空を泳ぐ鯨 5.


 ごぐっと大きく鳴る勇作ののど。
「あにさま、愛してあげるっ……!!」
 そういった口は尾形の股間ではなく、股間周りを舐め始め、余すところなくしゃぶられるその快感に身体が勝手に反応してしまい、熱くて柔らかな舌が股間付近に這うたびに身体をビグッビグッと跳ねさせ、甘い声が勝手に漏れてしまう。
「ああっああっ! やっあっ! あっううっ、んっんっ、やあっ……!! やああー……!!」
「兄様イイ声っ……!! もっと聞きたいから、もっと舐めるっ。兄様お尻見せて、お尻が見たい」
「やっ……!! 何を、考えてっ……!! やっだっ!! 恥ずかしっ……!!」
 無理やり身体をうつ伏せにさせられ、腹に手を入れることで尻を高く突き上げた形になり、勇作が手で双丘を割り開いてくる。
「兄様のお尻、すっごくきれい……! ピンク色で美味しそうっ……!! 食べちゃうっ!!」
「あっ!! ああああああああっ、やだあああああ!! なんでっ、そんなとこっ!! ソコやあっ!! やだっ、ああああああああやだあああっ!!」
 いきなり尻の孔にむしゃぶりつかれ、べろべろに舐められるその快感に身体が震えてしまう。ココは隠れた性感帯なのだ。だが、それは指でされての話。舐められたことなど一度も無いが、この快感はクセになりそうなほどには気持ちがイイ。
 尻の孔でここまで感じてしまうとは思ってもみなかった。だが、実際に感じているのは事実。
 勇作は鼻息荒くひたすらに尻の孔を舐めしゃぶってきて、時折会陰にも舌を伸ばし、ひたすら尾形に快感を送り込んでくる。
 そのうちに抵抗する気も失せてきて、尻を高く上げたまま必死になってシーツを掴み、与えられる快感を享受することにする。最早ここまで来たら羞恥もなにも無い。
「んんっ、んああっ、はあっはあっ、あっあっあっあっ、んんんんー……!! あっあっ、はあっはあっはっはっ、あっあっ! や、あっ!」
 ぎゅっとシーツを握りながら甘く啼くと、ますます勇作の施す愛撫にも力が入る。舐め方がさらに情熱を帯びたものに変わったのが分かった。
 尻の孔には舐められるだけでなく、唾液も送られてくるようになり、舌で溢れ出てくる唾液を捻じ込んでくるのだ。
 それにも感じてしまい、また喘ぎが大きくなる。
「やあああっ!! やあああああああっ!! あああっ、あううううううっ!! うっんっ、んっんっ、あっあああああ!!」
 舌は尻の孔も責めつつ膨らみまでもを舐めてきて、陰部という陰部に勇作の舌が這い回っては尾形に何らかの感情を与えてくる。快感だったり、時には羞恥だったり時々だが痛みだったりもする。
 セックスでこんなにいろいろな感情が浮き上がってくるのも初めての経験だ。勇作は少しSっ気があるので、舐めているところを噛んだりもしてくる。それが痛みに繋がるわけだが、セックスとは快感だけでは物足りないことを尾形は勇作を通して知った。
 いろんな様々な刺激を与えられることにより、快感がさらに増すといったことも、勇作が教えてくれたことだ。
 何も知らない、分からない勇作だからこそだろうとは思う。だが、そんなところもまた、愛おしい。
 そう思うだけで身体の感度を上げてしまい、必死になって喘いでいると幾分か乱暴に仰向けにされ、両脚の膝裏に勇作の手が入りまたしても真正面から陰部を晒してしまう。
「やっ……!! ああっ、は、恥ずかしいっ……!! 止め、止めてください!! そんなにっ、あああ見ないでっ!! やあっ、見るなっ!! やっやっ!!」
「兄様すごい、きれい。はあっはあっ、すごい、興奮するっ……!! きれいなものに手を伸ばしたいと思うのは不自然なことではないでしょう? 兄様が、きれいなのが悪い。兄様の所為だっ……あにさま、兄様っ……!! はあっはあっ、あにさまっ……!!」
 いきなりペニスにしゃぶりつかれ、驚きのあまり「うあっ!?」と声が出てしまうが、情熱的に下から上へ裏筋を舐め上げられ、つい甘い声が漏れてしまう。
「ああっ、はあっ、やっ……あっ、あっあっあっあっ、んっ……はあっはあっはあっはあっ、はっはっ、はんんっ、あっああっ、んんっ、んっ!!」
 手のやりどころに困り、逆手にシーツを握って勇作の愛撫に応えるよう、少しだけ足を開くとさらに熱の入った愛撫がペニスに施される。
 それはなんとも気持ちが良く、勝手に身体が細かく震えてしまう。それくらいには快感が強く、着実に尾形を追い詰めてくるソレに興奮が隠せない。
 勇作は細かく舌を使ってペニス全体を舐めてきて、今までにない刺激にも興奮してしまい、勝手に腰が揺れる。
 そのうちにトロトロと大量のカウパー液が零れ出してきて、さも美味そうに舐め取る様というのは見ていても卑猥で、そして官能的だ。
 舌とペニスの先端とが銀糸を引き、ぽたりとシーツに雫が零れる。どうやら視覚的エロスを狙っているらしく、ひたすらにわざと糸を垂らしてはまたペニス食らいつき、糸を作りながら顔を引き尾形に向かって幼げな笑みを向けてくる。
「はあっはあっ、んっんっ、このっ……助平っ……!! あっああっ!!」
「エッチなのはお互い様でしょう? 兄様だって充分にエロいですよ。ほら、ココとか……美味しそう。かわいいおへそ」
 今度はへそにしゃぶりつかれ、へそも何気に尾形にとっては性感帯なので今ココをいじられるのはつらいが、嬉しい気持ちもありつい、大声で啼いてしまう。
「あああああっ!! やっ、ソコッ、ソコやあっ!! やっだっ……ああああ感じるっ!! いやだ感じるっ!! はあっはあっ、あっあっ、止め、止めッ!! ゆ、勇作、勇作ぅっ!! いやだあっ!!」
 触れてくる舌が肌に這うたび、これ以上ない熱を感じる。べつに特にいやだと思っているわけではないのに、何故か「いやだ」という言葉がのどから飛び出した。
 不思議なものだが、きっと勇作の激しさに尾形がついていけていないからだ。何処までも独りで行ってしまって戻ってきていない。
 だが、そんなことはお構いなく勇作は舌を出してれろれろとへそをひたすらにしゃぶってくる。
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