空を泳ぐ鯨 5.
味わうように、嬲るように舌が使われ、すぐにへそが熱持つようになり、熱くてたまらないソレに尾形は翻弄されつつ、身体をビグビグと跳ねさせて首を横に振る。
「ああっああっ!! やっやあ!! やあああっ!! やあああ気持ちいっ、気持ちいっ!! いやっ、やだっ、気持ちイイッ!! やっやっ、あっあっあああああああ!!」
「はあっはあっ、かわいい声。もっと聞きたい。聞かせて兄様、あにさまっ!!」
さらに激しさが増し、がむしゃらにへそやへそ付近をべろべろと吸うようにしゃぶってきて、最早悶絶の尾形だ。
こんなにも激しく求められた経験は考えれば勇作だけなので、思いっ切り乱れてもそれはそれで愉しいのではないか。
これだけ愛してくれているのだから、尾形もいい加減素直になって身を預けてみたらもっと愉しめる。その結論に達し、身体の力を抜いて感度の赴くがまま身体の感覚を開いてみるとそこには、天国が拡がっていた。
さらにぐんぐんと感度が上がり、素直になればなる分だけ強い快感が手に入り、驚きと同時に何だか納得もしてしまい、上機嫌の喘ぎ声を出してしまう。
「はああっ、あんんんっ!! んああっ、はあっはあっはあっはあっ、んっんっんっんっ、んああっ!! はあっはあっ、い、イイッ……!! い、イイッ、あっあっイイッ、ああっ!! んんあああああ!!」
勝手に背が反り返ると勇作もそれを追ってきて、肌の上を勇作の熱い舌が情熱的に這いたくる。
たまらない快感だ。
じっと勇作を見ていると、ちらちらとこちらを見るその眼と時折、視線がかち合うのだが余裕がないのか興奮し切っていて何も見えていないのかすぐに交わった視線は外され、長い睫毛を伏せて肌にしゃぶりつくことに夢中になっている。
あんまりにも激しくしゃぶるものだから、時折歯も肌に当たるがそれもいい刺激になり、そして悟る。今はなにをされても気持ちがイイと。
そのことがなんだかとても嬉しく感じ、甘い息を吐き出しながら逆手に握ったシーツを引っ張り、のどを反らす。
すると今度はさらに上へと移動し、左乳首をしゃぶった後、ロックオンされたのは脇だった。あまりそこには触れて欲しくない。毛が生えているし、今朝シャワーを浴びたとはいえあまりきれいな場所ともいえないが、勇作は美味しそうに体毛ごと脇をしゃぶってきて、不覚にも感じてしまう尾形だ。
こんなところ誰もしゃぶらせたことが無かったので分からなかったが、ここは性感帯だったのだ。初めて知る事実と共に脇から身体にかけて次々と快感が湧いてきては、勇作の舌によって様々なところが暴かれていく快感に興奮が隠せない。
しかし、やはり抵抗あるものはある。
「やっソコ、ソコやっ! き、きれいじゃないからっ……! や、離し……離してっ、止めっ……!!」
「ここ、兄様の甘いにおいがすごいする。あなたに汚いとこなんてあるはずがないでしょう。兄様はきれいだっ……!! うっとりする……脇も、胸もお尻も、おへそもなにもかもきれいですごく、興奮する。好き、大好き兄様。きれいな兄様が、私は大好きです……!!」
思わず顔を赤らめてしまうと勇作がそれを見て幼く笑う。その中にも官能が潜んでいて、そのアンバランスな笑顔に見惚れると、今度は照れくさげに笑ってまた脇を舐め始める。
「こ、この変態っ……!! や、やあっ!!」
「……脇の毛が……口に、入る。でも舐めたい。兄様、いい? だめって言われても舐めるけど」
「だったら、聞くなッ……! 変態ッ!! やああっ、あっあっ!! や、そんなに舐めるなぁっ!!」
べろべろに舐められ唾液で脇が湿るのが分かる。それでも勇作は止まらず、体毛を気にしながらぺちゃぺちゃぢゅるぢゅると音を立てて舐めしゃぶってくる。
羞恥を感じながらそれでも気持ちが良く、思わず身体がピクピクッと跳ねるが、それも勇作は無視してすんすんと鼻を鳴らしつつ脇責めを止めようとしない。
熱い舌で舐めるものだから脇まで熱を持ち始め、身を捩らせて逃げようとするがその瞬間、頭の後ろに手が回り、ぐっと引き寄せられたと思ったら唇が降ってきて乱暴な仕草で口づけをされてしまい、何となく反抗心が芽生えていたので顔を振ろうとするが許されず、何度も何度も唇を吸っては舐めてくる。
「はあっ、ちょ、待っ……!!」
流石に待ったをかけるが聞かず、開いた口のナカへ勇作の舌が入り込んでくる。その柔らかな感触を感じたと同時に、探るように咥内を大きくべろべろと舐められ、そのままぢゅぢゅっと音を立てて舌を吸って来ては大量の生温かな甘い体液が勇作から送りつけられ、必死で飲み下す尾形だ。
何だか、零したらいけないような気がしていつも零し落とされる分は飲み下すようにしている。
しかしこの唾液の味もかなり馴染んできた。そして舌という舌が悦ぶのが分かる。この官能を煮詰めたような味は勇作でしか味わえないものだ。
甘く熱く、まるで勇作の分身のような唾液が好きだと思う。自然とシーツを握っていた手は勇作の首にかかり、気づけばもっともっととせがむように尾形からも勇作の咥内へ舌を差し挿れ舐め回す。
相変わらず、甘い味のする口のナカだ。このこってりとした甘さがまた、クセになる。
夢中になって舌を使い尾形よりもだいぶ熱い咥内を舐め回しているとそれはいけなかったらしい、まるで咎めるように勇作が舌を柔らかく食んできて、食み返すと食み合いに発展し、交互に柔らかく舌を食んでは食んだところを舐め、だんだんと口づけがヒートアップしてくる頃、漸く長い口づけが解かれ、鼻が触れ合う至近距離で勇作が甘い息をしきりに荒く吐きながらじっと見つめてくる。
「はあっはあっ、ゆうさくっ……」
「はっはっ……はあっはあっ、兄様……お尻、いじってもいい?」
「えっ……」
「いやって言われてもいじるけど、指挿れたい。もっとたくさん、兄様のこと感じたい」
「こ、このままで、ですか?」
大いに戸惑うと、勇作は自由になっている右手を尾形の前に差し出して握ったり開いたりしてくる。
「この指に兄様がクリームを塗ってくれれば、この手はすぐにでも兄様のお尻に行きます。指、挿れていい?」
ぴっと突き立てられる中指。尾形はその指と勇作、交互に見た後、放られていたクリームをちらりと見て、また視線を勇作に戻すと、目線で塗るよう促してくる。