炎のゴブレット編
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普段ならば悪態をつく唇が今はサクラの唇と重なっている。思いの外柔らかな感触とあたたかさに自然と体の力が抜けていった。唇を重ねる合間に漏れる吐息が甘さを含んでいく。スネイプの鼻にかかったような甘いため息が漏れるたびに、体の奥が疼く。ゆっくりと味わうような口づけが唇から首筋、そして下へと移っていく。まるで壊れ物を扱うかのようなスネイプの手が、自身を慰めてくれているようで、今はそれが心地よかった。互いの服を脱ぎながら、いつも触れられない肌に手を沿わせる。室内にこもっている色白の肌は思いの外、引き締まっている。
「随分余裕だな。」
スネイプの胸元に置いていた手を掴まれ、そのまま、顔の横で絡め取られる。
「そう見えます…?……っあ」
「何も考えられないようにしてやろう。」
スネイプの唇がサクラの耳朶をはんだ。そして、もう一方の手がサクラの奥を暴いていくと、熱に浮かされたように、スネイプからもたらされる刺激を受け入れることしかできなくなった。
サクラの口から意味をなさない声が途切れ途切れに発せられる。それに合わせてスネイプの荒い呼吸が、汗がサクラの体を濡らした。
あれから、どれほど重なり合ったのか。気がつけば冬の朝焼けが窓から差し込んでいた。スネイプの宣言通り、彼のことしか考えられないほど、甘い刺激がサクラから余裕を失わせていた。そのおかげか、一晩別の意味で泣き続け、セドリックのことは頭から追いやられていた。隣でスネイプがソファに座り直した。薄紫がかった朝焼けの光がスネイプの胸にさしている。色白の肌がまるでかがやいているようだった。乱れた髪を掻き上げる気だるげな表情と相まって、現実離れしたような雰囲気を醸し出している。
「……まだ、体力があるのか?」
乱れた黒髪からのぞく漆黒の瞳が意地悪くわらった。
「……い、いえ。」
「これほど声をからしても求めるならば、それに応じねばなるまい。」
さらり、とサクラの髪を梳き、こちらをのぞき込んだ。面白がるような言い方は普段の棘があるものとは違っているように聞こえる。それにうまく答えられないでいると、スネイプが小さく笑った。
「先にシャワーを浴びてこい。今日は片付けが残っているだろう。」
促されるまま、サクラは奥にあるシャワールームを借りた。熱いお湯を頭からかぶると、一気に現実に引き戻された。感情に流され、なし崩しになってしまったが、今思うと、どうしてスネイプに気を許してしまったのか自分でも分からない。ただ、あの夜のスネイプの声が優しかったから…としか言えない。そんな理由で流されてしまうほど、サクラの心は傷ついていたともいえるが、それに応じたスネイプの心は推し量ることができなかった。一晩中、言葉少なにサクラをいたわるように触れていた。今朝はまるで恋人にするように甘い雰囲気で髪を梳いた。情事の余韻からそんな行動をしたのだろうか。普段の関係から言えば、スネイプがサクラに好意があってのものでは無いだろうと思う。
しかしだ。好意の無い相手に一晩…それこそ朝まで付き合うだろうか?一瞬頭をよぎった考えを振り払うように、力任せに髪を洗った。
スネイプはシャワーを浴びていつもの服に身を包むと、先ほどまでの甘い雰囲気はどこかへいってしまったのか、普段通りの仏頂面へと戻っていた。それを見ると、先ほどまで思い悩んでいたのが馬鹿らしくなり、サクラは事務的に「では、お邪魔しました。」と短く挨拶して、部屋をあとにした。
まだ早朝、しかもパーティの後ということもあり、校内はがらんとしていた。身を切るような寒さが廊下にまで達している。昨日から着ているドレスでは、やはり寒い。早いところ部屋へ戻ろう。サクラが足早に廊下を進んでいると、思わぬ人物と出くわした。
「こんなところで会うとは。」
現れたのはムーディだった。驚いた様子のムーディは厚手のコートに身を包んで、どこかへ出かけていたらしい。
「おはようございます。」
「まだパーティ気分が抜けないか。」
そういいながら近づいてくるムーディ…クラウチjrに愛想笑いを向けた。
「楽しかったものですから、脱ぐのがもったいなくて。」
「ほう……。ずいぶんと『お楽しみ』だったようだな。」
強調するようにムーディが言った。
「ええ、とても。」
にこり、と笑い返すサクラに、ムーディもにやり、と笑った。
「……あながち噂は本当のようだな。」
ムーディの言葉が何の噂を示しているのか。以前流れていたガセネタが今では本当になっているとは。彼にはごまかせていないようだ。
「それで、先生は早朝にお出かけですか?」
「お前に教えると思うか?」
「まだ、疑っておいでですか?」
「あんな作戦をすぐに披露できるのはよほどの切れ者か、当事者しかいない。」
「…切れ者だという方には?」
「ならば、ここで管理人などしていないだろう。」
こつん、とムーディの義足が鳴り、距離が縮まった。
「ここには疑わしい奴がいるからな。それを囲っているとはダンブルドアもよほど寛大だ。裏切りを知ったらどう思うか。」
どの口でそういうのか。
今、まさに皆を欺き、ここに立っているのはムーディの方ではないか。そのためにハリーやロン、ハーマイオニーは苦しみ、セドリックは……。
彼らの苦悩を知っている。これから起こる悲劇も。わき上がってくる怒りに任せて問い詰められればどれほどいいか。しかし、それは損にしかならない。こちらをのぞき込むムーディの視線から逃れるように顔を背けた。
「俺と向き合うのはそれほど後ろめたいか?」
そういって、ムーディにサクラの顎に手をかけられた瞬間、ぞわりと悪寒が走った。
「こんなところで会うとは。二人も散歩かの?」
廊下の角からダンブルドアが姿を現した。
「あのあとバグマンと一杯やっていたら、二杯、三杯となってしまった。酔い覚ましに早朝の散歩はうってつけじゃよ。」
朗らかに笑うダンブルドアの様子にムーディの手が離れた。途端、サクラは、ほっと胸をなで下ろした。
「……楽しそうでなによりです。私も昨日は厨房で飲み過ぎてしまって、朝帰りですよ。」
「それは、それは。」
ほほほ、と笑うダンブルドアにサクラも笑顔を返した。
「では、私はこの後仕事がありますので失礼します。」
その場を去るサクラの姿をダンブルドアとムーディは見つめていた。
「随分余裕だな。」
スネイプの胸元に置いていた手を掴まれ、そのまま、顔の横で絡め取られる。
「そう見えます…?……っあ」
「何も考えられないようにしてやろう。」
スネイプの唇がサクラの耳朶をはんだ。そして、もう一方の手がサクラの奥を暴いていくと、熱に浮かされたように、スネイプからもたらされる刺激を受け入れることしかできなくなった。
サクラの口から意味をなさない声が途切れ途切れに発せられる。それに合わせてスネイプの荒い呼吸が、汗がサクラの体を濡らした。
あれから、どれほど重なり合ったのか。気がつけば冬の朝焼けが窓から差し込んでいた。スネイプの宣言通り、彼のことしか考えられないほど、甘い刺激がサクラから余裕を失わせていた。そのおかげか、一晩別の意味で泣き続け、セドリックのことは頭から追いやられていた。隣でスネイプがソファに座り直した。薄紫がかった朝焼けの光がスネイプの胸にさしている。色白の肌がまるでかがやいているようだった。乱れた髪を掻き上げる気だるげな表情と相まって、現実離れしたような雰囲気を醸し出している。
「……まだ、体力があるのか?」
乱れた黒髪からのぞく漆黒の瞳が意地悪くわらった。
「……い、いえ。」
「これほど声をからしても求めるならば、それに応じねばなるまい。」
さらり、とサクラの髪を梳き、こちらをのぞき込んだ。面白がるような言い方は普段の棘があるものとは違っているように聞こえる。それにうまく答えられないでいると、スネイプが小さく笑った。
「先にシャワーを浴びてこい。今日は片付けが残っているだろう。」
促されるまま、サクラは奥にあるシャワールームを借りた。熱いお湯を頭からかぶると、一気に現実に引き戻された。感情に流され、なし崩しになってしまったが、今思うと、どうしてスネイプに気を許してしまったのか自分でも分からない。ただ、あの夜のスネイプの声が優しかったから…としか言えない。そんな理由で流されてしまうほど、サクラの心は傷ついていたともいえるが、それに応じたスネイプの心は推し量ることができなかった。一晩中、言葉少なにサクラをいたわるように触れていた。今朝はまるで恋人にするように甘い雰囲気で髪を梳いた。情事の余韻からそんな行動をしたのだろうか。普段の関係から言えば、スネイプがサクラに好意があってのものでは無いだろうと思う。
しかしだ。好意の無い相手に一晩…それこそ朝まで付き合うだろうか?一瞬頭をよぎった考えを振り払うように、力任せに髪を洗った。
スネイプはシャワーを浴びていつもの服に身を包むと、先ほどまでの甘い雰囲気はどこかへいってしまったのか、普段通りの仏頂面へと戻っていた。それを見ると、先ほどまで思い悩んでいたのが馬鹿らしくなり、サクラは事務的に「では、お邪魔しました。」と短く挨拶して、部屋をあとにした。
まだ早朝、しかもパーティの後ということもあり、校内はがらんとしていた。身を切るような寒さが廊下にまで達している。昨日から着ているドレスでは、やはり寒い。早いところ部屋へ戻ろう。サクラが足早に廊下を進んでいると、思わぬ人物と出くわした。
「こんなところで会うとは。」
現れたのはムーディだった。驚いた様子のムーディは厚手のコートに身を包んで、どこかへ出かけていたらしい。
「おはようございます。」
「まだパーティ気分が抜けないか。」
そういいながら近づいてくるムーディ…クラウチjrに愛想笑いを向けた。
「楽しかったものですから、脱ぐのがもったいなくて。」
「ほう……。ずいぶんと『お楽しみ』だったようだな。」
強調するようにムーディが言った。
「ええ、とても。」
にこり、と笑い返すサクラに、ムーディもにやり、と笑った。
「……あながち噂は本当のようだな。」
ムーディの言葉が何の噂を示しているのか。以前流れていたガセネタが今では本当になっているとは。彼にはごまかせていないようだ。
「それで、先生は早朝にお出かけですか?」
「お前に教えると思うか?」
「まだ、疑っておいでですか?」
「あんな作戦をすぐに披露できるのはよほどの切れ者か、当事者しかいない。」
「…切れ者だという方には?」
「ならば、ここで管理人などしていないだろう。」
こつん、とムーディの義足が鳴り、距離が縮まった。
「ここには疑わしい奴がいるからな。それを囲っているとはダンブルドアもよほど寛大だ。裏切りを知ったらどう思うか。」
どの口でそういうのか。
今、まさに皆を欺き、ここに立っているのはムーディの方ではないか。そのためにハリーやロン、ハーマイオニーは苦しみ、セドリックは……。
彼らの苦悩を知っている。これから起こる悲劇も。わき上がってくる怒りに任せて問い詰められればどれほどいいか。しかし、それは損にしかならない。こちらをのぞき込むムーディの視線から逃れるように顔を背けた。
「俺と向き合うのはそれほど後ろめたいか?」
そういって、ムーディにサクラの顎に手をかけられた瞬間、ぞわりと悪寒が走った。
「こんなところで会うとは。二人も散歩かの?」
廊下の角からダンブルドアが姿を現した。
「あのあとバグマンと一杯やっていたら、二杯、三杯となってしまった。酔い覚ましに早朝の散歩はうってつけじゃよ。」
朗らかに笑うダンブルドアの様子にムーディの手が離れた。途端、サクラは、ほっと胸をなで下ろした。
「……楽しそうでなによりです。私も昨日は厨房で飲み過ぎてしまって、朝帰りですよ。」
「それは、それは。」
ほほほ、と笑うダンブルドアにサクラも笑顔を返した。
「では、私はこの後仕事がありますので失礼します。」
その場を去るサクラの姿をダンブルドアとムーディは見つめていた。