アズカバンの囚人編
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「やあ!こんなところで奇遇だね!」
見知った鷲色の髪とくたびれた服装。数日前に教授の職を辞した男が、まだホグワーツの近辺をうろついているとは。スネイプが隠すまでもなく不機嫌な表情でいることに微塵も気負うことなく、リーマスはサクラの方へと視線を向けた。
「お久しぶりです教授。お元気そうで。」
「ああ。今はちょっとした仕事を見つけてね。なんとかやってるよ。」
リーマスの愛想のいい笑顔はいつものことだが、この女の方も、何とも嬉しそうな表情を向けている。
「こうしてお会いできたのも何かの縁ですし、よろしければご一緒にいかがです?」
女は自分の隣の席をさし、着席を促した。それに対して嬉しそうな表情をするも、ルーピンはスネイプの方をうかがった。
スネイプには、学生時代からルーピン含め、かの4人組に対していい印象を持っていないことはルーピンも分かっていた。若かったとはいえ、あの二人のした行為は人の尊厳を傷つけるものであったし、それを笑って見ていた自分は同罪だ。現に、今年の職場でもそっけない印象であったし、脱狼薬もダンブルドアの指示でなければ調合してくれることはなかっただろう。
しかも今回は女性を伴っての外出だ。この機会に空気を読まずに同席してしまうほど、自分は子供ではない。
「しかし、せっかく二人で来ているところに悪いよ。しばらくこのあたりで過ごしているから、そのときに「あの約束」を果たさせてもらうよ。」
サクラは残念そうな表情をした。その表情にルーピンは違和感を感じた。そして、スネイプの表情を見てさらに違和感を感じた。自分とサクラの会話に終始眉をひそめていたスネイプだが、こちらに目を向けることもなく、コーヒーを飲んでいた。しかし、「あの約束」と含みを持たせた言い方に、じろり、と初めて目が合った。
「ルーピン、君が退職した後、こやつと知り合う機会があったのか?」
「退職の日に偶然、学校内で会ってね。」
「そこで、誘いを受けてこの女が舞い上がっているということか。」
すました表情でコーヒーを口に含むスネイプに今度はサクラが眉間にしわをよせた。
「なんてこと言うんですか。まるで私が軽い女みたいな言い方・・・!」
「事実そうであろう。こうして時間を割いてやっている我輩の意向も聞かず、ほかの男を目の前で誘う女は重くはなかろう。」
その言葉にサクラはぐっと口を噤む。本人も一理あると思ったらしい。
「セブルス気を悪くさせたなら申し訳ない。こうして会えると思っていなかったから嬉しくてね。」
「あいにく我輩はこやつの相談に乗ってやらねばならん。今日はお引き取り願おう。」
「リーマス教授、申し訳ありません。せっかくお声がけいただいたのに・・・」
サクラは申し訳なさそうな顔で謝った。
「いやいいんだ。丁度、このあと仕事も任されていたし気にしないで。実はこの店には仕事の依頼で来ていたし。」
ここで仕事の依頼があるのは本当だが、実際は一服してからという予定で少しはやめに来ていたところではある。しかし、このままサクラの誘いにのって向かいの男の機嫌を損ねるのは得策ではないと感じた。スネイプの感情がこの子への好意からなのか、自分への当てつけなのかは判断できないところではある。ただ、分かるのはサクラが、特にスネイプに関しては同僚以外の感情はなく、だからこそ不用意に自分を誘ったのだということだった。自分もスネイプも異性として意識されていないことが、サクラの言動に如実に表れていた。
リーマスは去り際、満足したような「ふん」と鼻をならす男の横顔が目に映った。元同僚の初めてみる反応に複雑な気持ちを滲ませ、店を後にしたのだった。
見知った鷲色の髪とくたびれた服装。数日前に教授の職を辞した男が、まだホグワーツの近辺をうろついているとは。スネイプが隠すまでもなく不機嫌な表情でいることに微塵も気負うことなく、リーマスはサクラの方へと視線を向けた。
「お久しぶりです教授。お元気そうで。」
「ああ。今はちょっとした仕事を見つけてね。なんとかやってるよ。」
リーマスの愛想のいい笑顔はいつものことだが、この女の方も、何とも嬉しそうな表情を向けている。
「こうしてお会いできたのも何かの縁ですし、よろしければご一緒にいかがです?」
女は自分の隣の席をさし、着席を促した。それに対して嬉しそうな表情をするも、ルーピンはスネイプの方をうかがった。
スネイプには、学生時代からルーピン含め、かの4人組に対していい印象を持っていないことはルーピンも分かっていた。若かったとはいえ、あの二人のした行為は人の尊厳を傷つけるものであったし、それを笑って見ていた自分は同罪だ。現に、今年の職場でもそっけない印象であったし、脱狼薬もダンブルドアの指示でなければ調合してくれることはなかっただろう。
しかも今回は女性を伴っての外出だ。この機会に空気を読まずに同席してしまうほど、自分は子供ではない。
「しかし、せっかく二人で来ているところに悪いよ。しばらくこのあたりで過ごしているから、そのときに「あの約束」を果たさせてもらうよ。」
サクラは残念そうな表情をした。その表情にルーピンは違和感を感じた。そして、スネイプの表情を見てさらに違和感を感じた。自分とサクラの会話に終始眉をひそめていたスネイプだが、こちらに目を向けることもなく、コーヒーを飲んでいた。しかし、「あの約束」と含みを持たせた言い方に、じろり、と初めて目が合った。
「ルーピン、君が退職した後、こやつと知り合う機会があったのか?」
「退職の日に偶然、学校内で会ってね。」
「そこで、誘いを受けてこの女が舞い上がっているということか。」
すました表情でコーヒーを口に含むスネイプに今度はサクラが眉間にしわをよせた。
「なんてこと言うんですか。まるで私が軽い女みたいな言い方・・・!」
「事実そうであろう。こうして時間を割いてやっている我輩の意向も聞かず、ほかの男を目の前で誘う女は重くはなかろう。」
その言葉にサクラはぐっと口を噤む。本人も一理あると思ったらしい。
「セブルス気を悪くさせたなら申し訳ない。こうして会えると思っていなかったから嬉しくてね。」
「あいにく我輩はこやつの相談に乗ってやらねばならん。今日はお引き取り願おう。」
「リーマス教授、申し訳ありません。せっかくお声がけいただいたのに・・・」
サクラは申し訳なさそうな顔で謝った。
「いやいいんだ。丁度、このあと仕事も任されていたし気にしないで。実はこの店には仕事の依頼で来ていたし。」
ここで仕事の依頼があるのは本当だが、実際は一服してからという予定で少しはやめに来ていたところではある。しかし、このままサクラの誘いにのって向かいの男の機嫌を損ねるのは得策ではないと感じた。スネイプの感情がこの子への好意からなのか、自分への当てつけなのかは判断できないところではある。ただ、分かるのはサクラが、特にスネイプに関しては同僚以外の感情はなく、だからこそ不用意に自分を誘ったのだということだった。自分もスネイプも異性として意識されていないことが、サクラの言動に如実に表れていた。
リーマスは去り際、満足したような「ふん」と鼻をならす男の横顔が目に映った。元同僚の初めてみる反応に複雑な気持ちを滲ませ、店を後にしたのだった。