第二章 ~松陽~(83P)
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そして数分後。
「お待たせ!」
満面の笑みで銀時の元へと戻ってきた柚希の手には、一台のカメラが抱えられていた。
「……随分突飛なモン買ってきたな」
「いやぁ、実はずっと欲しかったんだよね。患者さんの中に写真が趣味の人がいるんだけど、その人の話を聞いて私も欲しいと思ってたんだ。ここの店なら中古の良いカメラがあるって聞いてたのよ。手頃な物があってラッキーだったなぁ」
ホクホク顔でカメラを抱きしめる柚希の姿は、見ているこちらまで幸せになれそうだ。
「ふーん……まァお前が欲しかったモンを買えたんなら良いんじゃねェの?」
「うん、良かった!」
満面の笑みで答える柚希に圧倒され「お、おう……」と後ずさった銀時だったが、その顔には柚希と同じく笑みが浮かぶ。と、その瞬間を狙って柚希は銀時にカメラを向けてシャッターを切った。
カシャリと聞こえた音に驚き、目を見開いた銀時に柚希はペロリと舌を出して見せる。
「えへへ、カメラを買ったら、一枚目はシロを撮るって決めてたんだよね。次は親父様を撮るんだー」
「何だよそれ。俺たちよりまず自分を撮りゃ良いじゃねーか」
「別に良いでしょ。私が撮りたいんだもーん」
先ほどまでより更に大切そうにカメラを抱え、ふふっと笑う柚希。そのはにかむような笑顔があまりにも眩しく見えて、銀時は思わず見惚れてしまった。数秒間固まったまま柚希を見つめていたが、ハッと気付くと慌てて激しく頭を振る。
「ま、まァお前のモンなんだし、好きにしろよ」
赤くなった頬を見られまいと慌てて後ろを向いた銀時は、「買い物が終わったんならさっさと帰るぞ」と言うと、足早に松下村塾へと歩き出した。
「え? ちょっと待って、シロ!」
置いて行かれまいとする柚希が顔を覗き込んで来る為に、銀時の足は更に早くなっていく。柚希も小走りになるが、カメラ以外にも小さいながら荷物を持っている為思うように走れない。
「待ってよ、シロってばー!」
立ち止まり、どんどん遠のいて行く銀時の後ろ姿に柚希は叫んだが、振り向きもせず。結局そのまま銀時の姿は見えなくなってしまった。
「もー、せっかくシロの好きそうなお菓子も買ってきたのに」
頬を膨らませて怒るも、ぶつけたい相手は目の前にはいない。柚希は大きくため息を吐くと、諦めたのか肩を落としながらノロノロと松下村塾に向けて歩き出した。
しばらく歩いていると、曲がり角の先にいつもの気配を感じる。姿は見えないが、感じ慣れたそれは柚希を苦笑いさせた。
「結局待つんだったら、最初から一人で行かなきゃ良いのに」
素直じゃないなぁと呆れつつ、そうっと曲がり角の手前まで気配を消して歩いた柚希は一つ大きく息を吸うと、大きく叫びながら道に飛び出した。
「シロ、みぃつけ……え?」
最後まで言えず、驚きで固まる柚希。
目の前にいるのは確かに銀時に似た白髪だが、出で立ちはまるで違う見知らぬ青年だった。
「お待たせ!」
満面の笑みで銀時の元へと戻ってきた柚希の手には、一台のカメラが抱えられていた。
「……随分突飛なモン買ってきたな」
「いやぁ、実はずっと欲しかったんだよね。患者さんの中に写真が趣味の人がいるんだけど、その人の話を聞いて私も欲しいと思ってたんだ。ここの店なら中古の良いカメラがあるって聞いてたのよ。手頃な物があってラッキーだったなぁ」
ホクホク顔でカメラを抱きしめる柚希の姿は、見ているこちらまで幸せになれそうだ。
「ふーん……まァお前が欲しかったモンを買えたんなら良いんじゃねェの?」
「うん、良かった!」
満面の笑みで答える柚希に圧倒され「お、おう……」と後ずさった銀時だったが、その顔には柚希と同じく笑みが浮かぶ。と、その瞬間を狙って柚希は銀時にカメラを向けてシャッターを切った。
カシャリと聞こえた音に驚き、目を見開いた銀時に柚希はペロリと舌を出して見せる。
「えへへ、カメラを買ったら、一枚目はシロを撮るって決めてたんだよね。次は親父様を撮るんだー」
「何だよそれ。俺たちよりまず自分を撮りゃ良いじゃねーか」
「別に良いでしょ。私が撮りたいんだもーん」
先ほどまでより更に大切そうにカメラを抱え、ふふっと笑う柚希。そのはにかむような笑顔があまりにも眩しく見えて、銀時は思わず見惚れてしまった。数秒間固まったまま柚希を見つめていたが、ハッと気付くと慌てて激しく頭を振る。
「ま、まァお前のモンなんだし、好きにしろよ」
赤くなった頬を見られまいと慌てて後ろを向いた銀時は、「買い物が終わったんならさっさと帰るぞ」と言うと、足早に松下村塾へと歩き出した。
「え? ちょっと待って、シロ!」
置いて行かれまいとする柚希が顔を覗き込んで来る為に、銀時の足は更に早くなっていく。柚希も小走りになるが、カメラ以外にも小さいながら荷物を持っている為思うように走れない。
「待ってよ、シロってばー!」
立ち止まり、どんどん遠のいて行く銀時の後ろ姿に柚希は叫んだが、振り向きもせず。結局そのまま銀時の姿は見えなくなってしまった。
「もー、せっかくシロの好きそうなお菓子も買ってきたのに」
頬を膨らませて怒るも、ぶつけたい相手は目の前にはいない。柚希は大きくため息を吐くと、諦めたのか肩を落としながらノロノロと松下村塾に向けて歩き出した。
しばらく歩いていると、曲がり角の先にいつもの気配を感じる。姿は見えないが、感じ慣れたそれは柚希を苦笑いさせた。
「結局待つんだったら、最初から一人で行かなきゃ良いのに」
素直じゃないなぁと呆れつつ、そうっと曲がり角の手前まで気配を消して歩いた柚希は一つ大きく息を吸うと、大きく叫びながら道に飛び出した。
「シロ、みぃつけ……え?」
最後まで言えず、驚きで固まる柚希。
目の前にいるのは確かに銀時に似た白髪だが、出で立ちはまるで違う見知らぬ青年だった。