炎のゴブレット編
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ダンブルドアの指示に従い、サクラは来賓の出迎えに向かった。玄関ホールでの出迎えであり、先ほど2校を出迎えたときのように、ホールの入り口に控える。
空は、夜に向かって赤紫から紺へとグラデーションを作っている。月がのぼりはじめ、会場とは違う静かな雰囲気だ。その景色を眺めていると、先ほどまでの落ち着かなかった気持ちが凪いでいくようだった。
サクラはダンブルドアのいたずらに違いないが、相手はスネイプだ。また、どんな嫌みを言われるのか、分かったものではない。ただ、今は、これからの自分の仕事に専念せねば、と背筋をぴんと伸ばした。
ふと、空が光ったように見えた。流れ星だろうか、と思った次の瞬間には、時空がゆがみ、二人の男が現れた。突然の登場に一瞬、面食らったものの、サクラは気を取り直して、優雅に礼をした。
「…ようこそお越しくださいました。クラウチ様、バグマン様。」
一人は厳格そうな雰囲気の紳士。もう一人は人の良さそうな雰囲気の男だった。作品のなかでそこまで印象に残っている人物たちではないが、確か厳格そうな方がクラウチ氏であると予想を立てる。
「やあやあ!こんなに綺麗な女性が案内役かい!私はルード・バグマン。名前は知られているかもしれないがね…よろしくお嬢さん。」
バグマンはサクラの手をとって唇を落とした。
「ええ、お噂はかねがね。クィディッチでの功績と今回の3校対抗試合にもご尽力されたとか…お会いできて光栄ですわ。」
サクラの社交辞令にバグマンは素直に喜んでいるようで、赤みがかった肌が、さらに紅潮した。サクラとて来賓の役職くらいは下調べをしている。…そして、隣のクラウチの息子は会場で教師に化けていることも。クラウチは、バグマンに付き合いきれないとでも思ったのか、すぐに脱帽しコートを脱ぐと、サクラに預けた。
「案内をしてくれるかね。」
にこり、ともしない表情に真面目な男なのだな、と内心思いながらも、バグマンからもコートを預かり、会場へと案内した。
会場へ戻ると、各々の生徒たちが食事を楽しみ、クラムを自寮に獲得したスリザリンは、得意げに話しをしているところだった。初めて見るボーバトン生の女子生徒たちの美貌に惚ける生徒もいたりと、誰も二人が会場に入ってきたことには気がつかなかった。二人が着席し、サクラも席に着き、落ち着いたところで、ダンブルドアが立ち上がった。
「時は来た。」
ダンブルドアの声がぴん、と張り詰めた会場中に響き渡った。
誰もが次の言葉に全神経を集中し、ダンブルドアを見つめている。ダンブルドアは、その顔、ひとつひとつに笑いかけ、言葉を続けた。
「三大魔法学校対抗試合はまさに始まろうとしておる。『箱』を持ってこさせる前に、二言三言説明しておこうかの。」
『箱』という単語に生徒の誰もが疑問に思ったようだ。中身については教師陣は知らされている。この説明が終わればフィルチが運んでくる算段だ。
「今年はどんな手順で進めるのかを明らかにしておくためじゃが。そのまえに、まだこちらのお二人を知らない者のために紹介しよう。国際魔法協力部部長、バーテミウス・スラウチ氏。そして、魔法ゲーム・スポーツ部部長、ルード・バグマン氏じゃ。」
バグマンは盛大な拍手に陽気に手を振ってこたえた。しかし、クラウチがにこりともせず、儀礼的に起立しただけであった。サクラはクラウチの様子に、何か引っかかるものがあった。一般的に紹介されれば会釈の一つでもするところを直立不動なのも不自然であるが、喉まで出かかっているものの正体ははっきりしないまま、二人の紹介は終わってしまった。ダンブルドアは、フィルチに目配せをして「それでは、フィルチさん。箱をここへ。」と自身の目の前を指し示した。フィルチは指示の通り、宝石をちりばめられた大きな木箱を抱え、うやうやしくダンブルドアの目の前においた。生徒たちは、その箱を見つめいったいなんだろうと興奮のざわめきが起こった。クリービーなど背の低い者は立ち上がって一目見ようと必死だ。
「代表選手が今年取り組むべき課題の内容は、すでにクラウチ氏とバグマン氏が検討を終えておる。課題は3つあり、今学年1年間にわたって間をおいて行われ、代表選手はあらゆる角度から試される。魔力の卓越性―果敢な勇気―論理・推理力―そして、言うまでもなく、危険に対処する能力などじゃ。」
この最後の言葉で、場は完璧に沈黙した。息する者さえいないようだった。ダンブルドアはさらに説明を続けた。代表選手は各校一人、そして…
「代表選手を選ぶのは、公正なる選者…『炎のゴブレット』じゃ。」
ダンブルドアの杖が箱をたたくと、蓋がきしみながらゆっくりと開いた。あらわれたのは荒削りの木のゴブレットで、取り出された瞬間、その縁からあふれんばかりの青白い炎が踊った。
その幻想的な光景に誰もが目を奪われた。だが、その中には思惑を含んだ視線がひとつあった。サクラはちらりとムーディを窺い見た。ぎょろりとした眼球はあらゆる方向に動いていたが、片方の目は確実にハリーに目線を向けていた。
空は、夜に向かって赤紫から紺へとグラデーションを作っている。月がのぼりはじめ、会場とは違う静かな雰囲気だ。その景色を眺めていると、先ほどまでの落ち着かなかった気持ちが凪いでいくようだった。
サクラはダンブルドアのいたずらに違いないが、相手はスネイプだ。また、どんな嫌みを言われるのか、分かったものではない。ただ、今は、これからの自分の仕事に専念せねば、と背筋をぴんと伸ばした。
ふと、空が光ったように見えた。流れ星だろうか、と思った次の瞬間には、時空がゆがみ、二人の男が現れた。突然の登場に一瞬、面食らったものの、サクラは気を取り直して、優雅に礼をした。
「…ようこそお越しくださいました。クラウチ様、バグマン様。」
一人は厳格そうな雰囲気の紳士。もう一人は人の良さそうな雰囲気の男だった。作品のなかでそこまで印象に残っている人物たちではないが、確か厳格そうな方がクラウチ氏であると予想を立てる。
「やあやあ!こんなに綺麗な女性が案内役かい!私はルード・バグマン。名前は知られているかもしれないがね…よろしくお嬢さん。」
バグマンはサクラの手をとって唇を落とした。
「ええ、お噂はかねがね。クィディッチでの功績と今回の3校対抗試合にもご尽力されたとか…お会いできて光栄ですわ。」
サクラの社交辞令にバグマンは素直に喜んでいるようで、赤みがかった肌が、さらに紅潮した。サクラとて来賓の役職くらいは下調べをしている。…そして、隣のクラウチの息子は会場で教師に化けていることも。クラウチは、バグマンに付き合いきれないとでも思ったのか、すぐに脱帽しコートを脱ぐと、サクラに預けた。
「案内をしてくれるかね。」
にこり、ともしない表情に真面目な男なのだな、と内心思いながらも、バグマンからもコートを預かり、会場へと案内した。
会場へ戻ると、各々の生徒たちが食事を楽しみ、クラムを自寮に獲得したスリザリンは、得意げに話しをしているところだった。初めて見るボーバトン生の女子生徒たちの美貌に惚ける生徒もいたりと、誰も二人が会場に入ってきたことには気がつかなかった。二人が着席し、サクラも席に着き、落ち着いたところで、ダンブルドアが立ち上がった。
「時は来た。」
ダンブルドアの声がぴん、と張り詰めた会場中に響き渡った。
誰もが次の言葉に全神経を集中し、ダンブルドアを見つめている。ダンブルドアは、その顔、ひとつひとつに笑いかけ、言葉を続けた。
「三大魔法学校対抗試合はまさに始まろうとしておる。『箱』を持ってこさせる前に、二言三言説明しておこうかの。」
『箱』という単語に生徒の誰もが疑問に思ったようだ。中身については教師陣は知らされている。この説明が終わればフィルチが運んでくる算段だ。
「今年はどんな手順で進めるのかを明らかにしておくためじゃが。そのまえに、まだこちらのお二人を知らない者のために紹介しよう。国際魔法協力部部長、バーテミウス・スラウチ氏。そして、魔法ゲーム・スポーツ部部長、ルード・バグマン氏じゃ。」
バグマンは盛大な拍手に陽気に手を振ってこたえた。しかし、クラウチがにこりともせず、儀礼的に起立しただけであった。サクラはクラウチの様子に、何か引っかかるものがあった。一般的に紹介されれば会釈の一つでもするところを直立不動なのも不自然であるが、喉まで出かかっているものの正体ははっきりしないまま、二人の紹介は終わってしまった。ダンブルドアは、フィルチに目配せをして「それでは、フィルチさん。箱をここへ。」と自身の目の前を指し示した。フィルチは指示の通り、宝石をちりばめられた大きな木箱を抱え、うやうやしくダンブルドアの目の前においた。生徒たちは、その箱を見つめいったいなんだろうと興奮のざわめきが起こった。クリービーなど背の低い者は立ち上がって一目見ようと必死だ。
「代表選手が今年取り組むべき課題の内容は、すでにクラウチ氏とバグマン氏が検討を終えておる。課題は3つあり、今学年1年間にわたって間をおいて行われ、代表選手はあらゆる角度から試される。魔力の卓越性―果敢な勇気―論理・推理力―そして、言うまでもなく、危険に対処する能力などじゃ。」
この最後の言葉で、場は完璧に沈黙した。息する者さえいないようだった。ダンブルドアはさらに説明を続けた。代表選手は各校一人、そして…
「代表選手を選ぶのは、公正なる選者…『炎のゴブレット』じゃ。」
ダンブルドアの杖が箱をたたくと、蓋がきしみながらゆっくりと開いた。あらわれたのは荒削りの木のゴブレットで、取り出された瞬間、その縁からあふれんばかりの青白い炎が踊った。
その幻想的な光景に誰もが目を奪われた。だが、その中には思惑を含んだ視線がひとつあった。サクラはちらりとムーディを窺い見た。ぎょろりとした眼球はあらゆる方向に動いていたが、片方の目は確実にハリーに目線を向けていた。