炎のゴブレット編
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クラムに案内したのはホグワーツの中でも隅にある今は使われてない古い部屋が立ち並ぶ廊下だった。たまにデート場所としてくる生徒もいるが、そうでなければ、広々とした広間と長い廊下があり、トレーニングにはもってこいだ。この場所を紹介すると、クラムはうれしそうに口の端を引き上げた。ダームストラングの船内ではこれほど広いスペースはないらしい。
「ミスヒナタ、ありがとうございます。」
「いいえ、気に入ってもらえてよかったわ。」
早速、準備運動を始めたクラムに、サクラはもう自分の役目は終わったと、その場をあとにした。そして、その日は幸運にもスネイプと顔を合わせることなく、一日を過ごすことが出来た。
翌日以降、学校内は色々な意味で賑やかになっていた。代表となった選手たちにサインを迫る者。応援用のグッズを自主制作して身につけている者。そのなかでもセドリックは群を抜いて女性ファンが多かった。あの爽やかな外見であれば女の子たちは放っておかないだろう。見かけるたびに何人もの女子生徒が取り囲んでサインをねだったり、甘い声をだしてセドリックの気を引こうと奮闘している。それに対してセドリックはいやな顔をするでもなく、優しく対応しているのだ。まさに神対応。とサクラは内心、感心しながらも通常業務に従事していた。今も授業の日課は変わらないため、職員たちの生活は変わらない。あの宴の後から、サクラも日々の清掃業務に戻っていた。何度かセドリックと目が合う事があったが、何せ取り囲まれている中に話しに行く勇気はない。小さく笑いかけて、すぐになんともなかったように仕事に戻るを繰り返していた。
今日もサクラは外廊下近くの庭で作業をしていることろだった。この季節には木々が紅葉し、楓の葉がひらひらと落ちてくるのだ。今日はこの場所と決めて始めたがかなり大量の落ち葉があり、集めるのも一苦労だ。午前中で何とか集めきり、サクラはそれを廃棄するために一つに回収していた。集めているうちに、幼い頃、落ち葉で焼き芋を作ったことを思い出す。人ひとりが入れそうな大きな山だ。これだけあれば、たくさん芋が焼けるだろう。ハグリッドを誘い、彼の畑にあるさつまいもをいくつか拝借して、葉っぱの山の中に入れてじっくり火で温めていく。ハグリッドは初めてのようで、わくわくしながら落ち葉の山を見つめている。
「こりゃ、あったかくていい。」
薪に手をかざしながらハグリットが言った。
「体もあったまってお腹もいっぱいになるわよ。」
火加減を見ながらサクラは出来具合をみている。
「随分手慣れてるな。向こうではよくやるんか?」
「昔は家の庭でやる人も居たけど、今はお店で買う人が多いわね。私は小さい頃に何度かやったことがあるくらいよ。」
現代ではマンション住まいも多いし、一軒家でも近所のこともあり、こうやって薪をする家庭も少ない。これだけ広大な敷地があるからこそやってみようと思っただけで、サクラも現代ですごしていれば薪をしようなど思わなかっただろう。
しばらくして、できあがりの頃合いをみて、薪から焼き上がったさつまいもを取り出した。ほくほくとあたたかいのを手ではねさせながら冷ましていく。ハグリッドも同じように取り出して中身を割ってみる。日本のとは違い、濃いオレンジ色が湯気を上げている。「おお!」とハグリッドは感嘆の声を上げて、一口含んでは、また「おお!うまい!」と感動している。これほど感動してくれるとは、サクラはハグリッドの様子に笑みを浮かべた。自身も同じく口に入れてみる。水分の多い感じだが、甘さがある。こちらのさつまいもは飲み物がなくても、おいしく食べれそうだ。
「…マダムに差し上げたらどうだろう。喜んでいただけるか…?」
もじもじしながら、さつまいもをうっとり見つめる。
「きっと喜んでくださるわ。昼食の時に渡してみたら?」
そう言うと、ハグリッドはさつまいもを大事そうに抱えた。ハグリッドの純粋さに見ている方が癒やされるような気がしてくる。
ハグリッドと二人で昼食前の息抜きと、庭に座ってほおばっていると、廊下の方でなにやら騒がしくなっている。
「なにかしら?」
ハグリッドもいぶかしそうにしているが、「ウィーズリーの双子がいたずらでもしとるのかもしれん。」と言って、二本目を口にしているところだった。サクラも、それもそうか。と浮かしかけた腰を再び下ろした。しかし、廊下を走り去る見知った人物に気づき、再び腰を上げた。
「ハーマイオニー?!」
普段落ち着いている彼女が顔を手で覆って走って行くのだ。ただ事では無い。ハグリッドも驚いたように立ち上がった。
「一体どうした?!」
「分からない。でも…医務室の方へ向かったわね。」
「まさかケガでもしたんか?」
「それならハリーかロンが付き添うはずよ。…私、様子を見てくるわ。」
「それならわしも…」
そして、二人で医務室へと向かった。中には丁度処置をしてもらっているハーマイオニーがいた。前歯が顎よりも長くなり、胸元に着くくらいまで伸びている。
「ありゃ歯呪いだ…。」
苦々しそうな表情でハグリッドが言った。
「年頃の女の子にあんな呪文をかけるなんて。」
いったいどこの誰だ、と怒りがこみ上げてくる。あの年頃の子は一番が外見を気にするものだ。あれだけ騒ぎが聞こえていたということは大勢の人にこの姿を見られたに違いない。どれほど恥ずかしく、ショックだっただろう。マダム ポンフリーの処置が終わり、出口の方を振り返ったハーマイオニーは、サクラとハグリッドの姿を見て、驚いたように目を見開いた。その目は泣きはらしたのか、赤くなっていた。ハーマイオニーは二人の姿をみると、さっと顔を背けた。
「突然たずねてごめんなさい。あなたが医務室に行くのを偶然見かけて。」
「だれがこんな呪いをしたんだ。許せねえ!」
「マルフォイとハリーが言い争って私の方に呪文が飛んできたの。…ごめんなさい、今は気持ちの整理がつかなくて…。」
状況を話し始めると、またハーマイオニーの目には涙が浮かんできた。きっと呪文だけではない、マルフォイが関わっているのであれば、汚い罵りもあっただろうと想像に難くない。
「少し休んだ方がいいわ。私たちでよければいつでも話を聞くから。」
今は一人にしてあげたほうがいい。サクラはハグリットの背をたたいて、退出するようにうながした。「あとでうまいもん持ってきてやるからな。」そういって、医務室を後にした。
ハグリッドとは医務室で一度分かれ、サクラは午後の図書館業務のために一度部屋に戻って着替えることにした。簡単に汚れを洗い流して、いつものようにブラウスとロング丈のフレアスカートに着替える。大広間に向かうとすでに昼食を終えた生徒たちが出てくるところで、サクラは入れ違いであった。その集団に中にはセドリックがいた。例に漏れず女子生徒に囲まれているかと思いきや、今日はアーニーと一緒だ。セドリックはこちらに気付くと、きらきらした目をさせて駆け寄ってきた。
「サクラさん!」
大型犬のようにうれしさを全面に出してくれるのが、こちらも可愛く思えてくる。
「今からお昼?」
「ええ、あなたたちは食事は済ませたのね。」
「久しぶりにゆっくり食事ができましたよ。」
隣からアーニーがやれやれ、といった様子で言った。
「女の子が放っておかないわ。今日は珍しいわね。」
「このあと杖調べなんです。だから時間が無いと断って…あなたとこうして話せた。」
セドリックはうれしそうににっこり笑った。アーニーはセドリックの様子に肩をすくめながらも、友人のうれしそうな様子に笑みを浮かべていた。サクラにとってセドリックが懐いてくれるのが不思議ではあるが、まあ年頃の男子にとって年上と言うだけで憧れがあるのかもしれない、と深く考えないようにした。
「私もあなたたちと話せてよかったわ。セドリック、応援してるわ。頑張ってね。」
サクラの言葉にセドリックはさらに笑みを深めて、サクラの両手を握ると、「はい!見ていてくださいね!」ときらめく笑顔をみせた。
「ミスヒナタ、ありがとうございます。」
「いいえ、気に入ってもらえてよかったわ。」
早速、準備運動を始めたクラムに、サクラはもう自分の役目は終わったと、その場をあとにした。そして、その日は幸運にもスネイプと顔を合わせることなく、一日を過ごすことが出来た。
翌日以降、学校内は色々な意味で賑やかになっていた。代表となった選手たちにサインを迫る者。応援用のグッズを自主制作して身につけている者。そのなかでもセドリックは群を抜いて女性ファンが多かった。あの爽やかな外見であれば女の子たちは放っておかないだろう。見かけるたびに何人もの女子生徒が取り囲んでサインをねだったり、甘い声をだしてセドリックの気を引こうと奮闘している。それに対してセドリックはいやな顔をするでもなく、優しく対応しているのだ。まさに神対応。とサクラは内心、感心しながらも通常業務に従事していた。今も授業の日課は変わらないため、職員たちの生活は変わらない。あの宴の後から、サクラも日々の清掃業務に戻っていた。何度かセドリックと目が合う事があったが、何せ取り囲まれている中に話しに行く勇気はない。小さく笑いかけて、すぐになんともなかったように仕事に戻るを繰り返していた。
今日もサクラは外廊下近くの庭で作業をしていることろだった。この季節には木々が紅葉し、楓の葉がひらひらと落ちてくるのだ。今日はこの場所と決めて始めたがかなり大量の落ち葉があり、集めるのも一苦労だ。午前中で何とか集めきり、サクラはそれを廃棄するために一つに回収していた。集めているうちに、幼い頃、落ち葉で焼き芋を作ったことを思い出す。人ひとりが入れそうな大きな山だ。これだけあれば、たくさん芋が焼けるだろう。ハグリッドを誘い、彼の畑にあるさつまいもをいくつか拝借して、葉っぱの山の中に入れてじっくり火で温めていく。ハグリッドは初めてのようで、わくわくしながら落ち葉の山を見つめている。
「こりゃ、あったかくていい。」
薪に手をかざしながらハグリットが言った。
「体もあったまってお腹もいっぱいになるわよ。」
火加減を見ながらサクラは出来具合をみている。
「随分手慣れてるな。向こうではよくやるんか?」
「昔は家の庭でやる人も居たけど、今はお店で買う人が多いわね。私は小さい頃に何度かやったことがあるくらいよ。」
現代ではマンション住まいも多いし、一軒家でも近所のこともあり、こうやって薪をする家庭も少ない。これだけ広大な敷地があるからこそやってみようと思っただけで、サクラも現代ですごしていれば薪をしようなど思わなかっただろう。
しばらくして、できあがりの頃合いをみて、薪から焼き上がったさつまいもを取り出した。ほくほくとあたたかいのを手ではねさせながら冷ましていく。ハグリッドも同じように取り出して中身を割ってみる。日本のとは違い、濃いオレンジ色が湯気を上げている。「おお!」とハグリッドは感嘆の声を上げて、一口含んでは、また「おお!うまい!」と感動している。これほど感動してくれるとは、サクラはハグリッドの様子に笑みを浮かべた。自身も同じく口に入れてみる。水分の多い感じだが、甘さがある。こちらのさつまいもは飲み物がなくても、おいしく食べれそうだ。
「…マダムに差し上げたらどうだろう。喜んでいただけるか…?」
もじもじしながら、さつまいもをうっとり見つめる。
「きっと喜んでくださるわ。昼食の時に渡してみたら?」
そう言うと、ハグリッドはさつまいもを大事そうに抱えた。ハグリッドの純粋さに見ている方が癒やされるような気がしてくる。
ハグリッドと二人で昼食前の息抜きと、庭に座ってほおばっていると、廊下の方でなにやら騒がしくなっている。
「なにかしら?」
ハグリッドもいぶかしそうにしているが、「ウィーズリーの双子がいたずらでもしとるのかもしれん。」と言って、二本目を口にしているところだった。サクラも、それもそうか。と浮かしかけた腰を再び下ろした。しかし、廊下を走り去る見知った人物に気づき、再び腰を上げた。
「ハーマイオニー?!」
普段落ち着いている彼女が顔を手で覆って走って行くのだ。ただ事では無い。ハグリッドも驚いたように立ち上がった。
「一体どうした?!」
「分からない。でも…医務室の方へ向かったわね。」
「まさかケガでもしたんか?」
「それならハリーかロンが付き添うはずよ。…私、様子を見てくるわ。」
「それならわしも…」
そして、二人で医務室へと向かった。中には丁度処置をしてもらっているハーマイオニーがいた。前歯が顎よりも長くなり、胸元に着くくらいまで伸びている。
「ありゃ歯呪いだ…。」
苦々しそうな表情でハグリッドが言った。
「年頃の女の子にあんな呪文をかけるなんて。」
いったいどこの誰だ、と怒りがこみ上げてくる。あの年頃の子は一番が外見を気にするものだ。あれだけ騒ぎが聞こえていたということは大勢の人にこの姿を見られたに違いない。どれほど恥ずかしく、ショックだっただろう。マダム ポンフリーの処置が終わり、出口の方を振り返ったハーマイオニーは、サクラとハグリッドの姿を見て、驚いたように目を見開いた。その目は泣きはらしたのか、赤くなっていた。ハーマイオニーは二人の姿をみると、さっと顔を背けた。
「突然たずねてごめんなさい。あなたが医務室に行くのを偶然見かけて。」
「だれがこんな呪いをしたんだ。許せねえ!」
「マルフォイとハリーが言い争って私の方に呪文が飛んできたの。…ごめんなさい、今は気持ちの整理がつかなくて…。」
状況を話し始めると、またハーマイオニーの目には涙が浮かんできた。きっと呪文だけではない、マルフォイが関わっているのであれば、汚い罵りもあっただろうと想像に難くない。
「少し休んだ方がいいわ。私たちでよければいつでも話を聞くから。」
今は一人にしてあげたほうがいい。サクラはハグリットの背をたたいて、退出するようにうながした。「あとでうまいもん持ってきてやるからな。」そういって、医務室を後にした。
ハグリッドとは医務室で一度分かれ、サクラは午後の図書館業務のために一度部屋に戻って着替えることにした。簡単に汚れを洗い流して、いつものようにブラウスとロング丈のフレアスカートに着替える。大広間に向かうとすでに昼食を終えた生徒たちが出てくるところで、サクラは入れ違いであった。その集団に中にはセドリックがいた。例に漏れず女子生徒に囲まれているかと思いきや、今日はアーニーと一緒だ。セドリックはこちらに気付くと、きらきらした目をさせて駆け寄ってきた。
「サクラさん!」
大型犬のようにうれしさを全面に出してくれるのが、こちらも可愛く思えてくる。
「今からお昼?」
「ええ、あなたたちは食事は済ませたのね。」
「久しぶりにゆっくり食事ができましたよ。」
隣からアーニーがやれやれ、といった様子で言った。
「女の子が放っておかないわ。今日は珍しいわね。」
「このあと杖調べなんです。だから時間が無いと断って…あなたとこうして話せた。」
セドリックはうれしそうににっこり笑った。アーニーはセドリックの様子に肩をすくめながらも、友人のうれしそうな様子に笑みを浮かべていた。サクラにとってセドリックが懐いてくれるのが不思議ではあるが、まあ年頃の男子にとって年上と言うだけで憧れがあるのかもしれない、と深く考えないようにした。
「私もあなたたちと話せてよかったわ。セドリック、応援してるわ。頑張ってね。」
サクラの言葉にセドリックはさらに笑みを深めて、サクラの両手を握ると、「はい!見ていてくださいね!」ときらめく笑顔をみせた。