炎のゴブレット編
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様々な薬品がサクラめがけて降り注ぐ。避けるまもなく、いくつもの薬品がサクラの体を濡らした。
肌が焼けるようだ。
服越しから湯気が立ち上り、比喩ではなく肌の焼けるジュウという音がする。
「・・・っぅあああ!!!」
身体中が痛い。熱い。
その衝撃に目のまわりが白くちかちかした。痛みが大きいと息をするのも辛いのだ。そんなことを思いながら意識が遠のいていく。意識を手放す瞬間白い視界に黒の影がよぎった。「…おい!」と、焦った声がする。スネイプのそんな声を聞いたのは初めてだ。その輪郭を捉えようとしたところで完全に意識が途切れた。
***
目が覚めると高い天井が見えた。
白を基調とした空間、並べられたベッドをみて医務室に運ばれたのだと分かった。
腕をみると手首から二の腕まで包帯がぐるぐると巻かれている。そして、体にも包帯を巻かれたような感覚があり、全身に傷を負ってしまったのだとわかった。薬を服用しているからなのか痛みはなかったが、肌がつっぱるような感覚が包帯の巻かれた場所から感じた。包帯の切れ目から覗く肌は赤くただれたようになっており、怪我の酷さは最悪なレベルのようだ。
足元から物音がして、そちらを見るとポンフリーが作業をしているところだった。こちらが起きたことに気づいたようで、サクラの方を振り返った。
「ミスサクラ、まだ傷が治っていないのですよ。起き上がってはいけません。」
厳しい口調のポンフリーがサクラの肩に手をかけて再度ベッドに寝かせた。しかし、その口調とは裏腹に手つきは優しく、いかにサクラの容態が芳しくないのか物語っていた。
おとなしくベッドに横になると、ベッドサイドにはたくさんの見舞いの品が並べられていた。多くは食べ物で、ハニーデュークスで買ったであろう色とりどりのお菓子が積み上げられていた。
「・・・すみません。私はどれくらい寝ていたんでしょう?」
「3日間です。あと一週間は入院ですよ。」
「そんなに・・・!?」
ポンフリーの言葉にとっさに大声が出てしまう。それにきっと鋭い視線を向けられ、手で口元をおさえた。医務室から見える空は藍色に染まり、丸三日間も寝込んでいたことになる。
「薬品庫で薬を浴びたそうですね。スネイプ先生が運んできたときにはひどい有様で、治癒魔法だけでは対処しきれない症状でした。今も痛み止めで治ったように思うだけで、完治していませんからね。絶対安静ですよ。」
ポンフリーはそう言うと、赤く滲んだ包帯をまとめて、ベッドから離れていった。その包帯はきっと先ほどまでサクラに巻かれていたものであろう。あの包帯を見て、無理をして動こうとは思えなかった。もし動いたら、体中の傷がどうなってしまうのか・・・。想像しただけで恐ろしかった。
唯一、首から上は頬にガーゼが当てられている位で、動かすことができた。お菓子は双子からだろうか。『舌がのびる』だのいたずら向きの商品はきっと彼らが選んだに違いない。その中に少しへこんだ箱にリボンでラッピングされたものがあり、おそらくハグリッドで中身は手作りのケーキだろうと当たりをつける。引き出して見てみるとメッセージカードが添えられており「『速く』元気になって」と書かれていた。ハグリッドらしい可愛らしい間違いにくすっと笑みがこぼれた。
そのような見舞いの品の中で、花瓶に生けられたガーベラが目につく。ピンクの花が生けられ、花瓶の下には白地に黄色のラインでデザインされたメッセージカードが挟まっていた。
「・・・セドリック。」
筆記体の流れるような美しい文字で『眠っているサクラさんも素敵だけど、早くあなたの笑顔が見たいな。』と添えられていた。メッセージでさえも英国紳士はキザなのか。日本人が同じことをすると笑ってしまうようなメッセージでも、セドリックだと思うと納得してしまう自分がいる。やはりお国柄とイケメンはこういう台詞も似合うのだな、と半ば感心してしまった。
「何を気持ち悪い顔をしているのだ。」
ベルベットのように滑らかな深みのある声がベッド脇で聞こえた。その声の主は顔をしかめ、片手にはゴブレットを持っていた。
肌が焼けるようだ。
服越しから湯気が立ち上り、比喩ではなく肌の焼けるジュウという音がする。
「・・・っぅあああ!!!」
身体中が痛い。熱い。
その衝撃に目のまわりが白くちかちかした。痛みが大きいと息をするのも辛いのだ。そんなことを思いながら意識が遠のいていく。意識を手放す瞬間白い視界に黒の影がよぎった。「…おい!」と、焦った声がする。スネイプのそんな声を聞いたのは初めてだ。その輪郭を捉えようとしたところで完全に意識が途切れた。
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目が覚めると高い天井が見えた。
白を基調とした空間、並べられたベッドをみて医務室に運ばれたのだと分かった。
腕をみると手首から二の腕まで包帯がぐるぐると巻かれている。そして、体にも包帯を巻かれたような感覚があり、全身に傷を負ってしまったのだとわかった。薬を服用しているからなのか痛みはなかったが、肌がつっぱるような感覚が包帯の巻かれた場所から感じた。包帯の切れ目から覗く肌は赤くただれたようになっており、怪我の酷さは最悪なレベルのようだ。
足元から物音がして、そちらを見るとポンフリーが作業をしているところだった。こちらが起きたことに気づいたようで、サクラの方を振り返った。
「ミスサクラ、まだ傷が治っていないのですよ。起き上がってはいけません。」
厳しい口調のポンフリーがサクラの肩に手をかけて再度ベッドに寝かせた。しかし、その口調とは裏腹に手つきは優しく、いかにサクラの容態が芳しくないのか物語っていた。
おとなしくベッドに横になると、ベッドサイドにはたくさんの見舞いの品が並べられていた。多くは食べ物で、ハニーデュークスで買ったであろう色とりどりのお菓子が積み上げられていた。
「・・・すみません。私はどれくらい寝ていたんでしょう?」
「3日間です。あと一週間は入院ですよ。」
「そんなに・・・!?」
ポンフリーの言葉にとっさに大声が出てしまう。それにきっと鋭い視線を向けられ、手で口元をおさえた。医務室から見える空は藍色に染まり、丸三日間も寝込んでいたことになる。
「薬品庫で薬を浴びたそうですね。スネイプ先生が運んできたときにはひどい有様で、治癒魔法だけでは対処しきれない症状でした。今も痛み止めで治ったように思うだけで、完治していませんからね。絶対安静ですよ。」
ポンフリーはそう言うと、赤く滲んだ包帯をまとめて、ベッドから離れていった。その包帯はきっと先ほどまでサクラに巻かれていたものであろう。あの包帯を見て、無理をして動こうとは思えなかった。もし動いたら、体中の傷がどうなってしまうのか・・・。想像しただけで恐ろしかった。
唯一、首から上は頬にガーゼが当てられている位で、動かすことができた。お菓子は双子からだろうか。『舌がのびる』だのいたずら向きの商品はきっと彼らが選んだに違いない。その中に少しへこんだ箱にリボンでラッピングされたものがあり、おそらくハグリッドで中身は手作りのケーキだろうと当たりをつける。引き出して見てみるとメッセージカードが添えられており「『速く』元気になって」と書かれていた。ハグリッドらしい可愛らしい間違いにくすっと笑みがこぼれた。
そのような見舞いの品の中で、花瓶に生けられたガーベラが目につく。ピンクの花が生けられ、花瓶の下には白地に黄色のラインでデザインされたメッセージカードが挟まっていた。
「・・・セドリック。」
筆記体の流れるような美しい文字で『眠っているサクラさんも素敵だけど、早くあなたの笑顔が見たいな。』と添えられていた。メッセージでさえも英国紳士はキザなのか。日本人が同じことをすると笑ってしまうようなメッセージでも、セドリックだと思うと納得してしまう自分がいる。やはりお国柄とイケメンはこういう台詞も似合うのだな、と半ば感心してしまった。
「何を気持ち悪い顔をしているのだ。」
ベルベットのように滑らかな深みのある声がベッド脇で聞こえた。その声の主は顔をしかめ、片手にはゴブレットを持っていた。