アズカバンの囚人編
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一瞬の出来事だった。
真っ白な視界は暗闇へと変化した。
白昼夢なのだろうか。連勤明けの疲れからくるものかもしれない。月末の忙しい時期であり、あのまま意識を手放しているということも考えられる。よもや倒れていては参列者に多大な迷惑をかけているところかも。 頭の中でここまで考えたのは1、2秒のわずかな時間だった。
暗く目がきかないなかで聞こえたのは虫の音と鳥のささやきだった。鼻を抜けるのは濡れた木と土の匂い。夢の中でも五感が機能するのか。はじめての感覚に少しの感動を覚える。普段はビルばかりの環境にいるため、自然が恋しくなっているのかもしれない。夢の中だけでも自然を味わってやろうと土の上に寝転ぶ。
ぐに、と柔らかいものが背中に触れた。
驚いて起き上がり、目を凝らして暗闇を観察した。何かあたたかいものだった。色はピンクだろうか。よくみるとハードつきのパーカーらしきものだった。そして、それが人間であることが分かった。
死んでいる?そう思った瞬間に自然と悲鳴を上げていた。棺に入るものとは違う。たった今、亡くなったであろう体は一瞬触れただけでも、あたたかかった。腰を抜かしてその場から後ずさることもできず、ただ目線はななめ後ろの土を見ることで抵抗した。
『誰だ?!』
背後から鋭い声がした。
生きている人だ。
このような状態では、生きている人間、ただそれだけのことが非常に嬉しかった。
安堵のため息をつき、振り返る。すこし離れた場所にぼうっと光が上がっている。私はそれをみて、身を硬くした。そこに映された男の表情は敵意と警戒の色が濃い。しかし、それだけが原因ではなかった。
特徴的な鉤鼻にてらてら光をうけてみせる黒髪。そして青白い肌。全身黒の装束に肌の白さが目立った。
この人を知っている。
『そこでなにをしている?』
低く、端的で強い口調。ネイティブの英語の速さについていけず、what とyouを聞き取るので精一杯だった。何か怒っているのは分かったか、何を質問されたかまでは理解が追いつかない。
とにかくこの死体から引き離して欲しい。ただその一心で慣れない英語で話しかけらる。
『わ、私はヒナタ サクラ。私、助けるください!』
『貴様、英語が話せないのか。まあいい。動くな、くらいは分かるな?貴様にも分かる簡単な言葉で質問してやる。決して動かずに答えろ。いいか。動くな。』
『わタし、分からなイ。ゆっくり話す。私を助けて。』
『貴様の返答次第だ。』
セブルスがふっと片眉を上げてすました笑みを浮かべた。
それに安心したサクラは力が入ってきた足を立てる。きっとこちらで話をする、などというのだろうと予測していたが、現実は甘くなかった。
『動くな!そう言ったはずだぞ?!』
『それ以上近づくな!』
警告の声はサクラにはなんの意味もなさなかった。ただこの場から助けて欲しい。その一心で、まさか自分に攻撃してくるだろうことは考えもしなかった。頭の隅でこれは夢なのだ、という考えがあったのも原因のひとつだろう。ただ助けてくれるであろう人物に近づいた。
次の瞬間、赤い閃光が走った。
自分に向かう光に、目をつぶった。
真っ白な視界は暗闇へと変化した。
白昼夢なのだろうか。連勤明けの疲れからくるものかもしれない。月末の忙しい時期であり、あのまま意識を手放しているということも考えられる。よもや倒れていては参列者に多大な迷惑をかけているところかも。 頭の中でここまで考えたのは1、2秒のわずかな時間だった。
暗く目がきかないなかで聞こえたのは虫の音と鳥のささやきだった。鼻を抜けるのは濡れた木と土の匂い。夢の中でも五感が機能するのか。はじめての感覚に少しの感動を覚える。普段はビルばかりの環境にいるため、自然が恋しくなっているのかもしれない。夢の中だけでも自然を味わってやろうと土の上に寝転ぶ。
ぐに、と柔らかいものが背中に触れた。
驚いて起き上がり、目を凝らして暗闇を観察した。何かあたたかいものだった。色はピンクだろうか。よくみるとハードつきのパーカーらしきものだった。そして、それが人間であることが分かった。
死んでいる?そう思った瞬間に自然と悲鳴を上げていた。棺に入るものとは違う。たった今、亡くなったであろう体は一瞬触れただけでも、あたたかかった。腰を抜かしてその場から後ずさることもできず、ただ目線はななめ後ろの土を見ることで抵抗した。
『誰だ?!』
背後から鋭い声がした。
生きている人だ。
このような状態では、生きている人間、ただそれだけのことが非常に嬉しかった。
安堵のため息をつき、振り返る。すこし離れた場所にぼうっと光が上がっている。私はそれをみて、身を硬くした。そこに映された男の表情は敵意と警戒の色が濃い。しかし、それだけが原因ではなかった。
特徴的な鉤鼻にてらてら光をうけてみせる黒髪。そして青白い肌。全身黒の装束に肌の白さが目立った。
この人を知っている。
『そこでなにをしている?』
低く、端的で強い口調。ネイティブの英語の速さについていけず、what とyouを聞き取るので精一杯だった。何か怒っているのは分かったか、何を質問されたかまでは理解が追いつかない。
とにかくこの死体から引き離して欲しい。ただその一心で慣れない英語で話しかけらる。
『わ、私はヒナタ サクラ。私、助けるください!』
『貴様、英語が話せないのか。まあいい。動くな、くらいは分かるな?貴様にも分かる簡単な言葉で質問してやる。決して動かずに答えろ。いいか。動くな。』
『わタし、分からなイ。ゆっくり話す。私を助けて。』
『貴様の返答次第だ。』
セブルスがふっと片眉を上げてすました笑みを浮かべた。
それに安心したサクラは力が入ってきた足を立てる。きっとこちらで話をする、などというのだろうと予測していたが、現実は甘くなかった。
『動くな!そう言ったはずだぞ?!』
『それ以上近づくな!』
警告の声はサクラにはなんの意味もなさなかった。ただこの場から助けて欲しい。その一心で、まさか自分に攻撃してくるだろうことは考えもしなかった。頭の隅でこれは夢なのだ、という考えがあったのも原因のひとつだろう。ただ助けてくれるであろう人物に近づいた。
次の瞬間、赤い閃光が走った。
自分に向かう光に、目をつぶった。