空を泳ぐ鯨 2.


 指の動きはまた違った形で尾形を追い詰めにかかっており、二本の指で前立腺を挟み込み、細かく震わせ始めたのだ。まるで振動のようなそれは下半身が蕩けそうになるほどに気持ちがイイもので、つい我を忘れて善がってしまう。
「あうあああああ!! あああっ、ああああああああー!! あああだめ、だっめ、イック、イック!! ホントに、イクッイック!! あああだめあああああいやだ、いやだ気持ちイイッ!! 気持ち、気持ちイイイイイイイッあああああああああああー!!」
 最後の砦が壊されそうになっている。ペニスからは大量のカウパー液が胎に垂れ流れており、池を作っているのが分かる。
 腰の下に枕が敷いてあるため逃げることもままならず、ただひたすらに勇作の施す快感に溺れるしかないこの状況にも興奮が隠せず、とうとう強烈な射精感が尾形に猛烈な勢いで襲い掛かってくる。
 首を打ち振り、身体は勝手に震え上がって足は戦慄き跳ね上がり始める。
 こうなってくると射精は目前だ。
 最後に何か大きな刺激があれば、それだけでイける。ただ、その刺激が何なのか分からずにじりじりとしていると、それが勇作に伝わったらしい。
 今度は指が三本に増えて、ナカを引っ掻き回すようにして動き始め、少々乱暴なそれだがこれが感じる。特に、三本の指でざらっとしこった塊を撫でられると痛いくらいの快感が手に入る。
 それがクセになる痛さとでもいうのか、何度も何度も三本の指を使って撫でたくられたことで、痛みと快感の両方を手に入れることができた尾形はとうとう、イキの波に攫われてしまった。
 目の前が真っ白に染まり、チカチカッと真っ白な視界の中で何かがスパークしたと思ったその瞬間、怒涛の快感が下半身を支配し、あられもなく達してしまう。
「うあああああ!! あああっ、あああううううううイック、イック、イック、イックうううううっ!! ああああっああああああああイクイクイクイクイクイクイクイクイクッ!! あああああああイックううううっあああっああっああっああああああああああー!!」
 最後にざりざりっと前立腺を撫でられ、それと同時にザーメンがものすごい勢いで胎や胸に飛び散り、縦横無尽に動き回って跳ねるそれからは白濁液が撒き散らされるが今の尾形にはそれを止める余裕はなく、ただただイキの快感に身を任せるしかない。
「やああっ!! イってる、イってる!! イってるイってる、イってるよおおおっ!! やあああっ、ああああああああああイイイイイイイイイイイイイイイー!! イイイイイイイッ!! あああああああああああー!!」
 身体が勝手に反り返り、のども反らせて身体をヒクつかせ、思いっ切りイキの快楽に浸り切る。
 最高の快感だ。
 こんな風にイったことがない尾形にとって、これは初体験になるが前立腺でイクことがこんなに気持ちイイとは思わなかった。
 イイと聞いてはいたが、ここまでとは正直思っていなかったというのが正解か。
 身体のヒクつきが治まらない。未だナカで指が蠢いている。連続イキでもさせる気だろうか。そう思っている間にも、指は不穏な動きを見せ、また容赦なく撫で擦りを始めてしまい、イキやすくなっている身体にこの刺激は強く、すぐにでもイキの快感が下半身を包み込み始め、身体がイキの体勢に入ったのが分かった。
 また指三本で前立腺を撫で擦られ、痛みの中に潜む快感の強さに、今度こそメスイキしてしまう予感がしていたがそれを抑えることができるはずもなく、緩やかに勃起してきたペニスを感じながら撫でられているとすぐにでも強烈なイキを身体が感じ、容赦のない指の動きに合わせてナカが蠢き始め、それと共に快感も勢いをつけて尾形に襲い掛かってくる。
 イってしまうと思うか思わないかのうちに、尾形はイっていた。
「ああああああああー!! うあああっ、あああああああうううううううう、イック、イック、イック、イックうううううううっああああああああああああー!! ああああああああああっ、あっあっあっあっああああああああああー!!」
 ザーメンは出ていないので、完全なるメスイキだ。下半身から快感が出て行かず、居座ったまま尾形に蕩けるような快楽を送りつけている所為で痺れるような快楽が身体全体に行き渡り、今度こそ至高のイキに達してしまい、のどを反らせそして背を反らせたままひくひくと身体を戦慄かせ、絶頂の快感に酔い浸る。
 頭の中が真っ白になって、何も考えられない。
「あー……! あー……! あああああああー……!! あああああうううううっ……!!」
 意味不明の言葉が快感に押し出されて喉から漏れ出たことで、漸く指の動きが止まり、ゆっくりとアナルから時間をかけて引き抜かれ始める。
 ここでもやはり感じてしまい、ぶるぶるぶるぶるっと勝手に身体が震える。
「ああああああっ、あああああああああ!! ……っああ!!」
 ぬぼっと音を立てて最後まで指が抜け出たと同時に、一気に身体から力が抜け、どさっとその身をベッドに投げ出す。
「はあっはあっはあっはあっ、い、イった……!! 何回も、イった……!! き、気持ちいっ……!! 気持ちイイッ……!! こんな、こんなのって……!!」
 荒く甘い息をぜいぜいと吐いていると、ぐいっと身体を伸び上がらせてきた勇作に両手で頬を包み込まれてしまい、薄っすらと眼を開けた途端だった。唇が食べられるんじゃないかくらいの勢いで口づけられ、反射で開いた咥内へと舌が入り込んでくる。
 そのまま貪るように口のナカをべろべろに舐められ、尾形も半分意識を飛ばしながらその口づけに応え、勇作の舌を舐めると勇作も同じように舐めてきて、とうとう舐め合いになり、唾液の糸を引きながらしきりに唇を合わせつつ、舌を舐めしゃぶる。
「はあっはあっ、んっはあっ……は、はっ……んむ、んむ、んむうぅっ……んは、んはああっ……!!」
 若干息が苦しいが、勇作は関係なくキスを仕掛けてきて何度も唇を吸われ、舌を絡ませると今度は絡ませ合いになり、巧みに舌を動かして勇作の舌を絡め取ると逆に絡め取り返され、溢れ出る唾液を二人で分け合って飲み下したその時、ふっと唇が離れ、至近距離に勇作の美麗な顔がある。
「ふふっ……兄様、たくさんイキましたね。すごく色っぽくて、きれいだった。やっぱり、兄様は違う。他の人なんて、抱きたくない。兄様だけがいい。兄様のもっとエッチな顔、見たい……挿れたい。挿れて揺さぶって、気持ちよくなってしまいたい……」
 熱っぽくそう囁かれ、つい顔に熱を上らせてしまう。
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