炎のゴブレット編
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スネイプに言われたとおり、自室に戻ると、机の上に丁寧にリボンでラッピングされた、大きな箱が用意されていた。きっと、このなかにダンブルドアからのドレスがあるのだろう。近づいてみると、リボンの隙間にメッセージカードが挟まっていた。
『幸運は勇者に味方する』
短いながらも流れるような筆記体で書かれていた。
「勇気を持って行動しろ…ということかしら。」
日本ではなじみのない言葉だが、きっとこちらではそのような意味で使われているのだろう。まさに、今のサクラを見抜いたかのようなメッセージだ。くすぶっている自分にも決断の時がきているのだと、ダンブルドアの言葉から感じられた。
メッセージを机の引き出しにそっとしまうと、箱のリボンをほどいて中身を確認した。ふたを開けると深い紫の生地が目に入った。手触りのいい、サテンの生地が光を浴びて艶やかに輝いている。箱から取り出すと、ふわり、と舞い上がり、全体をみるために、クローゼットにつるしてみる。デコルテのあいたデザインに胸元には銀糸で細やかな刺繍が施されている。スカートは足下までゆったりと広がり、いわゆるイブニングドレスの形だ。靴は、胸元のデザイン同様に銀糸で刺繍が施され、クラシカルでありながらも豪華なパンプスも用意されている。
「これは、相当気合い入ってるわね。」
ドレス一式を見ただけで、今日の集まりは、盛大なセレモニーであり、ダンブルドアの威信にかけたものであることが窺えた。
残りの時間は、会場の最終点検をすれば、本番を待つのみである。サクラはドレスを確認し終わると、すぐさま会場準備に舞い戻り、2時間ほどで全ての業務を完了させた。フィルチとは、今日のメインイベントでの動きを確認し、その後は各々の支度に戻っていった。
再度、自室に戻ってシャワーを浴びたり支度を調えていると、すでに、出迎えの時間に迫っていた。急いで玄関ホールの階段まで向かうと、すでに下の玄関ホールでは、寮監が待機しており、早めに来た生徒たちの整列をしているところだった。マクゴナガルはネイビーのマントに身を包み、裏の生地はラベンダーで、落ち着いた色合いながらも華やかな装いだ。スプラウトはオリーブ色のローブで鮮やかであたたかみのある彼女らしい装いだ。そして、フリットウィックも新品のスーツに身を包み、今日というイベントへの気合いが感じられた。スネイプといえば、いつもの真っ黒なローブが新調され、深い紫のベストがローブの隙間からみえる。着ているものはこざっぱりしており、普段とあまり変わらない装いである。
サクラ寮監の仕事を邪魔しないよう、生徒たちの列から離れたところでひかえることにした。ちょうど、ハグリットやフィルチたちが立っている場所を見つけ、階段を降りて、そちらの方へ近づいていく。
「サクラさん?」
後ろから声がかかり、振り向くと、ハリー、ロン、ハーマイオニーがこちらへ向かってくるところだった。どうやら声の主はハリーのようで、一瞬惚けたような顔で足を止めていたが、ハーマイオニーに肘でつつかれると気を取り直したようにこちらへ近づいてきた。
「こんにちは、ハリー。ハーマイオニー。…」
「僕、ロンです!ロン・ウィーズリー!」
鼻息荒く自己紹介する友人をいさめつつ、ハリーが言葉を継げた。
「サクラさん、すごい、とても…。」
言いよどむハリーの言葉につなげるようにハーマイオニーが言った。
「ヒナタさん、とっても素敵です!」
「ありがとう。ダンブルドア先生が用意してくださったのよ。」
「大人っぽくて、ヒナタさんの肌に映えるドレスですね。」
きらきらと目を輝かせるハーマイオニーは乙女の顔だ。それにサクラはくすり、と笑い、隣にいるハリーに声をかける。
「夜更かしはしてないみたいね。」
あの夜の外出を暗に示したことに気づいたのか、ハリーはすかさず、
「はい…も、もちろん!」
と、頷いた。他の二人は何の話?と疑問の表情を浮かべたが、サクラは考えさせる前にロンに話を向けた。
「ウィーズリーって、もしかして、双子のお兄さんがいるのかしら?」
「はい!兄さんたちからヒナタさんのこと聞いてます!」
「いい話だといいのだけど。」
「それは、もちろん!!」
思春期の男の子には刺激が強いらしい。ハーマイオニー以外はまともな会話が期待できそうにないと窺えた。ハーマイオニーも男二人の様子にちいさく頭を横にふっており、サクラがそちらと目を合わせて、ふたりで小さくため息をついた。
「そろそろ、並びに行った方がいいわ。今なら前の方でボーバトンとダームストラングの登場が見られるわ。」
サクラの声にロンが、はっ!とした。
「そうだよ!もしかしたらクラムが来るかもしれないんだ!」
ロンは彼の大ファンらしい。いそいそと、二人を引き連れていく。
ロンに引っ張られながらハリーとハーマイオニーが「それじゃ、また!」「失礼しますね。」と声をかけて階段を降りていった。
サクラも同じく、会場へ向かおうと足を進めると、今度は片手を大きな手で優しく取られた。
「セドリック!」
隣を見ると、セドリックがサクラの手を取り、にこりと笑った。
「素敵な女性にはエスコートが必須だ。僕にその権利を頂けますか?」
階段を一段下がって、サクラの手の甲に口づけを落とすと、上目遣いで問いかけた。その破壊力は抜群で、サクラの頬は自然と熱を帯びてくる。整った顔立ちでまるで騎士のような姿で、申し訳ないが双子とはオーラが全く違う。
「すぐそこよ。心配いらないわ。」
強がってみるも、お見通しのようで、なおもたたみかけた。
「さっきから、サクラさんが階段から落ちやしないかってひやひやしてたんだよ。」
「そんなドジじゃないわ!」
「それは冗談で、僕があなたをエスコートしたいんだ。」
お願い、と寂しそうな目を向けられては、強く突き放すことができなかった。「では、お願いするわ。」とセドリックの術中にまんまとはめられ、彼の大きな手に自身の手を乗せて階段をゆっくり降りる。こちらの動きをみながら動きを合わせてセドリックがエスコートしてくれる。こちらにさわやかな笑顔を向けながらエスコートしてくれる様子に、なんだかお姫様気分になってしまう。階段を降りるまでわずか数分の事であったが、なんだか長い時間だったような気がする。
玄関ホールに着くと、「では、ごきげんよう。」とセドリックは再び恭しく手の甲に唇を落とすと、自寮へと向かっていった。
「ようサクラ!えれぇ別嬪だ!」
ハグリットは、豪快にサクラの背中をたたいて、危うく前のめりで倒れそうになった。
「あ、ありがとう!ハグリットも素敵なスーツよ。」
特注のスーツに身を包んだハグリットは照れ笑いをした。
「あんがとな。ダンブルドア先生にもらったんだ。」
うれしそうなハグリットにこちらも同じく笑顔になる。
しばらく生徒が集まるまで時間ハグリットと会話をしていると、生徒の鋭い声がした。
「あ!きたぞ!」
空を見上げると、黒い影が迫ってきていた。
いよいよお出ましだ。玄関ホールは2校の登場に我先にと頭を動かして、様子を窺った。
『幸運は勇者に味方する』
短いながらも流れるような筆記体で書かれていた。
「勇気を持って行動しろ…ということかしら。」
日本ではなじみのない言葉だが、きっとこちらではそのような意味で使われているのだろう。まさに、今のサクラを見抜いたかのようなメッセージだ。くすぶっている自分にも決断の時がきているのだと、ダンブルドアの言葉から感じられた。
メッセージを机の引き出しにそっとしまうと、箱のリボンをほどいて中身を確認した。ふたを開けると深い紫の生地が目に入った。手触りのいい、サテンの生地が光を浴びて艶やかに輝いている。箱から取り出すと、ふわり、と舞い上がり、全体をみるために、クローゼットにつるしてみる。デコルテのあいたデザインに胸元には銀糸で細やかな刺繍が施されている。スカートは足下までゆったりと広がり、いわゆるイブニングドレスの形だ。靴は、胸元のデザイン同様に銀糸で刺繍が施され、クラシカルでありながらも豪華なパンプスも用意されている。
「これは、相当気合い入ってるわね。」
ドレス一式を見ただけで、今日の集まりは、盛大なセレモニーであり、ダンブルドアの威信にかけたものであることが窺えた。
残りの時間は、会場の最終点検をすれば、本番を待つのみである。サクラはドレスを確認し終わると、すぐさま会場準備に舞い戻り、2時間ほどで全ての業務を完了させた。フィルチとは、今日のメインイベントでの動きを確認し、その後は各々の支度に戻っていった。
再度、自室に戻ってシャワーを浴びたり支度を調えていると、すでに、出迎えの時間に迫っていた。急いで玄関ホールの階段まで向かうと、すでに下の玄関ホールでは、寮監が待機しており、早めに来た生徒たちの整列をしているところだった。マクゴナガルはネイビーのマントに身を包み、裏の生地はラベンダーで、落ち着いた色合いながらも華やかな装いだ。スプラウトはオリーブ色のローブで鮮やかであたたかみのある彼女らしい装いだ。そして、フリットウィックも新品のスーツに身を包み、今日というイベントへの気合いが感じられた。スネイプといえば、いつもの真っ黒なローブが新調され、深い紫のベストがローブの隙間からみえる。着ているものはこざっぱりしており、普段とあまり変わらない装いである。
サクラ寮監の仕事を邪魔しないよう、生徒たちの列から離れたところでひかえることにした。ちょうど、ハグリットやフィルチたちが立っている場所を見つけ、階段を降りて、そちらの方へ近づいていく。
「サクラさん?」
後ろから声がかかり、振り向くと、ハリー、ロン、ハーマイオニーがこちらへ向かってくるところだった。どうやら声の主はハリーのようで、一瞬惚けたような顔で足を止めていたが、ハーマイオニーに肘でつつかれると気を取り直したようにこちらへ近づいてきた。
「こんにちは、ハリー。ハーマイオニー。…」
「僕、ロンです!ロン・ウィーズリー!」
鼻息荒く自己紹介する友人をいさめつつ、ハリーが言葉を継げた。
「サクラさん、すごい、とても…。」
言いよどむハリーの言葉につなげるようにハーマイオニーが言った。
「ヒナタさん、とっても素敵です!」
「ありがとう。ダンブルドア先生が用意してくださったのよ。」
「大人っぽくて、ヒナタさんの肌に映えるドレスですね。」
きらきらと目を輝かせるハーマイオニーは乙女の顔だ。それにサクラはくすり、と笑い、隣にいるハリーに声をかける。
「夜更かしはしてないみたいね。」
あの夜の外出を暗に示したことに気づいたのか、ハリーはすかさず、
「はい…も、もちろん!」
と、頷いた。他の二人は何の話?と疑問の表情を浮かべたが、サクラは考えさせる前にロンに話を向けた。
「ウィーズリーって、もしかして、双子のお兄さんがいるのかしら?」
「はい!兄さんたちからヒナタさんのこと聞いてます!」
「いい話だといいのだけど。」
「それは、もちろん!!」
思春期の男の子には刺激が強いらしい。ハーマイオニー以外はまともな会話が期待できそうにないと窺えた。ハーマイオニーも男二人の様子にちいさく頭を横にふっており、サクラがそちらと目を合わせて、ふたりで小さくため息をついた。
「そろそろ、並びに行った方がいいわ。今なら前の方でボーバトンとダームストラングの登場が見られるわ。」
サクラの声にロンが、はっ!とした。
「そうだよ!もしかしたらクラムが来るかもしれないんだ!」
ロンは彼の大ファンらしい。いそいそと、二人を引き連れていく。
ロンに引っ張られながらハリーとハーマイオニーが「それじゃ、また!」「失礼しますね。」と声をかけて階段を降りていった。
サクラも同じく、会場へ向かおうと足を進めると、今度は片手を大きな手で優しく取られた。
「セドリック!」
隣を見ると、セドリックがサクラの手を取り、にこりと笑った。
「素敵な女性にはエスコートが必須だ。僕にその権利を頂けますか?」
階段を一段下がって、サクラの手の甲に口づけを落とすと、上目遣いで問いかけた。その破壊力は抜群で、サクラの頬は自然と熱を帯びてくる。整った顔立ちでまるで騎士のような姿で、申し訳ないが双子とはオーラが全く違う。
「すぐそこよ。心配いらないわ。」
強がってみるも、お見通しのようで、なおもたたみかけた。
「さっきから、サクラさんが階段から落ちやしないかってひやひやしてたんだよ。」
「そんなドジじゃないわ!」
「それは冗談で、僕があなたをエスコートしたいんだ。」
お願い、と寂しそうな目を向けられては、強く突き放すことができなかった。「では、お願いするわ。」とセドリックの術中にまんまとはめられ、彼の大きな手に自身の手を乗せて階段をゆっくり降りる。こちらの動きをみながら動きを合わせてセドリックがエスコートしてくれる。こちらにさわやかな笑顔を向けながらエスコートしてくれる様子に、なんだかお姫様気分になってしまう。階段を降りるまでわずか数分の事であったが、なんだか長い時間だったような気がする。
玄関ホールに着くと、「では、ごきげんよう。」とセドリックは再び恭しく手の甲に唇を落とすと、自寮へと向かっていった。
「ようサクラ!えれぇ別嬪だ!」
ハグリットは、豪快にサクラの背中をたたいて、危うく前のめりで倒れそうになった。
「あ、ありがとう!ハグリットも素敵なスーツよ。」
特注のスーツに身を包んだハグリットは照れ笑いをした。
「あんがとな。ダンブルドア先生にもらったんだ。」
うれしそうなハグリットにこちらも同じく笑顔になる。
しばらく生徒が集まるまで時間ハグリットと会話をしていると、生徒の鋭い声がした。
「あ!きたぞ!」
空を見上げると、黒い影が迫ってきていた。
いよいよお出ましだ。玄関ホールは2校の登場に我先にと頭を動かして、様子を窺った。