アズカバンの囚人編
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スネイプはあの後、自身の部屋へと戻り、薬の調合に勤しんでいた。休暇中に学校でできる調合は終わらせて、次年度のために準備しておきたかったのだ。スネイプは午前中の出来事をふと思い出して、大なべをかき混ぜていた手をいささか荒く振り回した。
朝はあの女に会ったおかげで不快な思いにさせられてしまった。せっかくの親切を無駄にして、最終的にはハグリットに頼むという半ば見せつけるようにしていた。と、会うたび、何かしら気に障る言動のあるサクラのせいでいつもの仏頂面に拍車がかかっている。
あとは時間まで煮込んでおくだけというところで、大鍋に杖を一振りして時間まで火にかけておくようにした。一区切りついたところで、スネイプは大広間へと向かった。夏季休暇中のホグワーツの食事はいつもと変わらないメニューだが、うるさい生徒たちがいないだけでも落ち着いて食事ができていい。
大広間につくと、数人の職員がテーブルで食事をとっていた。その中には、マクゴナガルやフリットウィックの姿があった。いつもの自分の席に座り、料理に手を付けはじめた。食べる分を盛り付けたところで、ふと視線を感じた。その視線の方を見ると、マクゴナガルと目が合った。普段、マクゴナガルは人をまじまじと見つめるような人物ではない。何か話したい用件がない限り、自分の食事を黙々と進める。
例外としてサクラがいるときは、かいがいしく料理を取り分けたり、仕事の近況を聞いているようだが。まるで娘のようにかわいがっている節がある。だが、吾輩は考えずとも前者の方だ。しかし、マクゴナガルとは同じ寮監であるものの共通の話す話題というものはさほどないはずだ。
「マクゴナガル先生、吾輩の顔に注目すべき点でもありますかな。」
「…セブルス、サクラのことです。あなたは、どう思いますか。」
「どう思う」とはかなり広範囲な質問だ。何をさしてマクゴナガルが話題を出したのか。
「最近、サクラがやせてきているのです。」
「……は?…いや、あの女は元からあんな体だろう。さしてやせたとも思わないが。」
「いいえ!夏季休暇が始まってから、食が細くなっているのです。新しい環境で慣れないことがあるのでしょう。あなたはサクラとよく話しているではありませんか。何か知りませんか。」
若干、前のめりで話すマクゴナガルの剣幕に押されて、自然と背をそらせた。ここまで心配しているのに、なぜ私に聞いてくるのだ。
「知りませんな。ご自身でお聞きになるのがよろしいのでは。女性同士のほうが相談しやすいこともあるでしょう。」
そういうと、マクゴナガルは目線を下に向け、うつむいた。
「私もそれとなく話をするのですが、どうも話したくないようで…」
「ならば、吾輩には余計話したくないでしょうな。」
「何を言っているのです!サクラがあなたと話す表情は、他の者との表情とはまるで違いますよ。あなたになら、何か話してくれるかもしれません。」
瞬時にさらに凄まれる。なぜ、会ったばかりのあんな女にそこまで肩入れができるのか甚だ理解に苦しむ。しかも、その表情というのは、得てして、吾輩の嫌味に愛想笑いする表情のことだろう。自分でいうのもなんだが、吾輩以上にあの女にいい感情を持たれていない者はいまい。
しかし、ここで首を縦に振らなければ、永遠に食事にありつくことができないだろう。
「…吾輩に必ず話す保証はありませんぞ。」
「ええ…!ありがとうセブルス!頼みましたよ!」
守るはずのない約束をして、スネイプは昼食にありついた。
***
その後、スネイプはダンブルドアからの呼び出しで、サクラの様子を報告することになる。そこでマクゴナガルの言った話を出したのが、その後の運の尽きだった。
現在、再びダンブルドアの呼び出しがかかり、校長室へと入ると、件の女の姿が。そして、その女にふざけた事をいうこの学校の最高権力者の姿。
「なれない環境で働き詰めでは滅入ってしまうじゃろう。今日は出かけてきなさい。」
「つまり吾輩はこの娘の子守に遣わされたわけですな。」
自分の発した、たかが一言で、これから貴重な休暇の時間が浪費されてしまうのだ。そう思うと眉間のしわをさらに深くして、入り口で立ち尽くすよりほかなかった。
朝はあの女に会ったおかげで不快な思いにさせられてしまった。せっかくの親切を無駄にして、最終的にはハグリットに頼むという半ば見せつけるようにしていた。と、会うたび、何かしら気に障る言動のあるサクラのせいでいつもの仏頂面に拍車がかかっている。
あとは時間まで煮込んでおくだけというところで、大鍋に杖を一振りして時間まで火にかけておくようにした。一区切りついたところで、スネイプは大広間へと向かった。夏季休暇中のホグワーツの食事はいつもと変わらないメニューだが、うるさい生徒たちがいないだけでも落ち着いて食事ができていい。
大広間につくと、数人の職員がテーブルで食事をとっていた。その中には、マクゴナガルやフリットウィックの姿があった。いつもの自分の席に座り、料理に手を付けはじめた。食べる分を盛り付けたところで、ふと視線を感じた。その視線の方を見ると、マクゴナガルと目が合った。普段、マクゴナガルは人をまじまじと見つめるような人物ではない。何か話したい用件がない限り、自分の食事を黙々と進める。
例外としてサクラがいるときは、かいがいしく料理を取り分けたり、仕事の近況を聞いているようだが。まるで娘のようにかわいがっている節がある。だが、吾輩は考えずとも前者の方だ。しかし、マクゴナガルとは同じ寮監であるものの共通の話す話題というものはさほどないはずだ。
「マクゴナガル先生、吾輩の顔に注目すべき点でもありますかな。」
「…セブルス、サクラのことです。あなたは、どう思いますか。」
「どう思う」とはかなり広範囲な質問だ。何をさしてマクゴナガルが話題を出したのか。
「最近、サクラがやせてきているのです。」
「……は?…いや、あの女は元からあんな体だろう。さしてやせたとも思わないが。」
「いいえ!夏季休暇が始まってから、食が細くなっているのです。新しい環境で慣れないことがあるのでしょう。あなたはサクラとよく話しているではありませんか。何か知りませんか。」
若干、前のめりで話すマクゴナガルの剣幕に押されて、自然と背をそらせた。ここまで心配しているのに、なぜ私に聞いてくるのだ。
「知りませんな。ご自身でお聞きになるのがよろしいのでは。女性同士のほうが相談しやすいこともあるでしょう。」
そういうと、マクゴナガルは目線を下に向け、うつむいた。
「私もそれとなく話をするのですが、どうも話したくないようで…」
「ならば、吾輩には余計話したくないでしょうな。」
「何を言っているのです!サクラがあなたと話す表情は、他の者との表情とはまるで違いますよ。あなたになら、何か話してくれるかもしれません。」
瞬時にさらに凄まれる。なぜ、会ったばかりのあんな女にそこまで肩入れができるのか甚だ理解に苦しむ。しかも、その表情というのは、得てして、吾輩の嫌味に愛想笑いする表情のことだろう。自分でいうのもなんだが、吾輩以上にあの女にいい感情を持たれていない者はいまい。
しかし、ここで首を縦に振らなければ、永遠に食事にありつくことができないだろう。
「…吾輩に必ず話す保証はありませんぞ。」
「ええ…!ありがとうセブルス!頼みましたよ!」
守るはずのない約束をして、スネイプは昼食にありついた。
***
その後、スネイプはダンブルドアからの呼び出しで、サクラの様子を報告することになる。そこでマクゴナガルの言った話を出したのが、その後の運の尽きだった。
現在、再びダンブルドアの呼び出しがかかり、校長室へと入ると、件の女の姿が。そして、その女にふざけた事をいうこの学校の最高権力者の姿。
「なれない環境で働き詰めでは滅入ってしまうじゃろう。今日は出かけてきなさい。」
「つまり吾輩はこの娘の子守に遣わされたわけですな。」
自分の発した、たかが一言で、これから貴重な休暇の時間が浪費されてしまうのだ。そう思うと眉間のしわをさらに深くして、入り口で立ち尽くすよりほかなかった。