第二章 ~松陽~(83P)
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「な、なんだよ」
「名前を教えてくれる?」
「……晋助。高杉晋助」
「じゃあ高杉くん。君が責任もって私たちのどちらが強いかを判断してね」
「はぁ!?」
何だかよく分からないが、巻き込まれたと気付いた時には既に遅く、目の前では二人が竹刀を構えている。しかもつい今しがたまであれほど賑やかに騒いでいたというのに、今はこうして研ぎ澄まされた気を纏い向かい合っているのだ。
――あのガキが強いのは分かってるけど、多分女の方も相当デキル……。
その事に気付いた瞬間、高杉の肌がゾワリと粟立った。
この試合は一見の価値がある。そう確信した高杉は、ニヤリと口角を上げながら言った。
「お望み通りにしてやるよ。――始め!」
高杉の声と同時に先に仕掛けたのは、銀時。右手で持った竹刀を一旦後ろに引き、柚希を突き刺すように前に出す。それを軽々と打ち払った柚希は、がら空きになった銀時の懐へと滑り込み、下からすくい上げるように竹刀を振り上げた。
バック転の要領で後ろに飛び下がって避けた銀時はすぐに体勢を立て直すと、今度は高く飛び上がり柚希の頭に竹刀を振り下ろす。が、柚希は既にその地点にはおらず、銀時の横っ腹を竹刀が襲った。
「ちっ!」
自分の竹刀の軌道を咄嗟に変えて柚希からのダメージを分散したものの、銀時の体は弾き飛ばされる。床に転がり落ち、すぐに立ち上がりはしたがそれなりの痛みはあった。
「どう? 降参する?」
「冗談は顔だけにしやがれ。本番はこれからだってェの」
「誰の顔が冗談よ! 銀時と一緒にしないでよね」
「言ってくれんじゃねェの。体もあったまったことだし、もう手加減はしねェからな」
「望むところよ!」
再び竹刀を構えて向かい合った二人は、今度はお互い正面から斬り込んでいく。何度も竹刀がぶつかり合い、押しつ押されつの鍔迫り合いが続いた。
均衡を崩そうとした銀時が、柚希を強く押し返して竹刀を横薙ぎに振り切ったのを柚希が咄嗟に避ける。が、その最中、足元に散っていた汗でバランスを崩してしまった。
「……あっ!」
咄嗟に受け身を取ろうとしたが間に合わず、柚希は背中から床に叩きつけられるのを覚悟する。
「危ない!」
固唾を飲んで試合を見ていた子供達が叫んだ瞬間。
ザッと滑り込む音が聞こえ、柚希の体は高杉に受け止められていた。
「ギリギリだったな」
仰向けの形で高杉の体に乗った状態の柚希は、この状況が理解できずに固まったまま目を瞬かせている。やがてゆっくりと後ろを振り向き、高杉が下敷きになっている事が分かると慌てて飛び起きた。
「ご、ごめんなさい! 大丈夫?」
柚希はすぐ横に膝を付き、高杉の頬に手を当てながら顔を覗き込む。
「どこか痛めたりしてない? 未だお腹の痛みも残ってるはずなのに……かばってくれてありがとう」
「俺は別に……」
間近で顔を見つめられ、思わず頬を赤らめる高杉。それを見た銀時はムッとした表情で言った。
「名前を教えてくれる?」
「……晋助。高杉晋助」
「じゃあ高杉くん。君が責任もって私たちのどちらが強いかを判断してね」
「はぁ!?」
何だかよく分からないが、巻き込まれたと気付いた時には既に遅く、目の前では二人が竹刀を構えている。しかもつい今しがたまであれほど賑やかに騒いでいたというのに、今はこうして研ぎ澄まされた気を纏い向かい合っているのだ。
――あのガキが強いのは分かってるけど、多分女の方も相当デキル……。
その事に気付いた瞬間、高杉の肌がゾワリと粟立った。
この試合は一見の価値がある。そう確信した高杉は、ニヤリと口角を上げながら言った。
「お望み通りにしてやるよ。――始め!」
高杉の声と同時に先に仕掛けたのは、銀時。右手で持った竹刀を一旦後ろに引き、柚希を突き刺すように前に出す。それを軽々と打ち払った柚希は、がら空きになった銀時の懐へと滑り込み、下からすくい上げるように竹刀を振り上げた。
バック転の要領で後ろに飛び下がって避けた銀時はすぐに体勢を立て直すと、今度は高く飛び上がり柚希の頭に竹刀を振り下ろす。が、柚希は既にその地点にはおらず、銀時の横っ腹を竹刀が襲った。
「ちっ!」
自分の竹刀の軌道を咄嗟に変えて柚希からのダメージを分散したものの、銀時の体は弾き飛ばされる。床に転がり落ち、すぐに立ち上がりはしたがそれなりの痛みはあった。
「どう? 降参する?」
「冗談は顔だけにしやがれ。本番はこれからだってェの」
「誰の顔が冗談よ! 銀時と一緒にしないでよね」
「言ってくれんじゃねェの。体もあったまったことだし、もう手加減はしねェからな」
「望むところよ!」
再び竹刀を構えて向かい合った二人は、今度はお互い正面から斬り込んでいく。何度も竹刀がぶつかり合い、押しつ押されつの鍔迫り合いが続いた。
均衡を崩そうとした銀時が、柚希を強く押し返して竹刀を横薙ぎに振り切ったのを柚希が咄嗟に避ける。が、その最中、足元に散っていた汗でバランスを崩してしまった。
「……あっ!」
咄嗟に受け身を取ろうとしたが間に合わず、柚希は背中から床に叩きつけられるのを覚悟する。
「危ない!」
固唾を飲んで試合を見ていた子供達が叫んだ瞬間。
ザッと滑り込む音が聞こえ、柚希の体は高杉に受け止められていた。
「ギリギリだったな」
仰向けの形で高杉の体に乗った状態の柚希は、この状況が理解できずに固まったまま目を瞬かせている。やがてゆっくりと後ろを振り向き、高杉が下敷きになっている事が分かると慌てて飛び起きた。
「ご、ごめんなさい! 大丈夫?」
柚希はすぐ横に膝を付き、高杉の頬に手を当てながら顔を覗き込む。
「どこか痛めたりしてない? 未だお腹の痛みも残ってるはずなのに……かばってくれてありがとう」
「俺は別に……」
間近で顔を見つめられ、思わず頬を赤らめる高杉。それを見た銀時はムッとした表情で言った。