星降る夜に
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きつく目を閉じ、やってくるであろう痛みに身構えていたが、想定される痛みはいくら待ってもやってこなかった。恐る恐る目を開けると、先ほどまで取り囲んでいた5、6年生の姿がなくなっていた。
「……どういうこと?」
暗闇となった境内で、地面に横たわっているさくら以外、人影はない。体を起こして、辺りを見回す。先ほどまで破れかぶれになっていた寺は、「あの時」のように美しく、生え放題だった雑草も姿を消している。……「いつ」にやってきたのか?静まり返った夜の境内で、何か手かがりになるものはないだろうか、と耳を澄ます。
夜の闇に虫の音が聞こえる。それに紛れて人の囁きのようなものが微かに聞こえた。
その小さな囁き声を頼りに移動する。寺の裏口だろうか、扉の先で人の動く気配がある。少し開いた扉から外の様子を伺う。月明かり、人の表情までは分からないが、着ているものから女性が数人こちらに向かっているのがみてとれた。この時代に、夜に女性だけで出歩くとは、と思わないでもないが、山賊と出会うよりよほどいい。寺を頼りにきたのならば、彼女たちについてゆけば、何か分かることもあるかもしれない。そう思い、姿を見せようとした時だった。
「こんな夜更けに、奥方様がどちらへ?」
女たちの前に立ちはだかったのは、鎧武者が数人。森の中に潜んでいたのか、全く気配を感じなかった。さくらは咄嗟に扉の影に身を潜めた。鎧武者に対して、女性たちは後退りをして皆で固まるようにしてる。それだけで、味方ではないことが理解できた。なぜ武者が……?「奥方様」とは……。そこで思い至ったのは、土井先生の言葉だった。
『母上は、この寺のすくそばで自害をしていました。』
まさか、と思うと同時に、夜目でも光り輝くような打掛が女たちの間から見え隠れしている。
これは、「あの時」なのか。
正史丸くんが全てを失った、あの日なのか。
目の前にいるのは、彼の母であり、漆間時国の正妻。それを待ち受ける武者たちが何を欲しているのか、「命」か、または明石の大将に捧げる「戦利品」か。どちらにしても、彼女たちの行く末は明るくない。
自分に何ができるか。手元にあるのは、旅路に必要なわずかな着替えの入った手荷物だけ。武器になりそうなものも、武装した武者数人を相手にできるような力量もさくらは持ち合わせていなかった。
正史丸くんを助けたあの日、邪険にすることもなく、快く屋敷に招いてくださった心優しい方々。彼らの幸せを願っていたはずなのに、恐怖で足がすくんで動くことができない。そんな自分が情けなく、奥歯を噛み締める。
男たちが奥方たちに近づき、それを庇うように侍女たちが壁になっている。
「このお方に触れることは許されぬ!」
上擦った女の叫び声がする。
「はっ!許さぬとは一体誰が?漆間時国ならば、今頃、首一つになっておるわ。」
男たちの下衆な笑いが響く。
女たちの後方で、美しい打掛と共に、一人の侍女が走り出す、男たちを通さんとして他の侍女たちは立ち塞がった。そこで武者たちが鞘から刀を抜くと、女たちへ太刀を浴びせた。
悲鳴とともに、血飛沫が飛ぶ。
その悲鳴で振り返った奥方が、自身の懐から短い刃を抜き身にした。そして、自身の首筋に沿わせると、よく通る声で、男たちに呼びかけた。
「明石がこの身を欲するのでしたら、共に行きましょう。ですが、この者も一緒です。」
隣で自身を庇う侍女を差し、そう言った。
「俺たちは親方様から、漆間の奥方を連れてこいと言われただけだ。美しい妻を据えれば、新しい領民の心を掴むことができるだろう、とな。後は皆殺しだ。民も、家臣も……お主の息子も!」
最後の一人になった侍女も同じく胸元から大きく切りかかられた。侍女が地に伏すと、武者が奥方の方へ手を伸ばした。
「……ならば民と、漆間と共に死にましょうぞ。」
男の手が伸びる寸前、首筋に添えられた刀が深々と沈み込んでいった。
「……っ!!」
悲鳴をあげそうになるのを、自身の手で口を覆って必死で抑え込む。流れる涙でぼやける視界の中、男たちがこちらに向かっていているのが分かった。
「次は坊主どもだ。」
頭であろう男に続いて男たちが寺の方へ近づいてくる。漏れる嗚咽を飲み込み、片開きになっている扉の影に身を潜めた。男たちの鎧が触れ合う音、地をふむ足音が近づく。さくらは恐怖で荒くなりそうな呼吸を止め、少しの物音もさせないように身を固くした。扉がゆっくり開かれる。さくらは、自身の心臓の音が大きくなっていくような錯覚を覚えた。聞こえてくれるな、そのまま進んでくれ、と心の中で何度も願う。
目の前を鎧武者が、1人、2人と姿を表していく。その後ろ姿がこちらを振り向かないようにと、願うより他になかった。そして、最後の1人の鎧の音が扉の側から聞こえ終わると、さくらゆっくりと扉に沿うように寺の外へと抜け出した。
ひとつ安堵の息を小さく吐く。
しかし、目の前には血の海が広がっていた。
先ほどまで生きていた者たちが、地面に倒れている。死んでいるというのに、ただ倒れているだけのようにも見える。しかし、広がる血溜まりと、葉に飛び散った鮮血が、人の死を如実に表していた。侍女たちは最期の力を振り絞って、奥方様の元へ行こうとしていたのか、地面は這った後が赤く残っていた。最後まで守らんと、女たちは折り重なるようにして、事切れていた。さくらは「それ」に近寄ることもできずにいると、森の奥から人の気配が近づいてくることが分かった。恐怖が高まってくると、感覚も鋭くなってくるらしい。近くの木が茂る場所へと身を隠す。音は複数のようで、また武者たちがやってきたのかもしれない。あの男たちは皆殺しにすると言っていた。ならば、見つかればさくらも例に漏れず殺される。息を潜めて様子を窺う。
そこに現れたのは、少年と侍従らしい男が1人だった。
夜着の少年が闇夜に浮かび上がる。その背格好が、見知った者のように思えた。
「母、うえ……」
聞こえた声と言葉に、正史丸くんであると理解した。立ち尽くす少年の後ろで侍従が控えている。その男が突然、倒れ込んだ。倒れ込んだ背中には何か棒のようなものが刺さっている。
敵襲だ。
次こそは、守らねば。
その思いが心の中を占めた。領民を思うあの瞳を、生徒たちを思う優しいあの人を、守りたいと体がそちらへと駆ける。その背後から、何者かに体を拘束される。一瞬、呼吸が止まる。さあっと血の気が引くように指先から冷たくなっていく。動けないさくらの耳元で何かが掠めた。それは正史丸くんの方へ向かっていく。
あっ、と声を出す前に後ろにいた人物が同じく正史丸くんの方へと駆けて行った。
「……先生、」
土井先生は正史丸くんに衣を被せると、そのまま正史丸くんは倒れ込んだ。それを素早く抱き抱えると、こちらへと飛び込んでくる。驚いてさくらは腕で身を守るようにする。そんなさくらの様子を気にするそぶりも見せず、鼻先がつきそうなほど近い距離で土井先生が短く言葉をつげた。
「安全な場所へ。舌を噛むので喋らないでくださいね。」
そういうや否や、さくらの体が持ち上げられる。人間2人を抱えているとは思えないほど身軽に土井先生が地を蹴った。まるで駆ける馬に揺られているような振動だ。言われた通り口を閉じていなければ、舌を思い切り噛んでしまいそうだ。眠っている正史丸くんの隣でさくらも同じく抱き抱えられたまま、大人しくしている。森の木々が流れて行く様を見ながら、漆間の領地からどんどん離れて行くことに気が付いた。……どこへ向かっているのか。いくつか山を越えた先に、大きな寺が見えてくる。漆間よりも深い森の中にそびえ立つ寺院は、一目見るだけでかなりの格式があるのだと察せられた。その山門の前に立つと、土井先生はさくらを下ろし、次に正史丸くんを地面に横たわらせた。正史丸くんは深い眠りについているようで、全く目を覚ます気配がない。夜着のままでは寒そうだ。さくらは荷物の中から羽織を取り出した。防寒用にと入れていた薄手の粗末なものだが、ないよりはマシだろう。小さな体に、ふわりと掛けてやる。
このまま起こしたほうがいいのか、それとも眠ったままの方がいいのか。正史丸くんが未来の自分の姿を見てしまうことで彼の将来に影響が出てしまわないだろうか。さくらは迷ったが、どちらにしろ寺の人を呼んできた方がいいだろうと思い至った。いきなり山門に人が倒れていては向こうも驚くだろう。正史丸くんから土井先生の方へ視線を移す。
「土井先生、人を呼んできましょう。旅の途中で倒れている者を見つけた、と助けを求めれば応じてくれるでしょう。」
「…ええ、それがいい。私は彼を見ていますから、さくらさん、お願いできますか?」
にこやかに笑いかける土井先生の言葉に頷く。急いで人を呼んでこよう。正史丸くんが風邪をひいては大変だ。そう思い、大きな山門の扉を潜ろうとしたところで、はた、と足を止めた。
この状況で、なぜ土井先生は笑っていられるのだろうか。
自身の1番つらい記憶を目の前で追体験している、というのに。表情に一切出さず、さくらに笑顔をみせる余裕まである。後ろで待っている2人の方へ振り向いた。そこには、苦無を振り上げ、今まさに正史丸くんへ刃を向けようとしている姿があった。
「……どういうこと?」
暗闇となった境内で、地面に横たわっているさくら以外、人影はない。体を起こして、辺りを見回す。先ほどまで破れかぶれになっていた寺は、「あの時」のように美しく、生え放題だった雑草も姿を消している。……「いつ」にやってきたのか?静まり返った夜の境内で、何か手かがりになるものはないだろうか、と耳を澄ます。
夜の闇に虫の音が聞こえる。それに紛れて人の囁きのようなものが微かに聞こえた。
その小さな囁き声を頼りに移動する。寺の裏口だろうか、扉の先で人の動く気配がある。少し開いた扉から外の様子を伺う。月明かり、人の表情までは分からないが、着ているものから女性が数人こちらに向かっているのがみてとれた。この時代に、夜に女性だけで出歩くとは、と思わないでもないが、山賊と出会うよりよほどいい。寺を頼りにきたのならば、彼女たちについてゆけば、何か分かることもあるかもしれない。そう思い、姿を見せようとした時だった。
「こんな夜更けに、奥方様がどちらへ?」
女たちの前に立ちはだかったのは、鎧武者が数人。森の中に潜んでいたのか、全く気配を感じなかった。さくらは咄嗟に扉の影に身を潜めた。鎧武者に対して、女性たちは後退りをして皆で固まるようにしてる。それだけで、味方ではないことが理解できた。なぜ武者が……?「奥方様」とは……。そこで思い至ったのは、土井先生の言葉だった。
『母上は、この寺のすくそばで自害をしていました。』
まさか、と思うと同時に、夜目でも光り輝くような打掛が女たちの間から見え隠れしている。
これは、「あの時」なのか。
正史丸くんが全てを失った、あの日なのか。
目の前にいるのは、彼の母であり、漆間時国の正妻。それを待ち受ける武者たちが何を欲しているのか、「命」か、または明石の大将に捧げる「戦利品」か。どちらにしても、彼女たちの行く末は明るくない。
自分に何ができるか。手元にあるのは、旅路に必要なわずかな着替えの入った手荷物だけ。武器になりそうなものも、武装した武者数人を相手にできるような力量もさくらは持ち合わせていなかった。
正史丸くんを助けたあの日、邪険にすることもなく、快く屋敷に招いてくださった心優しい方々。彼らの幸せを願っていたはずなのに、恐怖で足がすくんで動くことができない。そんな自分が情けなく、奥歯を噛み締める。
男たちが奥方たちに近づき、それを庇うように侍女たちが壁になっている。
「このお方に触れることは許されぬ!」
上擦った女の叫び声がする。
「はっ!許さぬとは一体誰が?漆間時国ならば、今頃、首一つになっておるわ。」
男たちの下衆な笑いが響く。
女たちの後方で、美しい打掛と共に、一人の侍女が走り出す、男たちを通さんとして他の侍女たちは立ち塞がった。そこで武者たちが鞘から刀を抜くと、女たちへ太刀を浴びせた。
悲鳴とともに、血飛沫が飛ぶ。
その悲鳴で振り返った奥方が、自身の懐から短い刃を抜き身にした。そして、自身の首筋に沿わせると、よく通る声で、男たちに呼びかけた。
「明石がこの身を欲するのでしたら、共に行きましょう。ですが、この者も一緒です。」
隣で自身を庇う侍女を差し、そう言った。
「俺たちは親方様から、漆間の奥方を連れてこいと言われただけだ。美しい妻を据えれば、新しい領民の心を掴むことができるだろう、とな。後は皆殺しだ。民も、家臣も……お主の息子も!」
最後の一人になった侍女も同じく胸元から大きく切りかかられた。侍女が地に伏すと、武者が奥方の方へ手を伸ばした。
「……ならば民と、漆間と共に死にましょうぞ。」
男の手が伸びる寸前、首筋に添えられた刀が深々と沈み込んでいった。
「……っ!!」
悲鳴をあげそうになるのを、自身の手で口を覆って必死で抑え込む。流れる涙でぼやける視界の中、男たちがこちらに向かっていているのが分かった。
「次は坊主どもだ。」
頭であろう男に続いて男たちが寺の方へ近づいてくる。漏れる嗚咽を飲み込み、片開きになっている扉の影に身を潜めた。男たちの鎧が触れ合う音、地をふむ足音が近づく。さくらは恐怖で荒くなりそうな呼吸を止め、少しの物音もさせないように身を固くした。扉がゆっくり開かれる。さくらは、自身の心臓の音が大きくなっていくような錯覚を覚えた。聞こえてくれるな、そのまま進んでくれ、と心の中で何度も願う。
目の前を鎧武者が、1人、2人と姿を表していく。その後ろ姿がこちらを振り向かないようにと、願うより他になかった。そして、最後の1人の鎧の音が扉の側から聞こえ終わると、さくらゆっくりと扉に沿うように寺の外へと抜け出した。
ひとつ安堵の息を小さく吐く。
しかし、目の前には血の海が広がっていた。
先ほどまで生きていた者たちが、地面に倒れている。死んでいるというのに、ただ倒れているだけのようにも見える。しかし、広がる血溜まりと、葉に飛び散った鮮血が、人の死を如実に表していた。侍女たちは最期の力を振り絞って、奥方様の元へ行こうとしていたのか、地面は這った後が赤く残っていた。最後まで守らんと、女たちは折り重なるようにして、事切れていた。さくらは「それ」に近寄ることもできずにいると、森の奥から人の気配が近づいてくることが分かった。恐怖が高まってくると、感覚も鋭くなってくるらしい。近くの木が茂る場所へと身を隠す。音は複数のようで、また武者たちがやってきたのかもしれない。あの男たちは皆殺しにすると言っていた。ならば、見つかればさくらも例に漏れず殺される。息を潜めて様子を窺う。
そこに現れたのは、少年と侍従らしい男が1人だった。
夜着の少年が闇夜に浮かび上がる。その背格好が、見知った者のように思えた。
「母、うえ……」
聞こえた声と言葉に、正史丸くんであると理解した。立ち尽くす少年の後ろで侍従が控えている。その男が突然、倒れ込んだ。倒れ込んだ背中には何か棒のようなものが刺さっている。
敵襲だ。
次こそは、守らねば。
その思いが心の中を占めた。領民を思うあの瞳を、生徒たちを思う優しいあの人を、守りたいと体がそちらへと駆ける。その背後から、何者かに体を拘束される。一瞬、呼吸が止まる。さあっと血の気が引くように指先から冷たくなっていく。動けないさくらの耳元で何かが掠めた。それは正史丸くんの方へ向かっていく。
あっ、と声を出す前に後ろにいた人物が同じく正史丸くんの方へと駆けて行った。
「……先生、」
土井先生は正史丸くんに衣を被せると、そのまま正史丸くんは倒れ込んだ。それを素早く抱き抱えると、こちらへと飛び込んでくる。驚いてさくらは腕で身を守るようにする。そんなさくらの様子を気にするそぶりも見せず、鼻先がつきそうなほど近い距離で土井先生が短く言葉をつげた。
「安全な場所へ。舌を噛むので喋らないでくださいね。」
そういうや否や、さくらの体が持ち上げられる。人間2人を抱えているとは思えないほど身軽に土井先生が地を蹴った。まるで駆ける馬に揺られているような振動だ。言われた通り口を閉じていなければ、舌を思い切り噛んでしまいそうだ。眠っている正史丸くんの隣でさくらも同じく抱き抱えられたまま、大人しくしている。森の木々が流れて行く様を見ながら、漆間の領地からどんどん離れて行くことに気が付いた。……どこへ向かっているのか。いくつか山を越えた先に、大きな寺が見えてくる。漆間よりも深い森の中にそびえ立つ寺院は、一目見るだけでかなりの格式があるのだと察せられた。その山門の前に立つと、土井先生はさくらを下ろし、次に正史丸くんを地面に横たわらせた。正史丸くんは深い眠りについているようで、全く目を覚ます気配がない。夜着のままでは寒そうだ。さくらは荷物の中から羽織を取り出した。防寒用にと入れていた薄手の粗末なものだが、ないよりはマシだろう。小さな体に、ふわりと掛けてやる。
このまま起こしたほうがいいのか、それとも眠ったままの方がいいのか。正史丸くんが未来の自分の姿を見てしまうことで彼の将来に影響が出てしまわないだろうか。さくらは迷ったが、どちらにしろ寺の人を呼んできた方がいいだろうと思い至った。いきなり山門に人が倒れていては向こうも驚くだろう。正史丸くんから土井先生の方へ視線を移す。
「土井先生、人を呼んできましょう。旅の途中で倒れている者を見つけた、と助けを求めれば応じてくれるでしょう。」
「…ええ、それがいい。私は彼を見ていますから、さくらさん、お願いできますか?」
にこやかに笑いかける土井先生の言葉に頷く。急いで人を呼んでこよう。正史丸くんが風邪をひいては大変だ。そう思い、大きな山門の扉を潜ろうとしたところで、はた、と足を止めた。
この状況で、なぜ土井先生は笑っていられるのだろうか。
自身の1番つらい記憶を目の前で追体験している、というのに。表情に一切出さず、さくらに笑顔をみせる余裕まである。後ろで待っている2人の方へ振り向いた。そこには、苦無を振り上げ、今まさに正史丸くんへ刃を向けようとしている姿があった。