炎のゴブレット編
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スネイプが校長室に到着すると、ダンブルドアは部屋中を歩き回っていた足を止め、そちらを向いた。
「ダンブルドア、禁じられた呪文でサクラが襲われました。」
「ほう、『どちら』かね?」
「奴らが力をつけて来ているようです。あやつが言うには校内にも紛れているようです。」
明確に言わずともこの校長には意図が伝わったらしい。アイスブルーの瞳が鋭く光った。
「目星はついておるのかね?」
「『知っている』ようですが、その時までは伝えない、と。しかし、自ら動いてあぶり出そうとしています。」
「ふむ……」
少しの間、ダンブルドアは思案するようにあごひげを撫でながら、自身の机の周りで歩き回った。
「これから魔法省に呼び出されておっての。こちらのことはお主たちに任せる。」
ダンブルドアは、あくまでサクラも使い捨ての駒のひとつと言ったも同然だ。スクイブに使われる類いの呪文では無い事は誰だって分かる。それが、ホグワーツ近くの、しかも多くの人で賑わっていた場所で行われたのだ。危険が間近に迫っていると分かっているにもかかわらず、サクラの行動を止めようとはしない。
「磔の呪文が使われたのですぞ。このまま動かせば命の保証はない!」
次、サクラが狙われれば、緑の閃光がその胸を突き抜けるだろう。奴らにとっては陣営以外の者など虫けら以下だ。…いや、使えなければいつだって殺される。過去に見てきた屠られた屍は敵味方関係なく、いくつとも知れない。語気を強めてダンブルドアに進言すると、面白い物でも見つけたような視線をこちらに向けた。
「セブルス、お主にとってサクラはただの監視対象でしかないと思っておったが。…守るべき対象ということかの。」
スネイプはダンブルドアの言葉に、ぐっと口を引き結んだ。自身でも意識しないうちに、サクラへの思いが変わってしまったことを素直に認めたくはなかった。…特に、この男の前では。
「やつの情報はこちらにとって最大の武器になります。手放すには惜しいのでは。」
冷静な表情を貼り付けて返答する。…当時、こちらに加わるのと引き替えに、リリーでさえ交渉の材料にしたのだ。そう思うと、自然と眉間に皺が寄った。
サクラは2日間をスネイプの部屋で過ごすこととなった。食事は屋敷しもべが頼んでくれたらしく、時間になれば、部屋に食事が用意された。それも、リゾットやスープといった病人食のものであった。食後の薬はスネイプが毎回準備してくれていたし、いつもの嫌みな教授からは考えられない甲斐甲斐しい看病であった。それだけ体が酷い状態なのだろう。スネイプの寝床を奪ってしまい、申し訳なくも思っていたが、夜になればスネイプは隣の扉に拡張魔法をかけて、自身の寝室を大きく作り替えていた。肝心のシャワーと言えば、「今の状態で出来ると思うか?」との一言を頂き、タオルで拭くことになった。
「早く脱げ。」
ここまでの経緯が無ければ犯罪にもとれる言葉を目の前の男は発した。
「忙しい合間を縫って我が輩が看病をしてやっているのだ。もたもたするな。」
眉間の皺を寄せて不機嫌そうにしているが、こちらだって同じくらい不機嫌な顔をして見返した。
「さすがに男性にやっていただくのは。」
「貴様が気を失っている間に体中に軟膏を塗ってやったのは誰だと思っている?」
そう言われて、服の中を確認する。人に見られたくない場所にまで丁寧に軟膏が塗られている。
「まさか…「魔法で」ですよね?」
その返答には答えず、スネイプがサクラの服に手にかけた。
「貴様の体ごときで我が輩が欲情するとでも?まだ、課題の添削が残っているのだ。手間をかけさせるな。」
本気で脱がしにかかる手をサクラは必死で止めた。
「わ、分かりました!脱ぎますから後ろを向いてください。準備します。」
本音を言えば、怪我がぶりかえそうと、一人でシャワーを浴びたいところである。しかし、それによって、この男と過ごす時間が増えると思うと、素直に従うほか無かった。「欲情するとでも?」と馬鹿にしたような男のいい草に内心、頭にくる。…あの夜、わけも分からぬまま口づけをしたのはどこの誰だと思っているのだ。
可動域の狭まった腕で、何とか上着を脱ぎ、タオルで前を隠す。物音がしなくなったところでスネイプがこちらを振り向いた。視線を向けられると自然と顔に熱が集まってくる。サクラは視線を下に向けたまま、目を合わすことが出来なかった。例え、寝ている間に治療されていたとしても、やはり意識があるときとでは恥ずかしさが違う。
スネイプは、うつむいたサクラを見やったが、声をかけるでもなく、露わになった背中にタオルを押し当てた。その仏頂面とは対照的に力加減は優しく、温かいタオルでサクラの背を拭いてやる。白く細い首筋にタオルを滑らせると、サクラの肩がぴくりとはねた。それをみて、スネイプの口端が少し上がった。耳の裏から首筋、肩甲骨からくびれたウエストへと何度か行き来させる。サクラは短く息を吐き、紛らわせるように、体を少し傾けて、その感覚から逃れようとしていた。それを、スネイプの手が肩を固定させ、阻んだ。
「…お前が逃げては終わらん。」
ウエストに当てていたタオルをサクラの腹の方へと進ませた。ひくり、とその柔らかい肌が上下するのがタオル越しに伝わる。すると、スネイプの手にサクラの手が重ねられた。
「あとは自分でできます。」
硬い声であるが、耳朶は赤く染まっていた。…虐めすぎたか。と、スネイプはタオルをそのままサクラに渡すと、杖を一降りして、背中に軟膏を塗り直した。
「軟膏はここに置いておく、残りは自分でなんとかしろ。」
そう言うと、課題の山積みになった部屋へと戻っていった。
「ダンブルドア、禁じられた呪文でサクラが襲われました。」
「ほう、『どちら』かね?」
「奴らが力をつけて来ているようです。あやつが言うには校内にも紛れているようです。」
明確に言わずともこの校長には意図が伝わったらしい。アイスブルーの瞳が鋭く光った。
「目星はついておるのかね?」
「『知っている』ようですが、その時までは伝えない、と。しかし、自ら動いてあぶり出そうとしています。」
「ふむ……」
少しの間、ダンブルドアは思案するようにあごひげを撫でながら、自身の机の周りで歩き回った。
「これから魔法省に呼び出されておっての。こちらのことはお主たちに任せる。」
ダンブルドアは、あくまでサクラも使い捨ての駒のひとつと言ったも同然だ。スクイブに使われる類いの呪文では無い事は誰だって分かる。それが、ホグワーツ近くの、しかも多くの人で賑わっていた場所で行われたのだ。危険が間近に迫っていると分かっているにもかかわらず、サクラの行動を止めようとはしない。
「磔の呪文が使われたのですぞ。このまま動かせば命の保証はない!」
次、サクラが狙われれば、緑の閃光がその胸を突き抜けるだろう。奴らにとっては陣営以外の者など虫けら以下だ。…いや、使えなければいつだって殺される。過去に見てきた屠られた屍は敵味方関係なく、いくつとも知れない。語気を強めてダンブルドアに進言すると、面白い物でも見つけたような視線をこちらに向けた。
「セブルス、お主にとってサクラはただの監視対象でしかないと思っておったが。…守るべき対象ということかの。」
スネイプはダンブルドアの言葉に、ぐっと口を引き結んだ。自身でも意識しないうちに、サクラへの思いが変わってしまったことを素直に認めたくはなかった。…特に、この男の前では。
「やつの情報はこちらにとって最大の武器になります。手放すには惜しいのでは。」
冷静な表情を貼り付けて返答する。…当時、こちらに加わるのと引き替えに、リリーでさえ交渉の材料にしたのだ。そう思うと、自然と眉間に皺が寄った。
サクラは2日間をスネイプの部屋で過ごすこととなった。食事は屋敷しもべが頼んでくれたらしく、時間になれば、部屋に食事が用意された。それも、リゾットやスープといった病人食のものであった。食後の薬はスネイプが毎回準備してくれていたし、いつもの嫌みな教授からは考えられない甲斐甲斐しい看病であった。それだけ体が酷い状態なのだろう。スネイプの寝床を奪ってしまい、申し訳なくも思っていたが、夜になればスネイプは隣の扉に拡張魔法をかけて、自身の寝室を大きく作り替えていた。肝心のシャワーと言えば、「今の状態で出来ると思うか?」との一言を頂き、タオルで拭くことになった。
「早く脱げ。」
ここまでの経緯が無ければ犯罪にもとれる言葉を目の前の男は発した。
「忙しい合間を縫って我が輩が看病をしてやっているのだ。もたもたするな。」
眉間の皺を寄せて不機嫌そうにしているが、こちらだって同じくらい不機嫌な顔をして見返した。
「さすがに男性にやっていただくのは。」
「貴様が気を失っている間に体中に軟膏を塗ってやったのは誰だと思っている?」
そう言われて、服の中を確認する。人に見られたくない場所にまで丁寧に軟膏が塗られている。
「まさか…「魔法で」ですよね?」
その返答には答えず、スネイプがサクラの服に手にかけた。
「貴様の体ごときで我が輩が欲情するとでも?まだ、課題の添削が残っているのだ。手間をかけさせるな。」
本気で脱がしにかかる手をサクラは必死で止めた。
「わ、分かりました!脱ぎますから後ろを向いてください。準備します。」
本音を言えば、怪我がぶりかえそうと、一人でシャワーを浴びたいところである。しかし、それによって、この男と過ごす時間が増えると思うと、素直に従うほか無かった。「欲情するとでも?」と馬鹿にしたような男のいい草に内心、頭にくる。…あの夜、わけも分からぬまま口づけをしたのはどこの誰だと思っているのだ。
可動域の狭まった腕で、何とか上着を脱ぎ、タオルで前を隠す。物音がしなくなったところでスネイプがこちらを振り向いた。視線を向けられると自然と顔に熱が集まってくる。サクラは視線を下に向けたまま、目を合わすことが出来なかった。例え、寝ている間に治療されていたとしても、やはり意識があるときとでは恥ずかしさが違う。
スネイプは、うつむいたサクラを見やったが、声をかけるでもなく、露わになった背中にタオルを押し当てた。その仏頂面とは対照的に力加減は優しく、温かいタオルでサクラの背を拭いてやる。白く細い首筋にタオルを滑らせると、サクラの肩がぴくりとはねた。それをみて、スネイプの口端が少し上がった。耳の裏から首筋、肩甲骨からくびれたウエストへと何度か行き来させる。サクラは短く息を吐き、紛らわせるように、体を少し傾けて、その感覚から逃れようとしていた。それを、スネイプの手が肩を固定させ、阻んだ。
「…お前が逃げては終わらん。」
ウエストに当てていたタオルをサクラの腹の方へと進ませた。ひくり、とその柔らかい肌が上下するのがタオル越しに伝わる。すると、スネイプの手にサクラの手が重ねられた。
「あとは自分でできます。」
硬い声であるが、耳朶は赤く染まっていた。…虐めすぎたか。と、スネイプはタオルをそのままサクラに渡すと、杖を一降りして、背中に軟膏を塗り直した。
「軟膏はここに置いておく、残りは自分でなんとかしろ。」
そう言うと、課題の山積みになった部屋へと戻っていった。