アズカバンの囚人編
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連れられてきた場所は、道のはずれにある小さな店だった。長年使いこまれたアンティークのような古いながらも雰囲気のあるカフェだ。黒光りする木材が柱や床、テーブルなどの調度品に使われており、その中で、柱伝いに飾ってある植物の緑やテーブルの上の野花の白のコントラストが店内を暗すぎず、落ち着きのある空間にしていた。
教授は迷うことなく奥のテーブルへと歩を進めた。店員の方もこちらに小さく会釈するだけで、スネイプがこの店のなじみであることが見て取れた。二人で腰を落ち着けたところでタイミングよく店員がオーダーを取りに来た。
「ご注文はお決まりですか?」
メニューにはコーヒー、紅茶が数種類、ランチメニューは2つ。
「このセットでお願いします。」
それほど空腹でもないので、軽いサンドウィッチのセットを注文する。スネイプの方には店員が「いつもので?」と問い、短く肯定の言葉を告げていた。
「素敵なお店ですね。よく来られるのですか。」
「必要なものを買いに来たときに。」
「落ち着いた雰囲気のお店で安心しました。」
「我が輩が連れてくる店は、不気味なおどろおどろしい場所だとでも思ったのか?」
「いいえ!お気を悪くされたなら謝ります。私も向こうでは仕事帰りに、こういうお店によく来ていたので親近感が沸くといいますか。」
「なんだ?里心でもついたか?」
スネイプは、にやり、と意地の悪い笑みを浮かべる。
「向こうの世界が恋しくないかと言われれば、もちろん恋しいですよ。仕事は楽しいですが、今はこの生活に慣れることで精一杯です。」
しばらくホグワーツで生活をし、日々のルーティーンが出てきたところである。ようやく学校内の構造をある程度押さえ移動に苦はなくなってきた。しかし、食生活から人間関係、全てが違う環境に順応するために、心身ともにエネルギーが必要である。仕事の段取りを考えたり、日々の生活で向こうの世界を思い出す余裕なく過ごしてきた。
「こうして出かけて、親しんだ場所の面影を見つけると、少しは考えますよ。」
「いつになく素直だな。」
「先生こそ私をどう思われているんです?基本的に友好的な方には同じように友好的に接していますよ。」
いつも敵意むき出しの相手にはもちろん同じように嫌みを込めて接しているとは飲み込んだ。が、スネイプにも言外の思いは伝わったようで、片方の眉を上げて不満を表した。
「では、故郷が恋しいわけでも、仕事がつらいわけでもないのなら、貴様の悩みはなんだ?周りの人間が気付くような変化をみせるほど思い悩むことがあるのだろう。」
「それは・・・」
サクラが言いよどんだところで、注文したものがテーブルに並べられた。野菜とスモークサーモンがはさまったサンドウィッチとコーヒー。スネイプのほうにはサーモンが抜かれ、野菜が多めになったサンドウィッチとコーヒーが運ばれた。
「サーモンお嫌いなんですか?」
「生臭い。」
あれだけ強烈な魔法薬を作るのに、敏感なのだな。と、サクラは心の内で思った。香ばしいコーヒーのかおり。口に含むとその香ばしさが口いっぱいに広がった。自然と口角が上がる。
「おいしいです。」
そういって笑顔を向けるサクラに、まんざらでもなさそうに小さく笑い、スネイプもコーヒーに口を付けた。先ほどの話題をあえて深掘りせず、言葉少なくいてくれるスネイプの心遣いにサクラは、ほっと胸をなで下ろした。
「やあ。こんなところで奇遇だね!」
サクラの背後から黒い影がさした。優しい声音に振り返ると、そこには鷲色の髪の男が立っていた。
教授は迷うことなく奥のテーブルへと歩を進めた。店員の方もこちらに小さく会釈するだけで、スネイプがこの店のなじみであることが見て取れた。二人で腰を落ち着けたところでタイミングよく店員がオーダーを取りに来た。
「ご注文はお決まりですか?」
メニューにはコーヒー、紅茶が数種類、ランチメニューは2つ。
「このセットでお願いします。」
それほど空腹でもないので、軽いサンドウィッチのセットを注文する。スネイプの方には店員が「いつもので?」と問い、短く肯定の言葉を告げていた。
「素敵なお店ですね。よく来られるのですか。」
「必要なものを買いに来たときに。」
「落ち着いた雰囲気のお店で安心しました。」
「我が輩が連れてくる店は、不気味なおどろおどろしい場所だとでも思ったのか?」
「いいえ!お気を悪くされたなら謝ります。私も向こうでは仕事帰りに、こういうお店によく来ていたので親近感が沸くといいますか。」
「なんだ?里心でもついたか?」
スネイプは、にやり、と意地の悪い笑みを浮かべる。
「向こうの世界が恋しくないかと言われれば、もちろん恋しいですよ。仕事は楽しいですが、今はこの生活に慣れることで精一杯です。」
しばらくホグワーツで生活をし、日々のルーティーンが出てきたところである。ようやく学校内の構造をある程度押さえ移動に苦はなくなってきた。しかし、食生活から人間関係、全てが違う環境に順応するために、心身ともにエネルギーが必要である。仕事の段取りを考えたり、日々の生活で向こうの世界を思い出す余裕なく過ごしてきた。
「こうして出かけて、親しんだ場所の面影を見つけると、少しは考えますよ。」
「いつになく素直だな。」
「先生こそ私をどう思われているんです?基本的に友好的な方には同じように友好的に接していますよ。」
いつも敵意むき出しの相手にはもちろん同じように嫌みを込めて接しているとは飲み込んだ。が、スネイプにも言外の思いは伝わったようで、片方の眉を上げて不満を表した。
「では、故郷が恋しいわけでも、仕事がつらいわけでもないのなら、貴様の悩みはなんだ?周りの人間が気付くような変化をみせるほど思い悩むことがあるのだろう。」
「それは・・・」
サクラが言いよどんだところで、注文したものがテーブルに並べられた。野菜とスモークサーモンがはさまったサンドウィッチとコーヒー。スネイプのほうにはサーモンが抜かれ、野菜が多めになったサンドウィッチとコーヒーが運ばれた。
「サーモンお嫌いなんですか?」
「生臭い。」
あれだけ強烈な魔法薬を作るのに、敏感なのだな。と、サクラは心の内で思った。香ばしいコーヒーのかおり。口に含むとその香ばしさが口いっぱいに広がった。自然と口角が上がる。
「おいしいです。」
そういって笑顔を向けるサクラに、まんざらでもなさそうに小さく笑い、スネイプもコーヒーに口を付けた。先ほどの話題をあえて深掘りせず、言葉少なくいてくれるスネイプの心遣いにサクラは、ほっと胸をなで下ろした。
「やあ。こんなところで奇遇だね!」
サクラの背後から黒い影がさした。優しい声音に振り返ると、そこには鷲色の髪の男が立っていた。