第二章 ~松陽~(83P)
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「シ~ロは白くてふんわりもじゃもじゃ」
道場から出た柚希は、奇妙なリズムで歌いながら、塾内を歩いて銀時を探していた。
「ち~っちゃくって、う~るさくって」
一つ一つの部屋を覗き見ながら、銀時がいそうな場所を探していく。
そして最後にたどり着いたのは――。
「暴れん坊なわ~るガキ。ほらみ~つけた!」
屋根の上で仰向けに寝転び、ふて寝をしている姿を発見した。
早速近付いた柚希は、あからさまに寝たフリをしている銀時の鼻をつまみながら再び歌いだす。
「シ~ロは白くてふんわりもじゃもじゃ、ち~っちゃ……」
「うるせェ! 何だよその珍妙な歌は。バカにしてんのか!」
パンっと柚希の手を払いのけ、体を起こす銀時。その顔はとても不機嫌そうだ。
「だって歌いながらの方が探しやすいんだもん。歌詞を聞いたら、シロの事だって気付いてくれる人も多いだろうし」
「変なイメージを拡散すんなっての!」
噛みつきそうな勢いで怒りをあらわにする銀時だったが、目の前の顔があまりに楽しそうだった事で毒気を抜かれ、ガックリと肩を落とした。
「……で? こんなトコまで追っかけて来た理由は何なんだよ。大体今日から緒方のおっさんトコで働き始めたはずなのに、もうクビになったのか?」
だるそうな表情で憎まれ口を叩く銀時に、先ほど道場で見せたあの恐ろしい姿は微塵も感じられない。顔を背けている割にチラチラと柚希の顔を伺っている姿は、むしろ拗ねているように見えた。
「あのねぇ、初日からクビだなんて、不吉な事を言うのは止めてくれる? 親父様から緊急の往診要請があったのよ。その原因を作ったのはシロじゃない。……それにしても、今日の高杉くんの傷はいつもと違って酷かったよ。手加減できないくらい強くなってたの?」
傷の話になった途端、柚希の表情が暗くなる。それほどまでに銀時が本気だったという証だ。
「高杉くんだったからあの程度で済んでいたんだろうけど、他の門下生だったら骨折、下手したらしばらく寝たきりになってたよ。自分の強さを少しは自覚しておかなきゃダメでしょ」
「仕方ねェだろ。あん時は冷静じゃいらんなかったんだよ」
「冷静じゃないって……高杉くんと何かあったの?」
ふざける事はあっても、冷静さを失う事など滅多に無い銀時からの告白に、柚希は目を丸くして驚いてしまう。これはよっぽどの事があったのだろうと思った柚希は、気になって訊ねた。
「高杉くんを叩きのめしたくなるような事を言われたりしたの?」
「別に、お前には関係ねェよ」
「関係あるわよ。治療した以上高杉くんは私の患者でもあるし。シロの姉替わりである私が……」
「煩ェ!」
いつものように保護者面を見せていた柚希の言葉を遮るように、銀時が怒鳴る。
「シロ……?」
驚きで固まる柚希の視線の先には、怒りを筆頭にいくつもの感情が綯交ぜになったような銀時の顔があった。
道場から出た柚希は、奇妙なリズムで歌いながら、塾内を歩いて銀時を探していた。
「ち~っちゃくって、う~るさくって」
一つ一つの部屋を覗き見ながら、銀時がいそうな場所を探していく。
そして最後にたどり着いたのは――。
「暴れん坊なわ~るガキ。ほらみ~つけた!」
屋根の上で仰向けに寝転び、ふて寝をしている姿を発見した。
早速近付いた柚希は、あからさまに寝たフリをしている銀時の鼻をつまみながら再び歌いだす。
「シ~ロは白くてふんわりもじゃもじゃ、ち~っちゃ……」
「うるせェ! 何だよその珍妙な歌は。バカにしてんのか!」
パンっと柚希の手を払いのけ、体を起こす銀時。その顔はとても不機嫌そうだ。
「だって歌いながらの方が探しやすいんだもん。歌詞を聞いたら、シロの事だって気付いてくれる人も多いだろうし」
「変なイメージを拡散すんなっての!」
噛みつきそうな勢いで怒りをあらわにする銀時だったが、目の前の顔があまりに楽しそうだった事で毒気を抜かれ、ガックリと肩を落とした。
「……で? こんなトコまで追っかけて来た理由は何なんだよ。大体今日から緒方のおっさんトコで働き始めたはずなのに、もうクビになったのか?」
だるそうな表情で憎まれ口を叩く銀時に、先ほど道場で見せたあの恐ろしい姿は微塵も感じられない。顔を背けている割にチラチラと柚希の顔を伺っている姿は、むしろ拗ねているように見えた。
「あのねぇ、初日からクビだなんて、不吉な事を言うのは止めてくれる? 親父様から緊急の往診要請があったのよ。その原因を作ったのはシロじゃない。……それにしても、今日の高杉くんの傷はいつもと違って酷かったよ。手加減できないくらい強くなってたの?」
傷の話になった途端、柚希の表情が暗くなる。それほどまでに銀時が本気だったという証だ。
「高杉くんだったからあの程度で済んでいたんだろうけど、他の門下生だったら骨折、下手したらしばらく寝たきりになってたよ。自分の強さを少しは自覚しておかなきゃダメでしょ」
「仕方ねェだろ。あん時は冷静じゃいらんなかったんだよ」
「冷静じゃないって……高杉くんと何かあったの?」
ふざける事はあっても、冷静さを失う事など滅多に無い銀時からの告白に、柚希は目を丸くして驚いてしまう。これはよっぽどの事があったのだろうと思った柚希は、気になって訊ねた。
「高杉くんを叩きのめしたくなるような事を言われたりしたの?」
「別に、お前には関係ねェよ」
「関係あるわよ。治療した以上高杉くんは私の患者でもあるし。シロの姉替わりである私が……」
「煩ェ!」
いつものように保護者面を見せていた柚希の言葉を遮るように、銀時が怒鳴る。
「シロ……?」
驚きで固まる柚希の視線の先には、怒りを筆頭にいくつもの感情が綯交ぜになったような銀時の顔があった。