白銀の世界で
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通されたのは小さな物置のような部屋だった。私の荷物を探らせる間、この部屋で待つように言われた。あのような事をしておきながら、何事もなかったかのように月島さんを先頭に案内をさせ、部屋に通された。
廊下を歩くときはさくらの後ろを鶴見が歩いた。杉元のように拘束はされなかったものの、後ろから鶴見がさくらの肩を押さえるように持ち、前後を男に固められてしまえば、逃げ出すことなど不可能だった。
埃っぽい部屋は西日が傾き、真っ赤に染まっている。下腹部は鈍く痛み、鶴見の指の感触が今でも残っているようで、たまらなく不快だった。その感覚を逃すように自分の太ももを思い切り殴りつけた。あの光景を思うと、抵抗できない自分の無力さと、自分の体が汚らしく感じられ、その気持ちを打ち消すように、二度三度と続けた。
そのとき、扉が開き、月島と一緒に杉元も部屋に入ってきた。さくらの様子に二人は目を見開いた。さきに行動を移したのは杉元で、自身を傷つけるさくらを止めるために、拘束された手でさくらの腕をつかんだ。
「日向さん!なにしてるの?!」
杉元の声に気づき、そちらに目線をやるさくらの表情は苦悩に満ちていた。杉元はその表情をみて、月島の方を勢いよく振り返った。
「おい・・・お前ら、この人に何した。」
どすの聞いた声に怯むことなく、月島は杉元の言葉を無視してさくらに自身の持っていた手ぬぐいを差し出した。
「これを使ってくれ。」
差し出されたのは新品同様、汚れ一つなかった。その純白さが嫌に目についた。そして、それを差し出すのが目の前の男だと思うと憎らしくて、さくらは手ぬぐいを思い切り、振り払った。勢いよく床に落とされ、純白のそれは薄汚れてしまった。
「これで拭えば全てなくなるとでも思っていらっしゃるのですか。」
「君には申し訳ないが、手段を選んではいられない。」
その言葉に杉元が目を見開き、月島に詰め寄った。
「おい、なにしやがった。」
「身体検査をした。」
さくらの様子から、ただの身体検査ではなかったことは容易に想像できた。鬼気迫る杉元の顔が近づき、月島の襟首をつかんだ。
「軍も落ちぶれたもんだな。町の女にまで手を出すとは。」
月島は詰め寄る杉元の勢いにも動じず、襟をつかむ手を逆手にとって、そのまま、床に押さえ込み、動きを封じた。どすん、と重い音がして、杉元が少し呻いた。
「お前の想像するようなことはしていない。徴兵検査と同じだ。」
「嫁入り前の女にとっちゃ、どれだけ傷つくことかわかんだろうが!」
声を荒げるも、杉元は拘束されている上、月島の柔術は体の動かないよう的を得たもので体をぬくことができない。
「お前が正直に話せば、この人は傷つかずに済んだな。」
それを聞いて、杉元の体から力が抜けた。抵抗しない様子に月島は杉元の体から退いた。そして、部屋を出て、ご丁寧に鍵をかけて出て行った。
二人だけになった部屋に沈黙が訪れた。
先ほどまで赤く染まっていた部屋は、薄暗く、二人の顔に影を落としていた。
「・・・巻き込んでごめん。」
俯いていた杉元がさくらの方をみて、そう言った。まるで自分のことのように苦しそうな表情をしていた。
廊下を歩くときはさくらの後ろを鶴見が歩いた。杉元のように拘束はされなかったものの、後ろから鶴見がさくらの肩を押さえるように持ち、前後を男に固められてしまえば、逃げ出すことなど不可能だった。
埃っぽい部屋は西日が傾き、真っ赤に染まっている。下腹部は鈍く痛み、鶴見の指の感触が今でも残っているようで、たまらなく不快だった。その感覚を逃すように自分の太ももを思い切り殴りつけた。あの光景を思うと、抵抗できない自分の無力さと、自分の体が汚らしく感じられ、その気持ちを打ち消すように、二度三度と続けた。
そのとき、扉が開き、月島と一緒に杉元も部屋に入ってきた。さくらの様子に二人は目を見開いた。さきに行動を移したのは杉元で、自身を傷つけるさくらを止めるために、拘束された手でさくらの腕をつかんだ。
「日向さん!なにしてるの?!」
杉元の声に気づき、そちらに目線をやるさくらの表情は苦悩に満ちていた。杉元はその表情をみて、月島の方を勢いよく振り返った。
「おい・・・お前ら、この人に何した。」
どすの聞いた声に怯むことなく、月島は杉元の言葉を無視してさくらに自身の持っていた手ぬぐいを差し出した。
「これを使ってくれ。」
差し出されたのは新品同様、汚れ一つなかった。その純白さが嫌に目についた。そして、それを差し出すのが目の前の男だと思うと憎らしくて、さくらは手ぬぐいを思い切り、振り払った。勢いよく床に落とされ、純白のそれは薄汚れてしまった。
「これで拭えば全てなくなるとでも思っていらっしゃるのですか。」
「君には申し訳ないが、手段を選んではいられない。」
その言葉に杉元が目を見開き、月島に詰め寄った。
「おい、なにしやがった。」
「身体検査をした。」
さくらの様子から、ただの身体検査ではなかったことは容易に想像できた。鬼気迫る杉元の顔が近づき、月島の襟首をつかんだ。
「軍も落ちぶれたもんだな。町の女にまで手を出すとは。」
月島は詰め寄る杉元の勢いにも動じず、襟をつかむ手を逆手にとって、そのまま、床に押さえ込み、動きを封じた。どすん、と重い音がして、杉元が少し呻いた。
「お前の想像するようなことはしていない。徴兵検査と同じだ。」
「嫁入り前の女にとっちゃ、どれだけ傷つくことかわかんだろうが!」
声を荒げるも、杉元は拘束されている上、月島の柔術は体の動かないよう的を得たもので体をぬくことができない。
「お前が正直に話せば、この人は傷つかずに済んだな。」
それを聞いて、杉元の体から力が抜けた。抵抗しない様子に月島は杉元の体から退いた。そして、部屋を出て、ご丁寧に鍵をかけて出て行った。
二人だけになった部屋に沈黙が訪れた。
先ほどまで赤く染まっていた部屋は、薄暗く、二人の顔に影を落としていた。
「・・・巻き込んでごめん。」
俯いていた杉元がさくらの方をみて、そう言った。まるで自分のことのように苦しそうな表情をしていた。