第二章 ~松陽~(83P)
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「私、これからは迷わずお医者様を目指すよ。そしてたくさんの人達を助けられるようになりたいの。シロが傷付いたら、私が癒してあげるから、だから……違う道を並んで一緒に歩こう」
キラキラと輝く瞳で言われ、言葉が見つからない銀時だったが、「ね?」と顔を覗き込まれた事で小さく頷く。
嬉しそうに「よーし、頑張るぞ!」と気合いを入れる柚希を優しい眼差しで見つめながら、銀時は言った。
「だったら約束しろよ。俺たちの間に隠し事は作らないって。何か悩みがあれば、必ず打ち明けるってよ」
「うん、分かった!」
「即答だな。本当にちゃんと分かってんのかよ。隠し事を作らないって事は、秘密が無いって事なんだぜ?」
「大丈夫だよ。ちゃんと全部言うから」
「んじゃ、今日のパンツの色は?」
「ピン……って、何言わせんのよっ!」
「……ッ! いってェなッ!」
見事な平手打ちに頬を押さえて怒る銀時。だがその表情はとても明るく、先ほどの苦しみはもう存在していない。
「冗談だってのに。ったく、やっぱお前は馬鹿力だよな」
「アンタも無駄に神経が図太いわよね」
「なんだとォ!? 俺は繊細なガラスのハートの持ち主なんだからな!」
「特殊強化ガラスか何かの間違いでしょ? ちょっとやそっとじゃ割れやしないわ」
「言わせておけば好き勝手言いやがって! 目にもの見せてやるから表に出ろや!」
「そもそもここは表でしょうが!」
バカバカしくも楽しい屋根の上での言い争いは、未だ暫く続きそうだ。
そんな二人の声を聞きつつ、いつの間にか真下にある縁側に座っていた松陽は、のほほんとお茶をすする。
「いやぁ、若いって良いですねぇ。壁にぶつかりながらも必死に足掻いて、前に進む力を持っているんですから。私も保護者として見守る事が出来て嬉しいのですけど、一つだけ見過ごせない事があるんですよねぇ……」
お茶が体にしみわたったのか大きくホウッとため息を吐いた松陽は、手を口に当てると屋根の上に向かって叫んだ。
「診療所の存在、忘れてませんか~?」
松陽の声が響き渡ったと同時に聞こえた、ドタバタと屋根を走る音。そして大慌てで柚希が松陽の目の前に飛び降りて来る。
「そういう事はもっと早く言ってよ~!」
あっという間に遠のいていく声に、松陽のクスクス笑いが止まらない。追って飛び降りて来た銀時も呆れた表情だ。
「意地ワリィの」
「そんな事ありませんよ。教えてあげただけ優しいでしょう?」
「どうせ最初から聞いてたんだろ。さっさと声かけろっての」
ふてぶてしく松陽の横に座り、皿の上に置かれていた茶菓子に手を伸ばす。口の中に放り込まれた菓子は想像以上に美味しく、銀時の顔が輝いた。
キラキラと輝く瞳で言われ、言葉が見つからない銀時だったが、「ね?」と顔を覗き込まれた事で小さく頷く。
嬉しそうに「よーし、頑張るぞ!」と気合いを入れる柚希を優しい眼差しで見つめながら、銀時は言った。
「だったら約束しろよ。俺たちの間に隠し事は作らないって。何か悩みがあれば、必ず打ち明けるってよ」
「うん、分かった!」
「即答だな。本当にちゃんと分かってんのかよ。隠し事を作らないって事は、秘密が無いって事なんだぜ?」
「大丈夫だよ。ちゃんと全部言うから」
「んじゃ、今日のパンツの色は?」
「ピン……って、何言わせんのよっ!」
「……ッ! いってェなッ!」
見事な平手打ちに頬を押さえて怒る銀時。だがその表情はとても明るく、先ほどの苦しみはもう存在していない。
「冗談だってのに。ったく、やっぱお前は馬鹿力だよな」
「アンタも無駄に神経が図太いわよね」
「なんだとォ!? 俺は繊細なガラスのハートの持ち主なんだからな!」
「特殊強化ガラスか何かの間違いでしょ? ちょっとやそっとじゃ割れやしないわ」
「言わせておけば好き勝手言いやがって! 目にもの見せてやるから表に出ろや!」
「そもそもここは表でしょうが!」
バカバカしくも楽しい屋根の上での言い争いは、未だ暫く続きそうだ。
そんな二人の声を聞きつつ、いつの間にか真下にある縁側に座っていた松陽は、のほほんとお茶をすする。
「いやぁ、若いって良いですねぇ。壁にぶつかりながらも必死に足掻いて、前に進む力を持っているんですから。私も保護者として見守る事が出来て嬉しいのですけど、一つだけ見過ごせない事があるんですよねぇ……」
お茶が体にしみわたったのか大きくホウッとため息を吐いた松陽は、手を口に当てると屋根の上に向かって叫んだ。
「診療所の存在、忘れてませんか~?」
松陽の声が響き渡ったと同時に聞こえた、ドタバタと屋根を走る音。そして大慌てで柚希が松陽の目の前に飛び降りて来る。
「そういう事はもっと早く言ってよ~!」
あっという間に遠のいていく声に、松陽のクスクス笑いが止まらない。追って飛び降りて来た銀時も呆れた表情だ。
「意地ワリィの」
「そんな事ありませんよ。教えてあげただけ優しいでしょう?」
「どうせ最初から聞いてたんだろ。さっさと声かけろっての」
ふてぶてしく松陽の横に座り、皿の上に置かれていた茶菓子に手を伸ばす。口の中に放り込まれた菓子は想像以上に美味しく、銀時の顔が輝いた。