空を泳ぐ鯨 3.
徐々に口づけは深まり、勇作がしきりに唇を吸ってくるので尾形も吸い返し、どんな顔をしてキスをしてるのかが気になり眼を開けると、勇作はどうやら眼を開けていたらしい。長い睫毛に縁取られた切れ長の眼と出会い、その眼が幸せそうに弧を描いてそっと閉じられる。
細かく震える瞼と揺れる長い睫毛は本当にきれいで、思わずじっと見つめてしまうと柔らかく唇を食まれた。
「んっ……!」
つい感じてしまい声が出ると、その隙を突いて咥内に熱い舌がぬるりと入り込んでくる。それにも感じてしまい身体を震わせると腰に両腕が回り、下半身がピッタリと触れ合う形になることで勇作のペニスが下腹に触れ、その猛りを感じることができる。
これは、相当勃っている。触れ合っている下腹が熱い。
勇作の息はかなり上がっていて、今の状況に興奮していることが分かった尾形はさらに興奮してもらうべく、腰をさらに押しつけるとビグッと勇作の身体が跳ね、咥内に「は、あっ……!!」と熱くて甘い吐息が漏らされ、股間がさらに大変なことになったのが分かった。
「ちょ、兄様っ……いけませんって、また欲しくなっちゃうからもうだめっ……! だって、キスだけでももう私……兄様が」
「ん? 欲しい? でも今日は本番はだめですよ。時間が迫ってますし、身体洗ってくれるんでしょう? 頭も。早くっ」
そう言って唇を合わせながら笑ってやると、ぷくっと勇作の頬が膨れる。
「意地悪だ、兄様はやっぱり。意地悪だけど……とても、かわいい人」
勇作も笑い、二人で何度も口づけを交わしながら笑い合う。なんて平和で甘い朝だろうか。
心に温かなものがわっと拡がり、思わず擦り寄ってしまうとしっかりと勇作は受け止めてくれ、ぎゅっと胸に抱いてくれる。
「勇作どの、ゆうさく……」
「甘えたですねえ、兄様は。でもそういうところも、すごくかわいい。あなたはとても、かわいい人なんですよね。昨日抱いたから知ってる……」
その言葉に思わず赤面してしまうと、勇作からも擦り寄ってきてちゅっと軽いキスを受ける。
「でも、股間が……兄様はこういう時、どうしているんですか? 自分でその……扱いたりとか?」
「違う違う、違います。あなたが居るのにどうして独りで右手とお友達しなければならないんです。勇作殿は兜合わせってご存知ですか?」
「かぶと、あわせ……? いえ、知らないですがなんだか、やらしいことだというのは分かります」
尾形は手を下へと持っていき、片手で勇作のペニスをそしてもう片方の手で自分のペニスを握り、合わせて纏め、ゆるっと扱くと勇作の腰がぶるっと震えたのが分かった。
「あっ……!! あにさま、これはっ……!!」
「これが、兜合わせ。気持ちイイでしょう? ほら、床に座って。俺がリードしてあげます」
恐る恐るといった体で勇作がペニスを揺らしながら床へと座るのを見届け、追ってすぐに尾形も勇作の身体を跨ぎ、ずいっと近づいて足を開いて股間を近づける。
少し下には勇作の美麗な顔がある。一度その桃色の唇に口づけ、勃起した二本のペニスを両手で持ち、焦らすようにゆっくりと扱き始める。
「下見て……エロいですから見てみて。興奮、するでしょう? 俺たちのチンポが愛し合ってる」
そう言って煽ると、勇作の顔がそっと下へ向きそして元々赤かった顔がさらに赤く紅葉のように染まる。
そして、身体がぶるっと大きく何度も震え、鈴口から大量のカウパー液がじゅわっと滲み出してくる。
それを潤滑液にして、今度こそ激しく扱き上げることにする。何しろ、時間がない。チェックアウトまであと何時間あるのか分からないが、急ぐに越したことはない。
「勇作殿、時間が気になりますから飛ばしていきますよ。ついてきてください。身体だけに、なって……感じて、俺を」
「はあっはあっ、兄様、あにさま、私も一緒に扱く。扱きたいです」
二人の手が重なり合い、ペニスで感じる直接的な快感に身を任せ互いの顔をじっと見つめ合いながら懸命に手を動かして互いを高め合っていく。
「んっんっんっんっ、はあっはあっ、勇作、勇作殿気持ちイイッ!! あっあっあっあっあっ!!」
「ああっはあっ、あにさま、私も、私も気持ちイイッ!! あっあっ、い、イイッ!! い、イキそうになってきた。あにさま、兄様イクッ!! すごい、気持ちイイッ!!」
震える勇作の声を遠くで聞きながら、尾形も快感に身を任せつつ亀頭を中心に扱き上げるとそのダイレクトな快感に思わず背が反る。
「あはぁぁっ!! はあっはあっ、勇作殿、俺も、おれもっ……イック、イクッ……イキそうっ!!」
勇作のペニスはかなり熱く、握り込んでいると血管の動きや跳ねる感覚まで伝わってきて、それも快感に拍車をかけてきて、それは勇作も同じなのか手の動きがかなり乱雑でそして早くなってきている。
この兜合わせは早くザーメンを出したい時、強く相手を感じたい時などに有効な行為だ。それをいま勇作に仕掛けたのはどうやら、正解だったようだ。
一度経験したら止められないほどの強い快感を持つ兜合わせ。アナルを使ったセックスだとローションなどが要るが、この兜合わせはそんなものは必要なく、要るのは二本のペニスだけ。
手軽に快感を味わえるという点では、かなり今の状況では最適だ。勇作もかなり善がっている様子で、快感が強いことが窺える。
頬を真っ赤に染め、口を半開きにしてじっと尾形を見つめてくる勇作の顔にはすっかりと色が乗って、艶やかな色気を放っており思わず生唾を飲み込んでしまう。
なんて顔をするのだろうか。襲ってしまいたいほどに色っぽい表情を浮かべ、そして甘い吐息をしきりにつく勇作はもはや色気の権化と化しており、さらに重ねてペニスに感じる快感も相まって、興奮を隠せない尾形の方が先にイってしまいそうだ。
「勇作殿は意外と、エロいですね。チンポ、ガチガチに勃ってるじゃないですか。やーらしい。こんな立派なモノつけて……ガマン汁が止まりませんよ」
「や、あに、兄様だってやらしい! 陰茎こんなにして、すごい勃ってる! わ、私のいやらしさは標準です! 兄様の方がエッチです!!」
「言ったなっ……!! このドスケベが。ガマン汁が生温かい。あなたのですよ」
こういった言葉責めも、兜合わせの醍醐味だ。顔がほぼ真正面にあるので、勇作の美麗な顔が快楽や言葉によって歪むのを見るのも愉しい。
「あにさまだってっ……!! 兄様のエッチな汁だってすごい私の方に流れてきてますよ! 先っぽこんなに膨らませて、そういうことを言う人にはこうです!! 食らえっ!!」
突然ぎゅぎゅっと亀頭を握られ、ザーメンなのかカウパー液なのか分からない液がビュッと飛ぶと、こたえられない快感が一気に押し寄せてきて、それと共に射精感もぐんと高まる。
「あぁぁっ! はあっはあっ、ゆ、勇作ぅっ……!! あは、あは、あはあああっ!! はあっはあっ、だめイキそうっ……!! そんな、ことされたらイクッ!! い、イクッ!! だめだめイクッ!!」
「兄様が、意地悪なことばかり言うからです! 私だってずっとイキたい!! はあっはあっ、だめいや気持ちイイッ!! はあっはあっ、あにさま、一緒に、一緒にイキたいっ!! 兄様とイクッ!!」
互いにペニスを揉みくちゃにしながら合わせて扱きたくると、とうとう極上のイキの波がやってくる。