炎のゴブレット編
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空から大きな金銀に輝く天馬が引き連れる館が現れた。
地上に勢いよく降り立った天馬と、それに続くように館も地面をバウンドして着地した。地響きがするくらいの大きさと迫力だ。普通の馬など比較にならないほどの大きさの天馬は、大きな緋色の目をぐりぐりと動かし、初めての場所を窺っているようだった。
それか間を置かず、淡い水色のローブを着た少年が飛び降り、踏み台を引っ張り出した。そして、磨き抜かれた黒のハイヒールがその踏み台に足をおいた。
「うっつくしい…」
隣にいたハグリットがつぶやいた。彼から「美しい」という単語が出てくるとは。それほどまでに魅了されているのが伝わってくる。降り立った女性、マダム・マクシームはきりっとした顔つきに潤んだ大きな瞳、シックな黒の装いに胸元のバールが輝いていた。
まさに大人の女性だ。サクラも同じく、マクシームの様子に感嘆した。
「これはこれは、マダム・マクシーム。ようこそホグワーツへ。」
そう言ってダンブルドアがマクシームの片手に唇を落とし、歓迎した。そして、二人で2,3言、話をしたところで、薄着の生徒たちが震えているのを見かねて、屋敷へといざなった。ハグリットはすぐさま、マクシームの元へ赴き、部屋へと案内していった。
すると、今度は地の底から地鳴りのような音がし始めた。玄関ホールでは、生徒たちが何事かとざわざわし始める。登場の仕方を知っているサクラは湖の方に目を向けた。
「湖を見ろよ!」
リー・ジョーダンの叫びで皆が湖の方へ目を向けた。
ゆっくりと、堂々と月明かりを受けて船が水面に浮上した。まるで難破船のような様相の船は月明かりの中では、一層不気味だった。そこから碇が下ろされ、屈強な男たちが下船してくる。ひときわ大きく、一人だけ銀の毛皮を身にまとった男がダンブルドアに声をかけた。
「ダンブルドア!やあやあ、しばらく。元気かね!」
「元気いっぱいじゃよ、カルカロフ校長。」
ダンブルドアが挨拶を返した。
(あの男が…)
耳心地のよい声音とは裏腹に、ひげでは隠しきれない貧相な顎と、陰のある瞳は彼の今までの経歴を物語っていた。隣にいる生徒はビクトール・クラムだ。それを認識した生徒たちはさらにざわついた。しかし、それに影響されないのは管理人のフィルチだ。そのままカルカロフとダンブルドアの方へと向かい、部屋へと案内をしていった。
それを見届けると、各寮の生徒たちは寮監に引き連れられて、自席へと移動していった。皆の移動が終わるところで入場しようとしていたサクラはダンブルドアの視線がこちらに向いている事に気づき、近づいた。
「サクラか。よう似合っておる。」
「ダンブルドア校長。ドレスありがとうございます。ほんとに素敵で、」
これほど上等なドレスは着たことがない。いつになっても素敵なドレスは女心を動かす。サクラも例に漏れず、うれしく思っていた。
「それに、メッセージも。」
そういうと、ダンブルドアの瞳がきらりと光った。
「君にしかできないことがある。わしは、そう確信しておる。」
ダンブルドアは、ぽん、とサクラの肩をたたいた。
「君らの活躍、期待しておるよ。」
『君ら』と複数形になったところで、サクラの頭に疑問が浮かんだ。それを見越したかのように、ダンブルドアがウインクをしながら答えた。
「同じ色をまとった者同士、のう。」
ちらり、と生徒を引き連れる人物にダンブルドアが目を向けた。黒いローブからのぞく、深い紫のベスト…。
「まさか、あれも先生がご準備されたのですか…。」
それには答えず、ダンブルドアは会場へと向かってしまった。
会場へ入ると、フィルチがすでに、マクシームとカルカロフの椅子を準備していた。まだ、あと2脚必要である。サクラもすぐに手伝いに回った。隅にある椅子に手をかけたところでフィルチに止められる。
「そんな格好じゃ、よごしちまうだろう。」
フィルチはぶっきらぼうに言って、椅子を2脚、手にした。
自身も、こぎれいなスーツを身につけているというのに、その気遣いに自然と笑みがこぼれた。
「フィルチさん…ありがとうございます。」
「…あとでお前の仕事があるだろう。そっちに専念しろ。」
ふい、と顔を背け、椅子の準備に向かってしまった。その様子に、不器用な人、とサクラはくすり、とほほえんだ。
自席に着くと、自然と目線は件の男へと向けてしまう。すでに食事を始めている人々の隙間から、紫のベストを確認すると、燭台の蝋燭に照らされて、銀糸の刺繍が光って見えた。それに気づいてしまえば、なんとなく気恥ずかしく、意識してそちらを見ないように食事を取り分けることにした。
「サクラとても似合っていますね。素敵よ。」
隣に座っているマクゴナガルがサクラが席についたところで、喜色を満面にたたえていた。まるで娘のように思っているマクゴナガルにとっては娘の晴れ着を見たような気持ちなのだろう。
「ありがとうございます。先生のお召し物も素敵です。ローブに合わせたドレスがシックですね。」
ラベンダー色の裏地のローブからのぞくネイビーのドレスは、襟元、袖の部分がレースの刺繍があてがわれ、きっちりした雰囲気の中で女性らしさが漂っていた。
「あなたのドレスは銀糸の刺繍がはいって上品よ。白い肌によく映えるわ。」
互いに互いの装いにうっとりしながら、食事も進めていく。そこで、マクゴナガルは、はっと何かに気づいたかのようにスネイプの衣装とサクラのドレスを見比べた。そして、口元を小さく上げ、一人、納得したように頷いた。それに不快感を表したのはスネイプで、「なんです?」とマクゴナガルに問いかけた。
「あなたたち、そんなに仲がよかったとは知りませんでした。」
ふふ、とほほえむマクゴナガルにスネイプは意味が分からないと首をかしげ、サクラの方をのぞき見た。
まずい、と思ったときには時すでに遅し。スネイプも驚愕の表情を向けていた。
「貴様…」
言いよどむ様に、サクラが勢いよくたたみかけた。
「誤解です!これは…」
そこまで言ったところで、カルカロフと歓談していたダンブルドアが声をかけた。
「サクラ、そろそろ出迎えの時間じゃ。」
「…はい。」
そう言われると、弁解する時間もないまま、仕事に移るよりほかなかった。ぎり、と歯がみしてダンブルドアを見るも、素知らぬ顔である。仕方なしにそのまま会場を後にした。
残されたマクゴナガルはほほえましそうに、スネイプに視線を向け、対するスネイプは眉間に皺を寄せ、サクラの後ろ姿を見つめていた。
地上に勢いよく降り立った天馬と、それに続くように館も地面をバウンドして着地した。地響きがするくらいの大きさと迫力だ。普通の馬など比較にならないほどの大きさの天馬は、大きな緋色の目をぐりぐりと動かし、初めての場所を窺っているようだった。
それか間を置かず、淡い水色のローブを着た少年が飛び降り、踏み台を引っ張り出した。そして、磨き抜かれた黒のハイヒールがその踏み台に足をおいた。
「うっつくしい…」
隣にいたハグリットがつぶやいた。彼から「美しい」という単語が出てくるとは。それほどまでに魅了されているのが伝わってくる。降り立った女性、マダム・マクシームはきりっとした顔つきに潤んだ大きな瞳、シックな黒の装いに胸元のバールが輝いていた。
まさに大人の女性だ。サクラも同じく、マクシームの様子に感嘆した。
「これはこれは、マダム・マクシーム。ようこそホグワーツへ。」
そう言ってダンブルドアがマクシームの片手に唇を落とし、歓迎した。そして、二人で2,3言、話をしたところで、薄着の生徒たちが震えているのを見かねて、屋敷へといざなった。ハグリットはすぐさま、マクシームの元へ赴き、部屋へと案内していった。
すると、今度は地の底から地鳴りのような音がし始めた。玄関ホールでは、生徒たちが何事かとざわざわし始める。登場の仕方を知っているサクラは湖の方に目を向けた。
「湖を見ろよ!」
リー・ジョーダンの叫びで皆が湖の方へ目を向けた。
ゆっくりと、堂々と月明かりを受けて船が水面に浮上した。まるで難破船のような様相の船は月明かりの中では、一層不気味だった。そこから碇が下ろされ、屈強な男たちが下船してくる。ひときわ大きく、一人だけ銀の毛皮を身にまとった男がダンブルドアに声をかけた。
「ダンブルドア!やあやあ、しばらく。元気かね!」
「元気いっぱいじゃよ、カルカロフ校長。」
ダンブルドアが挨拶を返した。
(あの男が…)
耳心地のよい声音とは裏腹に、ひげでは隠しきれない貧相な顎と、陰のある瞳は彼の今までの経歴を物語っていた。隣にいる生徒はビクトール・クラムだ。それを認識した生徒たちはさらにざわついた。しかし、それに影響されないのは管理人のフィルチだ。そのままカルカロフとダンブルドアの方へと向かい、部屋へと案内をしていった。
それを見届けると、各寮の生徒たちは寮監に引き連れられて、自席へと移動していった。皆の移動が終わるところで入場しようとしていたサクラはダンブルドアの視線がこちらに向いている事に気づき、近づいた。
「サクラか。よう似合っておる。」
「ダンブルドア校長。ドレスありがとうございます。ほんとに素敵で、」
これほど上等なドレスは着たことがない。いつになっても素敵なドレスは女心を動かす。サクラも例に漏れず、うれしく思っていた。
「それに、メッセージも。」
そういうと、ダンブルドアの瞳がきらりと光った。
「君にしかできないことがある。わしは、そう確信しておる。」
ダンブルドアは、ぽん、とサクラの肩をたたいた。
「君らの活躍、期待しておるよ。」
『君ら』と複数形になったところで、サクラの頭に疑問が浮かんだ。それを見越したかのように、ダンブルドアがウインクをしながら答えた。
「同じ色をまとった者同士、のう。」
ちらり、と生徒を引き連れる人物にダンブルドアが目を向けた。黒いローブからのぞく、深い紫のベスト…。
「まさか、あれも先生がご準備されたのですか…。」
それには答えず、ダンブルドアは会場へと向かってしまった。
会場へ入ると、フィルチがすでに、マクシームとカルカロフの椅子を準備していた。まだ、あと2脚必要である。サクラもすぐに手伝いに回った。隅にある椅子に手をかけたところでフィルチに止められる。
「そんな格好じゃ、よごしちまうだろう。」
フィルチはぶっきらぼうに言って、椅子を2脚、手にした。
自身も、こぎれいなスーツを身につけているというのに、その気遣いに自然と笑みがこぼれた。
「フィルチさん…ありがとうございます。」
「…あとでお前の仕事があるだろう。そっちに専念しろ。」
ふい、と顔を背け、椅子の準備に向かってしまった。その様子に、不器用な人、とサクラはくすり、とほほえんだ。
自席に着くと、自然と目線は件の男へと向けてしまう。すでに食事を始めている人々の隙間から、紫のベストを確認すると、燭台の蝋燭に照らされて、銀糸の刺繍が光って見えた。それに気づいてしまえば、なんとなく気恥ずかしく、意識してそちらを見ないように食事を取り分けることにした。
「サクラとても似合っていますね。素敵よ。」
隣に座っているマクゴナガルがサクラが席についたところで、喜色を満面にたたえていた。まるで娘のように思っているマクゴナガルにとっては娘の晴れ着を見たような気持ちなのだろう。
「ありがとうございます。先生のお召し物も素敵です。ローブに合わせたドレスがシックですね。」
ラベンダー色の裏地のローブからのぞくネイビーのドレスは、襟元、袖の部分がレースの刺繍があてがわれ、きっちりした雰囲気の中で女性らしさが漂っていた。
「あなたのドレスは銀糸の刺繍がはいって上品よ。白い肌によく映えるわ。」
互いに互いの装いにうっとりしながら、食事も進めていく。そこで、マクゴナガルは、はっと何かに気づいたかのようにスネイプの衣装とサクラのドレスを見比べた。そして、口元を小さく上げ、一人、納得したように頷いた。それに不快感を表したのはスネイプで、「なんです?」とマクゴナガルに問いかけた。
「あなたたち、そんなに仲がよかったとは知りませんでした。」
ふふ、とほほえむマクゴナガルにスネイプは意味が分からないと首をかしげ、サクラの方をのぞき見た。
まずい、と思ったときには時すでに遅し。スネイプも驚愕の表情を向けていた。
「貴様…」
言いよどむ様に、サクラが勢いよくたたみかけた。
「誤解です!これは…」
そこまで言ったところで、カルカロフと歓談していたダンブルドアが声をかけた。
「サクラ、そろそろ出迎えの時間じゃ。」
「…はい。」
そう言われると、弁解する時間もないまま、仕事に移るよりほかなかった。ぎり、と歯がみしてダンブルドアを見るも、素知らぬ顔である。仕方なしにそのまま会場を後にした。
残されたマクゴナガルはほほえましそうに、スネイプに視線を向け、対するスネイプは眉間に皺を寄せ、サクラの後ろ姿を見つめていた。