アズカバンの囚人編
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女の指で鈍く光る黒い宝石は、一目みただけで闇の魔術が使われていることは明白だった。それも強力な魔法。昨年のあの日記のように持つものに大きな影響を与えるほどの強い魔法だ。あの森の中で出会った時、怯え、縋るような表情を見せていた、この女に、このような代物はあまりに不相応だった。
「ダンブルドア、この者の話は怪しい部分がいくつかあります。我輩からも2、3確認したいことがあるのですが、よろしいですな。」
優しい言葉を使ってはいるが、ダンブルドアも同じくこの女を疑っている。拘束をとかずにいるのがその証拠だ。
ダンブルドアは静かにうなづいた。
これほどまでに強力な闇の魔術に何の影響もされていない女の体。また、女の祖母も同じくマグルであるとすれば、なぜこのような代物を持っていたのか。そして何の目的でホグワーツに姿現しをするようにされていたのか。
「ミスヒナタ、魔法を持たない者、つまりマグルとお見受けするが、その認識に間違いはあるかね。」
「トリックのある手品でしたらいくつかできますが、そのようなマジックとは違うものですよね。」
「さきほど貴殿にかけられた翻訳呪文にトリックがおありだと?」
「いいえ、これが手品だとは思えませんよ。私はあなたのいうマグルなのだと思います。」
「では、そのマグルがなぜホグワーツについて知っている?」
そして、ただのマグルがこのホグワーツの存在を知っていることも女に向ける視線が鋭くなる理由の1つだ。ダンブルドアからの質問に、この女は迷うことなくここをホグワーツだと答えた。これまでの長い歴史の中、マグルにこの地を知られたことは一度もない。だからこそ、これだけ多くの魔法使いたちが何の杞憂もなく学校生活を送れるのである。
その問いに女の口端がひくりと動いた。
「それは貴方が先ほど『校長』とお呼びしていましたし…。」
「だから学校だと分かったのだと仰りたいのだろうが、その言葉からホグワーツのいう名前が出てくるのは誠に魔法のようですな。」
押し黙る女になおも畳み掛ける。
「なぜただのマグルが魔法世界について知っている?この城は魔法使いしか知ることのできない場所だ。すでに見たことがあるかのような物言い。納得のいく説明ができるのかね。」
この不可解なマグルに真実薬を飲ませて、知りうることを全て吐かせるのもひとつだ。念のために懐に入れた薬瓶に手をかける。
どこからかホグワーツの情報がもれ、そしてこの指輪と女が闇の陣営が差し向けたものだとしたら…。全ての情報を得てから必要があれば忘却の呪文を『誤って』かけそこない、全ての記憶を失わせて、マグルの街に置いておけばそれで終わる。
何も話そうとしない女の様子にダンブルドアが口を開いた。
「お主が口を開かねば、儂としても生徒を守る義務がある。少々、無理強いをさせねばならなくなる。できればお主自身の意志で話を聞きたいと思うておるのじゃが…。」
その言葉に女の瞳が揺れた。苦い顔をしてしばらく考えていたが、女は口を薄く開いた。
「きっと話しても信じていただけないかと。今の私の言葉でお二人を納得させることはできないと思います。」
このような状況で否をつきつけるとは、よほど肝の座った奴だ。森で見た弱々しさなど感じられぬ、意志のこもった言葉と、強い眼差しに面食らう。何かを覚悟したかのような表情だ。まるで今から何が起こるか分かっているかのような。
しかしマグルが真実薬の存在を知るはずもない。
「セブルス、薬をここに。」
懐の薬瓶の存在はダンブルドアも分かっていたのだろう。さっと杖を振ってゴブレットを近くに浮遊させた。
指示通り、真実薬をゴブレットに注ぎ、女の前に差し出した。
「死ぬことはない。これから行う質問に必要な薬だ。」
女はためらうことなくゴブレットに口をつけた。それに合わせてゴブレットを傾けてやる。中身の分からないものによく躊躇せず口をつけれるものだ。
己が真実薬の説明をしなかったからではあるが、女の大胆な行動にはいささか驚いた。
何から暴いてやろうか。
素性の知らぬ女に鋭い視線を向ける魔法薬学教授の気持ちを知らず、サクラはゴブレットの中身を飲み干していった。
「ダンブルドア、この者の話は怪しい部分がいくつかあります。我輩からも2、3確認したいことがあるのですが、よろしいですな。」
優しい言葉を使ってはいるが、ダンブルドアも同じくこの女を疑っている。拘束をとかずにいるのがその証拠だ。
ダンブルドアは静かにうなづいた。
これほどまでに強力な闇の魔術に何の影響もされていない女の体。また、女の祖母も同じくマグルであるとすれば、なぜこのような代物を持っていたのか。そして何の目的でホグワーツに姿現しをするようにされていたのか。
「ミスヒナタ、魔法を持たない者、つまりマグルとお見受けするが、その認識に間違いはあるかね。」
「トリックのある手品でしたらいくつかできますが、そのようなマジックとは違うものですよね。」
「さきほど貴殿にかけられた翻訳呪文にトリックがおありだと?」
「いいえ、これが手品だとは思えませんよ。私はあなたのいうマグルなのだと思います。」
「では、そのマグルがなぜホグワーツについて知っている?」
そして、ただのマグルがこのホグワーツの存在を知っていることも女に向ける視線が鋭くなる理由の1つだ。ダンブルドアからの質問に、この女は迷うことなくここをホグワーツだと答えた。これまでの長い歴史の中、マグルにこの地を知られたことは一度もない。だからこそ、これだけ多くの魔法使いたちが何の杞憂もなく学校生活を送れるのである。
その問いに女の口端がひくりと動いた。
「それは貴方が先ほど『校長』とお呼びしていましたし…。」
「だから学校だと分かったのだと仰りたいのだろうが、その言葉からホグワーツのいう名前が出てくるのは誠に魔法のようですな。」
押し黙る女になおも畳み掛ける。
「なぜただのマグルが魔法世界について知っている?この城は魔法使いしか知ることのできない場所だ。すでに見たことがあるかのような物言い。納得のいく説明ができるのかね。」
この不可解なマグルに真実薬を飲ませて、知りうることを全て吐かせるのもひとつだ。念のために懐に入れた薬瓶に手をかける。
どこからかホグワーツの情報がもれ、そしてこの指輪と女が闇の陣営が差し向けたものだとしたら…。全ての情報を得てから必要があれば忘却の呪文を『誤って』かけそこない、全ての記憶を失わせて、マグルの街に置いておけばそれで終わる。
何も話そうとしない女の様子にダンブルドアが口を開いた。
「お主が口を開かねば、儂としても生徒を守る義務がある。少々、無理強いをさせねばならなくなる。できればお主自身の意志で話を聞きたいと思うておるのじゃが…。」
その言葉に女の瞳が揺れた。苦い顔をしてしばらく考えていたが、女は口を薄く開いた。
「きっと話しても信じていただけないかと。今の私の言葉でお二人を納得させることはできないと思います。」
このような状況で否をつきつけるとは、よほど肝の座った奴だ。森で見た弱々しさなど感じられぬ、意志のこもった言葉と、強い眼差しに面食らう。何かを覚悟したかのような表情だ。まるで今から何が起こるか分かっているかのような。
しかしマグルが真実薬の存在を知るはずもない。
「セブルス、薬をここに。」
懐の薬瓶の存在はダンブルドアも分かっていたのだろう。さっと杖を振ってゴブレットを近くに浮遊させた。
指示通り、真実薬をゴブレットに注ぎ、女の前に差し出した。
「死ぬことはない。これから行う質問に必要な薬だ。」
女はためらうことなくゴブレットに口をつけた。それに合わせてゴブレットを傾けてやる。中身の分からないものによく躊躇せず口をつけれるものだ。
己が真実薬の説明をしなかったからではあるが、女の大胆な行動にはいささか驚いた。
何から暴いてやろうか。
素性の知らぬ女に鋭い視線を向ける魔法薬学教授の気持ちを知らず、サクラはゴブレットの中身を飲み干していった。