炎のゴブレット編
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双子と別れ、渡り廊下の人気の無い場所で届いた手紙を開いた。『親愛なるサクラへ』との始まりの言葉から、ルーピンの優しい筆記体の文字が並んでいた。
『 親愛なるサクラへ
仕事の方は順調かい?私はダンブルドアから頼まれた仕事をこなしているところだよ。君が気にしていた彼の事だけど、『静か』すぎる自宅でいつも通りさ。心配することはなさそうだ。そういえば、今年のクリスマスはダンスパーティだそうだね。よかったら、一緒に着ていくドレスを見て回らないかい?その合間に、ロンドンで見つけたカフェがあるんだ。チェリーパイが美味しいお店らしくてね。…男一人が入るには素敵すぎるお店なんだけど、どうしてもそこのチェリーパイを味わってみたいんだ。むしろこっちが本命なんだけど……一緒に行ってくれないかい?もちろん、ご馳走させてもらうよ!…ドレスは経費で落とさせてもらうけどね。次の休日、君がOKしてくれるなら、ホグワーツに迎えに行くよ。』
チェリーパイ…何とも魅力的なお誘いだ。学校内では緊張する場面が多くある。たまには、息抜きをすることも大事だ。読み終えた封筒を胸にしまうと、自室に戻り、すぐに返事を書いた。手紙に書ける内容は当たり障りのないものだ。会ったときに『彼』…クラウチ氏の話をしておこう。ウォルデモートが直接会うことはなくとも、クラウチjrが接触する可能性は高い。姿を変えて、訪問する可能性がある。森での不可解な行動について話しておけばリーマスも怪しんで監視の目を強めてくれるだろう。書き上がった手紙を学校のフクロウに結びつける。
「これをリーマス先生のところへお願い。」
聞いているか分からないが、灰色のフクロウが一声鳴くと、同じく灰色がかった空へと舞い上がった。
日々の業務やクリスマスの準備に追われる中、気付けばリーマスとの約束の日がやってきていた。朝、いつもより少し早く目覚めると、出かける用にメイクを変える。冬の寒さに映えるような鮮やかなラメの入ったアイシャドウとマットな口紅をひいた。ロンドンの街に溶け込むような、いつもよりツヤ感を意識したメイクを施す。それに、手触りのいい毛足の長い黒ニットと鮮やかな黄色のコーデュロイのタイトなロングスカート、ショート丈のブーツを合わせる。このクローゼットは模様替えまでしてくれるのか、もしくは屋敷僕がやってくれるのか、冬には冬用の洋服が何着か入れられている。そこから選べるというのも楽しいものだ。支度を済ませて、大広間で手早く朝食を済ませてしまおうと、人の少ない朝早くに席に向かった。そこに生徒の姿は見えず、教職員席で…言い方は失礼であるが、年配の先生方が朝食をとっているところだった。マクゴナガル先生は休日にもかかわらず、きっちりと髪をまとめて、ローブをまとっている。
「おはようございます、マクゴナガル先生。」
「おはようございますサクラ……まあ、素敵ね!今日はお出かけ?」
「ええ、ダンスパーティの服を買いに…職員も正装と言うことなので。」
「開会の日のドレス姿も素敵だったわ。私たちは監督側ですが、あなたの美しいドレス姿は今から楽しみだわ。」
マクゴナガルはにっこりとお茶目な顔をのぞかせて楽しそうに言った。こうして手放しで褒めてもらえるのは素直に嬉しい。サクラもにこりと笑って返した。
「先生のローブも裏地や細部に趣向が凝らしてあって凜々しくも美しいお姿でしたよ。」
お互いにお互いの姿を褒めながら、朝食のトーストと温野菜、ソーセージを軽く食べた。そして、マクゴナガルには「待ち合わせがありますので。」と言って、サクラは食事を済ませるとすぐに大広間を後にした。『待ち合わせ』ときき、セブルスと…?と内心嬉々としていたマクゴナガルは、そのあとすぐにやってきたスネイプの姿に困惑したのだった。
「……じゃあ、一体誰と?」
「なんのことですかな…?」
スネイプを見ながら困惑した表情を見せるマクゴナガルがつぶやいた。それに、頭に疑問府を浮かべたスネイプは聞き返すも、マクゴナガルからは哀れむような目を向けられるだけであった。
待ち合わせは暴れ柳の前で、コートを着て向かうと、すでにリーマスが待っているところだった。
「お待たせしてごめんなさい。」
「おはよう、サクラ。僕が張り切って早めに来ただけさ。今日はいつもと雰囲気が違うね。綺麗な女性と歩くのは、ちょっと緊張しちゃうな。」
そういって、リーマスは爽やかな笑顔で答えた。この年代の男性で、嫌みの無い言い方を久しぶりに聞いた。
「ありがとうございます。せっかくのお出かけだからお洒落したんです。ロンドンは行ったことがないから楽しみです。」
「それじゃあ、色々観光もしよう。さあ、行こうか。」
リーマスが手を差し出した。その手を取って暴れ柳の幹にある穴を通っていく。一見狭そうだが、大人が通る十分なスペースがあり難なく通ることが出来た。そして、叫びの屋敷までくると、そこで姿現しをしてロンドンの街へと向かった。つないだままの手を離すのも不自然に思われそうで、そのままロンドンの街を歩いて行く。
有名なロンドン塔、タワーブリッジ、セントポール大聖堂などを見て回った。テムズ川を通る遊覧船を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごした。午前中にかなり歩いたが、それほどつらくないのはリーマスがサクラの歩調に合わせて歩いてくれているからだろう。サクラより幾分も高い背で、隣でゆっくりと歩きながら、観光地の説明もしてくれる。マグルの世界の話にも詳しく、しかも影で魔法使いも建設に関わっていただとか、裏話も聞くことが出来て楽しい観光だった。川沿いに歩いて行くと、リーマスが事前に探してくれていた、といってもダンブルドアに相談したそうだが、ドレス専門店を案内してくれた。一見して高級そうな見た目だ。ドアマンもついており、一人では入れないような敷居の高い店である。そこで店員の女性にいつくか見繕ってもらい、何着か試着をした。
「奥様、とてもお似合いですわ。」
美人な店員に褒められると悪い気はしない。黒から紺のグラデーションの生地に星をちりばめたようにきらきらと輝く粒が装飾に施されている。腕は同系色の透け感のあるタイトな袖で、そこから着物の袖のように生地がつけられている。
「旦那様も奥様似合わせてこちらはいかがでしょうか。」
そういって、黒のタイトなスーツにサクラの着ているドレスと同じ生地のスカーフが首回りにつけられている。華やかなスカーフと、それをとめるネクタイピンは大粒のダイヤが使われている。しかし、それが派手に見えないようなカット加工が施されており、スーツによく似合っていた。店員も商売だ、テンポよくこうして提案してくるのはさすがである。サクラがそれに言葉を返そうとしたと同じくリーマスが口を開いた。
「今回は彼女の分だけでいいよ。また次の機会で合わせて購入を検討しよう。」
リーマスは愛想の良い笑顔で返した。夫婦ではない、などと野暮なことを言って断らないあたりに、相手を気遣う余裕が見えた。……それに比べてあの男は。こんな時にはきっと、「失敬な。この者と婚姻を結んだ覚えはない。」だとか、失礼なことを言って場を凍らせるのだろう。
品物を包んでもらっている間に併設されたカフェで一休みをした。簡単な飲み物と軽食を提供してくれるらしい。トーストサンドとローズの香り漂うラテを注文した。リーマスはホットチョコレートだ。出てきたラテはピンクの泡に花の模様が施され、まさに薔薇のようだ。味も申し分ない。この世界に来て、ここまで素晴らしい体験が出来るとは想像もしていなかった。ロンドンの街並みに現代では?と思えるが、時折見える過去の西暦表示をみて、やはり違う世界線にいるのだと認識させられる。
リーマスお目当てのお店に着いたのは夕方で、夕食と共にチェリーパイをいただくことになった。高層ビルの最上階にある店内は天井から壁にかけてガラス張りだ。夕日が差し込み、オレンジ色の光が店内を包んでいた。バーカウンターもあり、酒の提供もしてくれるようだ。カウンター席に腰を下ろすと眼前にはロンドン橋を見下ろす景色が広がり、それだけで、ここにきた甲斐があると感じられる。リーマスのデートコースは完璧だ。これが好きな相手だったならば一瞬で落ちているだろう。軽食とビールで乾杯し、料理を楽しんだ。その間に大会での不可解な点について話をしていく。やはり森でのクラウチ氏のことは不審に思ったようでリーマスの視線が鋭くなった。
「誰かに極秘で会うためか…。しかし、人目の多いところでなぜ?」
「そこでしか会えない…とか、でしょうか。」
「だが、しかし…それは学校内に」
協力者がいるのか?
そう言いいかけたリーマスも、あまりに危険な思考だと思い至ったのか言葉を切った。ここまで答えに近づいたのだ。彼には危険な芽を摘んでもらわなくては。
「こちらについてはスネイプ先生と協力して探します。ですが、協力者が1人とは限りません。接触しやすいのは、やはり外でしょう。」
「変装してくるかもしれないしね。…全ての訪問者を確認するよ。」
「無茶なお願いをしてすみません。」
一日中張り付いていろと言っているも同然なのだ。申し訳ない。
「君も襲われたと聞いたよ。危険が迫っているんだ。僕がすることなんて、それに比べたらどうってことないさ。サクラこそ、十分に気をつけるんだ。危ない時は無茶して首を突っ込んではいけないよ。」
心配そうにこちらを覗き込むリーマスの表情は、なんだか生徒を心配する先生のようだ。
「そこは反省しています…。」
ここは大人しく従おう、とサクラはしおらしく返事をした。それに安堵したのか、リーマスの表情に笑顔が戻った。
「それじゃ、お待ちかねのチェリーパイだ。」
今日1番の目の輝きで、リーマスはチェリーパイを注文した。
『 親愛なるサクラへ
仕事の方は順調かい?私はダンブルドアから頼まれた仕事をこなしているところだよ。君が気にしていた彼の事だけど、『静か』すぎる自宅でいつも通りさ。心配することはなさそうだ。そういえば、今年のクリスマスはダンスパーティだそうだね。よかったら、一緒に着ていくドレスを見て回らないかい?その合間に、ロンドンで見つけたカフェがあるんだ。チェリーパイが美味しいお店らしくてね。…男一人が入るには素敵すぎるお店なんだけど、どうしてもそこのチェリーパイを味わってみたいんだ。むしろこっちが本命なんだけど……一緒に行ってくれないかい?もちろん、ご馳走させてもらうよ!…ドレスは経費で落とさせてもらうけどね。次の休日、君がOKしてくれるなら、ホグワーツに迎えに行くよ。』
チェリーパイ…何とも魅力的なお誘いだ。学校内では緊張する場面が多くある。たまには、息抜きをすることも大事だ。読み終えた封筒を胸にしまうと、自室に戻り、すぐに返事を書いた。手紙に書ける内容は当たり障りのないものだ。会ったときに『彼』…クラウチ氏の話をしておこう。ウォルデモートが直接会うことはなくとも、クラウチjrが接触する可能性は高い。姿を変えて、訪問する可能性がある。森での不可解な行動について話しておけばリーマスも怪しんで監視の目を強めてくれるだろう。書き上がった手紙を学校のフクロウに結びつける。
「これをリーマス先生のところへお願い。」
聞いているか分からないが、灰色のフクロウが一声鳴くと、同じく灰色がかった空へと舞い上がった。
日々の業務やクリスマスの準備に追われる中、気付けばリーマスとの約束の日がやってきていた。朝、いつもより少し早く目覚めると、出かける用にメイクを変える。冬の寒さに映えるような鮮やかなラメの入ったアイシャドウとマットな口紅をひいた。ロンドンの街に溶け込むような、いつもよりツヤ感を意識したメイクを施す。それに、手触りのいい毛足の長い黒ニットと鮮やかな黄色のコーデュロイのタイトなロングスカート、ショート丈のブーツを合わせる。このクローゼットは模様替えまでしてくれるのか、もしくは屋敷僕がやってくれるのか、冬には冬用の洋服が何着か入れられている。そこから選べるというのも楽しいものだ。支度を済ませて、大広間で手早く朝食を済ませてしまおうと、人の少ない朝早くに席に向かった。そこに生徒の姿は見えず、教職員席で…言い方は失礼であるが、年配の先生方が朝食をとっているところだった。マクゴナガル先生は休日にもかかわらず、きっちりと髪をまとめて、ローブをまとっている。
「おはようございます、マクゴナガル先生。」
「おはようございますサクラ……まあ、素敵ね!今日はお出かけ?」
「ええ、ダンスパーティの服を買いに…職員も正装と言うことなので。」
「開会の日のドレス姿も素敵だったわ。私たちは監督側ですが、あなたの美しいドレス姿は今から楽しみだわ。」
マクゴナガルはにっこりとお茶目な顔をのぞかせて楽しそうに言った。こうして手放しで褒めてもらえるのは素直に嬉しい。サクラもにこりと笑って返した。
「先生のローブも裏地や細部に趣向が凝らしてあって凜々しくも美しいお姿でしたよ。」
お互いにお互いの姿を褒めながら、朝食のトーストと温野菜、ソーセージを軽く食べた。そして、マクゴナガルには「待ち合わせがありますので。」と言って、サクラは食事を済ませるとすぐに大広間を後にした。『待ち合わせ』ときき、セブルスと…?と内心嬉々としていたマクゴナガルは、そのあとすぐにやってきたスネイプの姿に困惑したのだった。
「……じゃあ、一体誰と?」
「なんのことですかな…?」
スネイプを見ながら困惑した表情を見せるマクゴナガルがつぶやいた。それに、頭に疑問府を浮かべたスネイプは聞き返すも、マクゴナガルからは哀れむような目を向けられるだけであった。
待ち合わせは暴れ柳の前で、コートを着て向かうと、すでにリーマスが待っているところだった。
「お待たせしてごめんなさい。」
「おはよう、サクラ。僕が張り切って早めに来ただけさ。今日はいつもと雰囲気が違うね。綺麗な女性と歩くのは、ちょっと緊張しちゃうな。」
そういって、リーマスは爽やかな笑顔で答えた。この年代の男性で、嫌みの無い言い方を久しぶりに聞いた。
「ありがとうございます。せっかくのお出かけだからお洒落したんです。ロンドンは行ったことがないから楽しみです。」
「それじゃあ、色々観光もしよう。さあ、行こうか。」
リーマスが手を差し出した。その手を取って暴れ柳の幹にある穴を通っていく。一見狭そうだが、大人が通る十分なスペースがあり難なく通ることが出来た。そして、叫びの屋敷までくると、そこで姿現しをしてロンドンの街へと向かった。つないだままの手を離すのも不自然に思われそうで、そのままロンドンの街を歩いて行く。
有名なロンドン塔、タワーブリッジ、セントポール大聖堂などを見て回った。テムズ川を通る遊覧船を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごした。午前中にかなり歩いたが、それほどつらくないのはリーマスがサクラの歩調に合わせて歩いてくれているからだろう。サクラより幾分も高い背で、隣でゆっくりと歩きながら、観光地の説明もしてくれる。マグルの世界の話にも詳しく、しかも影で魔法使いも建設に関わっていただとか、裏話も聞くことが出来て楽しい観光だった。川沿いに歩いて行くと、リーマスが事前に探してくれていた、といってもダンブルドアに相談したそうだが、ドレス専門店を案内してくれた。一見して高級そうな見た目だ。ドアマンもついており、一人では入れないような敷居の高い店である。そこで店員の女性にいつくか見繕ってもらい、何着か試着をした。
「奥様、とてもお似合いですわ。」
美人な店員に褒められると悪い気はしない。黒から紺のグラデーションの生地に星をちりばめたようにきらきらと輝く粒が装飾に施されている。腕は同系色の透け感のあるタイトな袖で、そこから着物の袖のように生地がつけられている。
「旦那様も奥様似合わせてこちらはいかがでしょうか。」
そういって、黒のタイトなスーツにサクラの着ているドレスと同じ生地のスカーフが首回りにつけられている。華やかなスカーフと、それをとめるネクタイピンは大粒のダイヤが使われている。しかし、それが派手に見えないようなカット加工が施されており、スーツによく似合っていた。店員も商売だ、テンポよくこうして提案してくるのはさすがである。サクラがそれに言葉を返そうとしたと同じくリーマスが口を開いた。
「今回は彼女の分だけでいいよ。また次の機会で合わせて購入を検討しよう。」
リーマスは愛想の良い笑顔で返した。夫婦ではない、などと野暮なことを言って断らないあたりに、相手を気遣う余裕が見えた。……それに比べてあの男は。こんな時にはきっと、「失敬な。この者と婚姻を結んだ覚えはない。」だとか、失礼なことを言って場を凍らせるのだろう。
品物を包んでもらっている間に併設されたカフェで一休みをした。簡単な飲み物と軽食を提供してくれるらしい。トーストサンドとローズの香り漂うラテを注文した。リーマスはホットチョコレートだ。出てきたラテはピンクの泡に花の模様が施され、まさに薔薇のようだ。味も申し分ない。この世界に来て、ここまで素晴らしい体験が出来るとは想像もしていなかった。ロンドンの街並みに現代では?と思えるが、時折見える過去の西暦表示をみて、やはり違う世界線にいるのだと認識させられる。
リーマスお目当てのお店に着いたのは夕方で、夕食と共にチェリーパイをいただくことになった。高層ビルの最上階にある店内は天井から壁にかけてガラス張りだ。夕日が差し込み、オレンジ色の光が店内を包んでいた。バーカウンターもあり、酒の提供もしてくれるようだ。カウンター席に腰を下ろすと眼前にはロンドン橋を見下ろす景色が広がり、それだけで、ここにきた甲斐があると感じられる。リーマスのデートコースは完璧だ。これが好きな相手だったならば一瞬で落ちているだろう。軽食とビールで乾杯し、料理を楽しんだ。その間に大会での不可解な点について話をしていく。やはり森でのクラウチ氏のことは不審に思ったようでリーマスの視線が鋭くなった。
「誰かに極秘で会うためか…。しかし、人目の多いところでなぜ?」
「そこでしか会えない…とか、でしょうか。」
「だが、しかし…それは学校内に」
協力者がいるのか?
そう言いいかけたリーマスも、あまりに危険な思考だと思い至ったのか言葉を切った。ここまで答えに近づいたのだ。彼には危険な芽を摘んでもらわなくては。
「こちらについてはスネイプ先生と協力して探します。ですが、協力者が1人とは限りません。接触しやすいのは、やはり外でしょう。」
「変装してくるかもしれないしね。…全ての訪問者を確認するよ。」
「無茶なお願いをしてすみません。」
一日中張り付いていろと言っているも同然なのだ。申し訳ない。
「君も襲われたと聞いたよ。危険が迫っているんだ。僕がすることなんて、それに比べたらどうってことないさ。サクラこそ、十分に気をつけるんだ。危ない時は無茶して首を突っ込んではいけないよ。」
心配そうにこちらを覗き込むリーマスの表情は、なんだか生徒を心配する先生のようだ。
「そこは反省しています…。」
ここは大人しく従おう、とサクラはしおらしく返事をした。それに安堵したのか、リーマスの表情に笑顔が戻った。
「それじゃ、お待ちかねのチェリーパイだ。」
今日1番の目の輝きで、リーマスはチェリーパイを注文した。