蝶の見る楽園 3.
美麗な顔に獰猛な笑みを浮かべ、早速やり直しとばかりに右乳首を舐め始めた。勇作の最初は大体、柔らかだ。それからだんだんきつくなっていって、痛みを強いられる。だが、その後には極上の快楽が待っていることをもう、覚えてしまった。
知ってしまったらもう最後。止められない。止めて欲しくない。
「んっんっ、早く、早く噛んでください。勇作殿ッ!! はあっはあっ、早くッ!!」
しかし勇作は乳首を突くように舐めるだけで、時折乳輪の縁を遊ぶように舌先でなぞったりはするが、一向に噛む気配がない。
いい加減焦れて、腰を揺らすと突然だった。今まで生温い愛撫で済ませていた右乳首にいきなり齧りつかれ、勃った小さな突起が悲鳴を上げる。
「うぐぅっ……!! ああああああああ!!」
乳首どころか尾形自身も悲鳴のような声が出て、あまりの痛みに涙すら滲むが、勇作は容赦なくさらに一旦歯を外してまた同じような強さで噛みついてくる。
「ううううっ……!! ううっうっうっ、あああああああ!! 痛いッ、いた、いた、痛いッ!! ゆ、勇作ッ!! 勇作殿ッ!! やっあっ!! ああっああっ、ち、乳首が潰れるッ!! 潰れるッ!!」
本気で潰れると思った。このまま続行されれば確実に乳首が死ぬ。
そのくらいの痛みが尾形を襲い、半泣きで勇作を見ると上目遣いの眼と視線が交じり合い、ぐすっと鼻を啜るとすぐに歯が外れ、じんじんとした痛みの中、至極ゆっくりと柔らかでふわふわと舌が謝るように潰れて形の変わった乳首を舐め始める。
ここからだ。
ここから怒涛の快楽が押し寄せてくる。期待で、胸がドキドキと高鳴る。この痛みを我慢すれば、最高に気持ちのイイ快感が待っている。
案の定、勇作の舌はごくごく優しく噛まれ過ぎて腫れ上がった乳首を慰めるように這い始め、痛みが引いてくるのと同時ほどに蕩けるような快感が少しの痛みに混じってやってくる。
ひどく噛まれれば噛まれるほど、感度が増すのか舐められるとイってしまそうに気持ちがイイ。今回も例外なく、じわじわと快感が乳首から拡がってきている。
「はあっはあっ、ん、もっと優しく、優しく舐めてください。優しくがいい……」
勇作は真っ赤な舌を唾液塗れにさせてべろんっと乳首を大きく舐めた後、柔らかくした舌先でちろちろとくすぐるように刺激してきて、だんだんと心地いい快楽と呼べるものが胸から湧き上がり、ちゅっと優しく吸われたことで一気にそこで快感が爆発し、ぶわっと言葉にもできない快感が全身に拡がる。
「ああぁぁっ……!! うあっああっ……!! はあっ、あああああうううううう気持ちイイッ……!! はあっはあっ、あっあっ、イイッ……!!」
思わず背が勝手に仰け反ってしまい、尾形の悩ましい腰のラインが露わになり、勇作の手がここぞとばかりに這い回って、そこでも快感を送ってくる。
間髪入れず、今度は右乳首を口に含まれちゃぷちゃぷと音を立てさせながらしゃぶりつかれ、小手調べとばかりに優しく舐めては柔らかく乳首を噛んでくる。
下を見るとまた上目遣いで尾形を見ている勇作が居て、嬉しそうに笑みながら乳首にしゃぶりつき、視線を尾形に送ってくる。
このいやらしさはどうだ。
教えてもいないのに、何故こんなことができるのか。こういうことをされるたびにいつも思う。教えていないぞ、と。
少しの抗議も含めて勇作を見ると、心底愉しそうに尾形の乳首を舐めていて、ふと目が合うと切れ長の目が弧を描き、黒目が瞼の下へと消えていって完全に瞑ると、乳首に歯が宛がわれ、徐々に噛み潰されていく。
かなりゆっくりと時間をかけて噛むつもりらしく、いつ痛くなるのか、その綱渡りのようなスリルが快感を呼び、胸が勝手にドキドキと高鳴る。
痛いのはいやだが、その後には極上の快楽が待っているのだ。少々の痛みくらいは我慢できる。
硬い歯が、だんだんと乳首に食い込んできた。そこから徐々に痛みが始まり、勇作の笑みが深くなる。
「ん、ん、んっ……んうっ、あっ……か、感じるっ、は、はあっはあっ、い、痛っ……!!」
すると一旦歯が乳首から離れ、柔らかく舐められたのでホッと息を吐くと、勇作がちろちろと乳首を舐めながら優しい声色で聞いてくる。
「止めて欲しいですか? あにさま、いや? 乳首噛まれるの、そんなにいやですか?」
そう来るとは思わず、反射で首を横に振ってしまうと妖艶に勇作が笑む。その凄みさえ感じる笑顔に、思わずのどが鳴る。
するとそれだけで分かったらしい勇作が、ぺろっと乳首を一舐めして、コリコリと痛くない程度に噛み、舌先で突き舐めながら次は先ほどよりも強く噛む。そしてまた舐めて噛むことを繰り返すと、不思議とこれがまた違う快感を持っていて、気持ちよくて勝手に息が上がってしまう。
徐々に噛む力が強まっていくのもいい。先ほどよりも飴と鞭の感覚は無いが、それでも気持ちイイことに変わりはなく、とうとう痛みの方が勝つくらい乳首を強く噛まれてしまい、思わず歯を食いしばってしまう。
するとすぐに歯が外れ、上目遣いで噛んでいた勇作と目が合い、口元を震わせると丁寧に舌を柔らかく使って噛まれ過ぎて腫れ上がり膨らんだ乳首をねっとりと舐め上げてくる。
初めは痛みしか感じなかったが、徐々にやってくるのは絶大な快感だ。じんじんして痛かった乳首が、じわじわとした快感に押され始め、舐められ続けると胸から身体全体に快感が拡がり、蕩けそうなくらいに気持ち良くなる。