空を泳ぐ鯨 2.


 身体をひくひくを戦慄かせながらザーメンを吐き出し終わると、やってくるのは極上の倦怠感だ。
「はあっ、はあっはあっはあっはあっはあっはあっはあっはあっ、い、イった……めちゃくちゃに、イった……!! ううう、気持ちイイッ!! 未だ、気持ちイイなんてっ……はあっはあっ、んっ……!!」
 目を瞑り、ひたすらに快感に耽っているともぞりと勇作が動き出し、まずは胸の真ん中に口づけ、次は胃の辺り、下腹に脇腹など、身体の至るところに口づけてきて、その柔らかな触れ合いが今は心地が良く、息を乱しながら優しい愛撫を感じていると、さらっと下生えを撫でられ、あっという間もなく勇作の手は尾形のペニスの根元を持ち、カウパー液とザーメンでぐしょ濡れだろうペニスの先端に舌を置いた。
 その新たな快感で意識が一気に覚醒し、慌てて下を見ると上目遣いで亀頭のくびれを舐めている勇作と眼が合い、切れ長の目は弧を描いてちゅっと先端に滲んだカウパー液を軽く吸い取られてしまう。
「兄様……イキましたね。すっごくかわいかった……! やっぱり兄様はかわいいな。こうしたくなるくらいには、かわいい。兄様のコレ……すっごくエッチなにおいと味がする……美味しい、エッチでやらしい汁……舐めちゃう」
 宣言するなり、べろんっと先端を舐められその快感によりさらに多くのカウパー液がじゅわっと鈴口から滲み出て、丁寧に舐め取られるその性的感触に身体が震える。
「あはぁっ……! あ、あ、あ、ああっ、ああああああああっ……!! ふっふっ、あは、あはっ!!」
「先っぽが一番気持ちイイですよね? 兄様もそうだと思うのですが……下手くそな私です。許してくださいね。ほらココ……こうして、こうやって……」
 下手だなんてとんでもない話だ。乳首でイったのも初めてなら、こんなに細やかなペニスへの愛撫も初めてで、さらに身体の感度を上げてしまう。
 勇作の舌は巧みに亀頭を舐め回し始め、思わず腰を震わせてしまうと片手がするりと尾形の悩ましいラインを描く腰を撫で上げ、さらさらと胃の辺りも撫でてペニスをしゃぶる姿というのは見た目にも興奮するもので、そこでもやはり美麗な顔に欲情を刷き、頬を真っ赤に染めてペニスを愛する姿というのはとても官能的に尾形の目に映る。
 息を乱しながらじっと勇作を見ると勇作も同じように尾形を見てきて、見つめ合いながら舐められるその不思議な感覚にさらに感じてしまい、顔に熱を上げると勇作の口角が上がり、笑みの形になってちゅばっと先端にキスを落とし、ペニスを包んだ手に擦り寄りそれは幸せそうな顔を見せた。
「やっぱり……兄様はかわいいなあ。兄様のコレも、すごくかわいい。あ、ちっさいって意味じゃなくて、反応がね、かわいいんです。いいな、兄様はかわいくて。初めて見た時からかわいい人だとは思っていたけど、こういう風に触れてみるとさらに深くそう思うんです、かわいいなあって」
「あ、あなたはっ……はあっはあっ、眼が、おかしいっ……!! んっく、は、は、はあっはっ……」
「私の眼がおかしいのではなくて、他の人の眼がおかしいのですよそれは。兄様はかわいい。大学にいる女の子たちよりもずっとずっと、かわいらしい。……こんな気持ち、初めて……」
 うっとりと笑んだ勇作は今まで見てきた人間とは段違いにきれいで、そして艶っぽく色っぽい。思わずじっと見つめてしまうと、今度は妖艶な笑顔を浮かべつつ、手の中で息づくペニスにちゅっと口づけを落とし、今度は扱きながら先端の愛撫を始めてしまう。
「ん、んっ……兄様の陰茎は美味しい。丸ごと、食べてしまいたいっ……! このいやらしい汁も、大好きです。あったかくて、ぬるぬるしててエッチな味……」
「は、はっ……頭が、おかしいんじゃないですか……! 俺が、かわいいなんて」
 抵抗も虚しく、勇作にはまったく効いてないようでにこやかに笑みながらとんでもないことを聞いてきた。
「あの、兄様の陰茎をしゃぶって気持ちよくしてあげたいのですが……私は人のモノを咥えたことが無いので経験がありません。兄様、どうすれば一番気持ちイイ? 兄様に気持ち良くなってまたイイ顔でイってもらいたい!」
 まるで駄々っ子の言い分のようだが、内容が内容だ。
「はあっはあっ、とにかく亀頭を、亀頭を中心に上顎と舌で潰すようにして舐めるのがすごく……俺は気持ちイイです。あとのど奥で潰されるのも……好き」
 甘えてみせると、勇作の頬がさらに赤く染まりこの場に似つかわしくない無垢な笑みを浮かべて大きく頷いて見せてくる。
「分かりました。とにかく、亀頭ですね。分かりました、亀頭、亀頭……亀頭を、いじめる、と」
「……いじめる? ちょ、今なんてっ……あっああああああ!!」
 疑問はのど奥から勝手に出た喘ぎ声に掻き消され、いきなりぱくりと亀頭を咥え込まれたと思ったら早速べろべろに舐めしゃぶってきて、そのあまりの激しさに悶絶の尾形だ。
 腰が勝手に逃げようとするが許されず、さらに激しい責めを強いてくる。
 カリに唇を引っ掛け、一頻りくびれの部分も舐め倒した挙句、鈴口にも硬く尖らせた舌先で抉るようにして舐められたりと、とにかく亀頭に向かって刺激という刺激を与えると、今度こそ尾形の言った責めに切り替えるようで、勇作で言うところの亀頭いじめを始めるつもりらしい。
 少し奥へペニスを咥内へと招き入れ、狭まった部分に差し掛かると早速、硬くした舌と上顎のざらざらした部分で亀頭を潰し始める。
 その快感たるや相当なもので、先ほど散々舐められ責められたからか、今日は特に感じてしまうと思う。
 その責めに容赦はなく、まるで搾るように舌と上顎を使って亀頭を潰され、またしても悶絶してしまう。
 身体はビグビグと跳ね上がり、あまりに快感が強すぎて勝手に身体が捩れ、逃げようとするが許されるはずもなく、ひたすらベッドの上で暴れるように喘ぎたくっていると、強烈なまでの射精感が襲い掛かってくる。
8/22ページ