Love song -side B-
母親の顔が困惑するのを見ても、少年はもう迷わなかった。
手にしたダンボールにかぶせたパーカーを取って、中がよく見えるようにかざす。
「俺の友達なんだ…、あの、家にいれてもいい?」
少しの静寂がその場を支配し、すぐに消える。
「何を言ってるの」
母親の言葉に少年の身体が固くなる。
「お友達なら、ずっと家にいてもらいなさい」
その言葉でようやく少年は花がひらいたように微笑んだ。
両親に連れられるようにして少年の姿が大きな家の中へと消えていく。
「そうだ、その子達に名前はあるのかい?」
「うん!ミミとニャミっていうんだ!!」
それを聞いた母親はあたたかな声色を響かせた。
「お帰りなさい、あなた、黒。ミミ、ニャミ」
いつの間にか晴れた空から遥か昔に聞いた歌を感じて、少年の目は空を辿った。
視線の先に飛んだのはあの公園で見た蝶だったのか。
少年にそれを知る術はなくとも、その小さな羽ばたきが世界を塗り変えていく様を彼は肌で感じていた。
手にしたダンボールにかぶせたパーカーを取って、中がよく見えるようにかざす。
「俺の友達なんだ…、あの、家にいれてもいい?」
少しの静寂がその場を支配し、すぐに消える。
「何を言ってるの」
母親の言葉に少年の身体が固くなる。
「お友達なら、ずっと家にいてもらいなさい」
その言葉でようやく少年は花がひらいたように微笑んだ。
両親に連れられるようにして少年の姿が大きな家の中へと消えていく。
「そうだ、その子達に名前はあるのかい?」
「うん!ミミとニャミっていうんだ!!」
それを聞いた母親はあたたかな声色を響かせた。
「お帰りなさい、あなた、黒。ミミ、ニャミ」
いつの間にか晴れた空から遥か昔に聞いた歌を感じて、少年の目は空を辿った。
視線の先に飛んだのはあの公園で見た蝶だったのか。
少年にそれを知る術はなくとも、その小さな羽ばたきが世界を塗り変えていく様を彼は肌で感じていた。