第二章 ~松陽~(83P)
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「これ、すげェ美味い!」
「診療所の患者さんから頂いたんだそうです。美味しかったから君にも食べさせたいと、柚希が置いて行ったんですよ」
「柚希が……」
皿の上に残っているのは、小さな砂糖菓子が三つほど。よく見れば、菓子の下に敷かれている懐紙は柚希が好んで使っている物だった。
「この位の量、アイツなら瞬殺じゃねーか」
「柚希も甘い物が好きですからねぇ、全部一人で食べてしまえば良かったのに、何故かそうしなかったみたいです。どうしてか分かりますか?」
チラチラと銀時の顔を見ながら言う松陽は、明らかに探りを入れてきている。
「そういうのいらねェから!」と睨んでくる銀時にめげず、嬉しそうに松陽は続けた。
「君を大切に思っているからですよ。柚希を守れる男になりたいと、君があの子に隠れてこっそり私と修行していたのと同じです。……君たちは本当に良い子に育ってくれました」
うんうんと頷く松陽の頬を、滝のような嬉し涙が流れているように見えるのは気のせいか。
そんな錯覚を起こしてしまう程に、松陽は二人の子供たちの繋がりの深さを喜んでいた。
「あー、分かった分かった」
少々引き気味に頷いた銀時は、次の菓子に取る。口の中に広がった甘味が完全に消え去ると、意を決して松陽に尋ねた。
「なァ、一つだけ聞いて良いか? 柚希は道場破りヤローに何を言われたんだ?」
昨日の夜は突如柚希が働きに出ると聞かされただけで、経緯も何も教えられていなかった。同じ質問をしてもさりげなくお茶を濁されてしまい、ずっと心に引っかかっていたのだ。
だからこそ聞くなら今しか無いと思ったのだろう。その真剣な表情に、松陽ももう下手な小細工をしようなどとは思わなかった。
「出来れば本人から聞いて欲しかったんですけどね。君と柚希の戦いぶりを見て、剣術よりも医術の才があるのでは、と言われたんですよ」
「……そういう事か。だからあのヤロー、柚希が診療所で働き始めたって聞いて……やっとこれで話が繋がったぜ」
不機嫌そうに言う銀時だったが、先ほど屋根の上で医者になると宣言した柚希を思い出し、大きくため息を吐く。実際のところ、柚希にはそれが合っていると銀時自身も感じていた。
「そんじゃァ柚希の分まで俺は強くあらねェとな。これからも無敗神話を更新し続けてやるぜ」
「頑張って下さいね」
「おうよ」
柚希が頑張っているのなら自分も、と誓いを立てる銀時。
その姿にいたく感銘を受けたらしい松陽は、早速容赦ない修行の相手をし、ほんの少しだけ銀時を後悔させたのだった。
「診療所の患者さんから頂いたんだそうです。美味しかったから君にも食べさせたいと、柚希が置いて行ったんですよ」
「柚希が……」
皿の上に残っているのは、小さな砂糖菓子が三つほど。よく見れば、菓子の下に敷かれている懐紙は柚希が好んで使っている物だった。
「この位の量、アイツなら瞬殺じゃねーか」
「柚希も甘い物が好きですからねぇ、全部一人で食べてしまえば良かったのに、何故かそうしなかったみたいです。どうしてか分かりますか?」
チラチラと銀時の顔を見ながら言う松陽は、明らかに探りを入れてきている。
「そういうのいらねェから!」と睨んでくる銀時にめげず、嬉しそうに松陽は続けた。
「君を大切に思っているからですよ。柚希を守れる男になりたいと、君があの子に隠れてこっそり私と修行していたのと同じです。……君たちは本当に良い子に育ってくれました」
うんうんと頷く松陽の頬を、滝のような嬉し涙が流れているように見えるのは気のせいか。
そんな錯覚を起こしてしまう程に、松陽は二人の子供たちの繋がりの深さを喜んでいた。
「あー、分かった分かった」
少々引き気味に頷いた銀時は、次の菓子に取る。口の中に広がった甘味が完全に消え去ると、意を決して松陽に尋ねた。
「なァ、一つだけ聞いて良いか? 柚希は道場破りヤローに何を言われたんだ?」
昨日の夜は突如柚希が働きに出ると聞かされただけで、経緯も何も教えられていなかった。同じ質問をしてもさりげなくお茶を濁されてしまい、ずっと心に引っかかっていたのだ。
だからこそ聞くなら今しか無いと思ったのだろう。その真剣な表情に、松陽ももう下手な小細工をしようなどとは思わなかった。
「出来れば本人から聞いて欲しかったんですけどね。君と柚希の戦いぶりを見て、剣術よりも医術の才があるのでは、と言われたんですよ」
「……そういう事か。だからあのヤロー、柚希が診療所で働き始めたって聞いて……やっとこれで話が繋がったぜ」
不機嫌そうに言う銀時だったが、先ほど屋根の上で医者になると宣言した柚希を思い出し、大きくため息を吐く。実際のところ、柚希にはそれが合っていると銀時自身も感じていた。
「そんじゃァ柚希の分まで俺は強くあらねェとな。これからも無敗神話を更新し続けてやるぜ」
「頑張って下さいね」
「おうよ」
柚希が頑張っているのなら自分も、と誓いを立てる銀時。
その姿にいたく感銘を受けたらしい松陽は、早速容赦ない修行の相手をし、ほんの少しだけ銀時を後悔させたのだった。