し、玉を飛ばす前提で扇子を扇いだ。
先程よりも速く飛び出した玉は、狙いを定めた木の幹に真っ直ぐぶつかり、地に落ちる。
「的当てには使えそうだけど……割と威力があるから危ないかも。でも意外と思い通りに飛んではくれるのね」
糸を手繰り寄せ、今度は高い木の枝をめがけて扇子を振り上げる。狙い通りにまっすぐ飛んだ玉は、見事に細い枝を打ち抜いた。
「イテッ!」
そこにタイミングよく現れたのは銀時。お決まりのように落ちた木の枝は、銀時の頭を直撃した。
「わざわざ自分から当たりに行かなくても……」
「ざけんな! 俺は普通に歩いてただけだってーの!」
頭頂部をさすりながら涙目で怒る銀時に、柚希は苦笑いを見せる。
「それじゃぁよっぽど運が悪かったのね」
「うるせーよ。っつーか今のは何だよ。木の枝を落としたのってお前だろ?」
少し前から見ていたのか、銀時が聞く。コクリと頷いた柚希は、扇子の糸を手繰り寄せると銀時に見せた。
「これなんだけどね、カラクリおもちゃなんだって。万屋のおばちゃんに、遊んでみた感想を教えて欲しいって言われてるんだ。シロもやってみる?」
「別に良いけどよ。どうせしょーもない子供のおもちゃなんだろ?」
柚希から扇子を受け取り、簡単に説明を受けた銀時は、目の前の木に狙いを定めて振り下ろす。
ところが、だ。
確かに玉は飛び出たが、飛んで行ったのは明後日の方向だった。
「……え……うぇえっ!?」
目の前で起こった出来事に、悲鳴を上げる柚希。驚いた事に、扇子から突如何かが勢いよく飛び出たかと思うと、襖に突き刺さっていたのだ。扇子と襖の間には、糸が一本垂れ下がっている。
「ちょ、ナニコレ! やだコレ! 信じらんな~い!」
慌てて襖に駆け寄り、出来るだけ被害を小さくするよう気を付けながらそっと糸を引っ張る。糸の先には小さな鉛玉が付いており、これが襖を突き破っていた。
「何なのよこれ……まさかこんな危険なおもちゃだったとは……」
引きつりながら扇子を確認すると、どうやら中骨が筒状になっているようだ。更に詳しく見れば要の部分が緩んでおり、摘んで引っ張ると糸が手繰り寄せられた。
「一体何をさせたいのよ、このおもちゃ……と言っていいのか分からない代物は」
中骨を蛇腹のように伝っているのか、器用に手繰り寄せられた糸が扇子に収まる。何だかなぁと思いながらももう一度扇子を持ち直した柚希は、今度は誰もいない庭へと移動し、玉を飛ばす前提で扇子を扇いだ。
先程よりも速く飛び出した玉は、狙いを定めた木の幹に真っ直ぐぶつかり、地に落ちる。
「的当てには使えそうだけど……割と威力があるから危ないかも。でも意外と思い通りに飛んではくれるのね」
糸を手繰り寄せ、今度は高い木の枝をめがけて扇子を振り上げる。狙い通りにまっすぐ飛んだ玉は、見事に細い枝を打ち抜いた。
「イテッ!」
そこにタイミングよく現れたのは銀時。お決まりのように落ちた木の枝は、銀時の頭を直撃した。
「わざわざ自分から当たりに行かなくても……」
「ざけんな! 俺は普通に歩いてただけだってーの!」
頭頂部をさすりながら涙目で怒る銀時に、柚希は苦笑いを見せる。
「それじゃぁよっぽど運が悪かったのね」
「うるせーよ。っつーか今のは何だよ。木の枝を落としたのってお前だろ?」
少し前から見ていたのか、銀時が聞く。コクリと頷いた柚希は、扇子の糸を手繰り寄せると銀時に見せた。
「これなんだけどね、カラクリおもちゃなんだって。万屋のおばちゃんに、遊んでみた感想を教えて欲しいって言われてるんだ。シロもやってみる?」
「別に良いけどよ。どうせしょーもない子供のおもちゃなんだろ?」
柚希から扇子を受け取り、簡単に説明を受けた銀時は、目の前の木に狙いを定めて振り下ろす。
ところが、だ。
確かに玉は飛び出たが、飛んで行ったのは明後日の方向だった。