炎のゴブレット編
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三大魔法学校対抗試合についてダンブルドアから話があると、特に男子生徒は目を輝かせ、やる気十分な様子であった。もちろん目の前のセドリックはきらきらと目を輝かせていたし、遠くの双子はなにやら悪巧みをしているようでいたずらな笑みを浮かべていた。アーニーはセドリックの様子から、彼の考えていることが分かったようだ。
「君は参加するようだね。」
セドリックはアーニーの問いに大きく頭を縦に振った。
「もちろんさ!こんな歴史的な出来事に参加する資格があるんだ。やってみるよ!」
そういって興奮しているセドリックをみて、サクラは素直に喜ぶことができなかった。かといって、「やめておきなよ。」と言うほど野暮なこともできず、曖昧に笑うだけだった。
それぞれの部屋へ戻る生徒たちの話はこ三大対抗の話で持ちきりだった。誰が代表に選ばれるのか予想を立てる者や、セドリックのように我こそは、と鼻息荒く話す者、招かれる2校のことを話す者など、興奮冷めやらぬ様子だ。サクラはその波がひとしきり過ぎ去ったところで席を立った。セドリックたちが楽しそうに話す姿を見ながら一緒に帰る心持ちにはなれなかったのだ。
・・・ハリーを守る役目があるにもかかわらず、セドリックの身ばかり案じてしまう。
きっとこれまで関わってきた時間がそうさせているのだ。そして、今回の件でハリーは命を落とすことはない。そういう安心感もある。・・・しかし、ここで私がセドリックの未来を変えてしまえば、ハリーが命を落とす確率は上がってしまうだろう。どうしたらいい。私はどうすればいい・・・?図書館で禁書を漁るときも、手に取るのは許されざる呪文に対する防衛はないのか、そればかり手にとっていた。彼を助けたい、でも・・・。堂々巡りで答えは出ない。
「戻らないのか。」
隣から、聞き慣れた声がした。あのカフェの時のように僅かに優しく響く声音が、思考の底から抜け出させた。
「スネイプ先生・・・。」
「あれから禁書の棚に入り浸っているそうだな。収穫はあったのか。」
「呪文関係が多くて私が生かせるものは、なさそうです。」
「マグルでは扱い切れんのは当たり前だ。」
スネイプは、心外そうに鼻を鳴らした。私が高位の魔法を調べているのが気に入らないのだろうか。マグルを馬鹿にしたような態度は前々から感じていたから驚きはしないが。
「ついてこい。」
そういってロープを翻し、スネイプはすたすたと歩いていってしまう。サクラはスネイプを追うように後ろをついて行った。どこへ向かうのだろう、と疑問であったが、地下へ向かう道になり、日の当たらない場所特有のひんやりとした空気に包まれている。大広間での喧噪が嘘のように、地下の廊下はひっそりとしていた。
しばらく歩いたところで、スネイプが扉の前に立ち止まった。そして、ドアノブをひねると目線で入るように促された。通されたのは魔法薬学で使われる教室で、スネイプは、さらにその奥の扉を開けて案内した。
「この薬品庫には、危険な薬品も並んでいる。が、それゆえ大きな効果が期待できるものもある。」
所狭しと棚に並べられている薬品は、鮮やかな色をしているものや、何かの動物がつけられているもの、一見すると不気味な代物が多くあった。
「魔法が使えないのならば、物に頼るしかあるまい。上の空で過ごす余裕があるのならば『仕事』に専念してもらいたいものだ。」
含みのある言い方にハリーのことを指しているのだろうと察しがつく。
「それで、貴様の探しているものはなんだ。」
スネイプの漆黒の瞳がサクラの瞳をとらえた。有無を言わさぬその視線に、回答しないという選択肢ははなから用意されていないらしい。
「・・・禁じられた呪文に対抗する薬はありますか?」
「存在しない。」
「そうですよね。」
「お前は毎日、そんな無意味な調べ物をしていたのか。」
『無意味』という単語にサクラの眉がぴくりと動いた。人の命を守りたい気持ちが無意味というのか。収穫こそなかったが、スネイプの言葉はサクラのこれまでの葛藤を価値のないものといっているようだった。
「私の無意味な調べ物につきあわせ申し訳ありません。こちらには必要なときにお声がけさせていただきますね。」
「おい、そういうことを言っているのでは――」
踵を返し、薬品庫から退出しようとサクラは歩を進めた。これ以上スネイプと話していたら、気持ちを抑えられなくなりそうだ。怒りにまかせて、セドリックやムーディの件を暴露してしまいそうだ。今、全てを話すことは得策ではないのは、まだ頭の中で理解できている。怒りに飲み込まれる前に、立ち去ってしまいたい。しかし、サクラの気持ちも知らず、スネイプはとっさに肩をつかんだ。
「これからお前は何をするつもりだ。」
「・・・離してっ!」
振り払った手が棚にぶつかる。その反動で棚の中の薬品がサクラめがけて降り注いだ。
「君は参加するようだね。」
セドリックはアーニーの問いに大きく頭を縦に振った。
「もちろんさ!こんな歴史的な出来事に参加する資格があるんだ。やってみるよ!」
そういって興奮しているセドリックをみて、サクラは素直に喜ぶことができなかった。かといって、「やめておきなよ。」と言うほど野暮なこともできず、曖昧に笑うだけだった。
それぞれの部屋へ戻る生徒たちの話はこ三大対抗の話で持ちきりだった。誰が代表に選ばれるのか予想を立てる者や、セドリックのように我こそは、と鼻息荒く話す者、招かれる2校のことを話す者など、興奮冷めやらぬ様子だ。サクラはその波がひとしきり過ぎ去ったところで席を立った。セドリックたちが楽しそうに話す姿を見ながら一緒に帰る心持ちにはなれなかったのだ。
・・・ハリーを守る役目があるにもかかわらず、セドリックの身ばかり案じてしまう。
きっとこれまで関わってきた時間がそうさせているのだ。そして、今回の件でハリーは命を落とすことはない。そういう安心感もある。・・・しかし、ここで私がセドリックの未来を変えてしまえば、ハリーが命を落とす確率は上がってしまうだろう。どうしたらいい。私はどうすればいい・・・?図書館で禁書を漁るときも、手に取るのは許されざる呪文に対する防衛はないのか、そればかり手にとっていた。彼を助けたい、でも・・・。堂々巡りで答えは出ない。
「戻らないのか。」
隣から、聞き慣れた声がした。あのカフェの時のように僅かに優しく響く声音が、思考の底から抜け出させた。
「スネイプ先生・・・。」
「あれから禁書の棚に入り浸っているそうだな。収穫はあったのか。」
「呪文関係が多くて私が生かせるものは、なさそうです。」
「マグルでは扱い切れんのは当たり前だ。」
スネイプは、心外そうに鼻を鳴らした。私が高位の魔法を調べているのが気に入らないのだろうか。マグルを馬鹿にしたような態度は前々から感じていたから驚きはしないが。
「ついてこい。」
そういってロープを翻し、スネイプはすたすたと歩いていってしまう。サクラはスネイプを追うように後ろをついて行った。どこへ向かうのだろう、と疑問であったが、地下へ向かう道になり、日の当たらない場所特有のひんやりとした空気に包まれている。大広間での喧噪が嘘のように、地下の廊下はひっそりとしていた。
しばらく歩いたところで、スネイプが扉の前に立ち止まった。そして、ドアノブをひねると目線で入るように促された。通されたのは魔法薬学で使われる教室で、スネイプは、さらにその奥の扉を開けて案内した。
「この薬品庫には、危険な薬品も並んでいる。が、それゆえ大きな効果が期待できるものもある。」
所狭しと棚に並べられている薬品は、鮮やかな色をしているものや、何かの動物がつけられているもの、一見すると不気味な代物が多くあった。
「魔法が使えないのならば、物に頼るしかあるまい。上の空で過ごす余裕があるのならば『仕事』に専念してもらいたいものだ。」
含みのある言い方にハリーのことを指しているのだろうと察しがつく。
「それで、貴様の探しているものはなんだ。」
スネイプの漆黒の瞳がサクラの瞳をとらえた。有無を言わさぬその視線に、回答しないという選択肢ははなから用意されていないらしい。
「・・・禁じられた呪文に対抗する薬はありますか?」
「存在しない。」
「そうですよね。」
「お前は毎日、そんな無意味な調べ物をしていたのか。」
『無意味』という単語にサクラの眉がぴくりと動いた。人の命を守りたい気持ちが無意味というのか。収穫こそなかったが、スネイプの言葉はサクラのこれまでの葛藤を価値のないものといっているようだった。
「私の無意味な調べ物につきあわせ申し訳ありません。こちらには必要なときにお声がけさせていただきますね。」
「おい、そういうことを言っているのでは――」
踵を返し、薬品庫から退出しようとサクラは歩を進めた。これ以上スネイプと話していたら、気持ちを抑えられなくなりそうだ。怒りにまかせて、セドリックやムーディの件を暴露してしまいそうだ。今、全てを話すことは得策ではないのは、まだ頭の中で理解できている。怒りに飲み込まれる前に、立ち去ってしまいたい。しかし、サクラの気持ちも知らず、スネイプはとっさに肩をつかんだ。
「これからお前は何をするつもりだ。」
「・・・離してっ!」
振り払った手が棚にぶつかる。その反動で棚の中の薬品がサクラめがけて降り注いだ。