Love song -side B-
冷たい雨が肌を突き刺す。
この場所に来てずいぶんたつが、もうどのくらいの時間がすぎたのか見当もつかなかった。
少しさびついたブランコに座ったまま、垂れ下がる鎖を握りしめる感覚もほとんどなくなっている。
膝の上に置いた段ボールにかけたパーカーを少しずらし、中をのぞいてため息をついた。
「………どうしよう」
少年はぼんやりと近くの植え込みを眺め、その目線は葉の裏につかまる蝶をとらえた。
「………」
ずっと昔に見たような景色、そして抱えた状況にデジャヴを感じて目を細める。
と同時にその視界に見慣れた姿が飛び込んで、慌てて立ち上がった。
なぜそうしたのかは分からないが、そうしなければならない気がした。
「父さん…」
少年は少し迷って、傘を差し伸べてくれたその男の元へダンボールを抱えたまま駆け寄る。
「家に帰ろうか。母さんが心配してるぞ」
「…うん」
自分がずぶ濡れでも、ダンボールを見ても何も聞かない父親に心の中で感謝しながら、彼のさした傘の下で小さくなる。
家がどんどん近くなって、次第に少年の歩幅は小さくなり、やがて家の手前で完全に止まった。
この場所に来てずいぶんたつが、もうどのくらいの時間がすぎたのか見当もつかなかった。
少しさびついたブランコに座ったまま、垂れ下がる鎖を握りしめる感覚もほとんどなくなっている。
膝の上に置いた段ボールにかけたパーカーを少しずらし、中をのぞいてため息をついた。
「………どうしよう」
少年はぼんやりと近くの植え込みを眺め、その目線は葉の裏につかまる蝶をとらえた。
「………」
ずっと昔に見たような景色、そして抱えた状況にデジャヴを感じて目を細める。
と同時にその視界に見慣れた姿が飛び込んで、慌てて立ち上がった。
なぜそうしたのかは分からないが、そうしなければならない気がした。
「父さん…」
少年は少し迷って、傘を差し伸べてくれたその男の元へダンボールを抱えたまま駆け寄る。
「家に帰ろうか。母さんが心配してるぞ」
「…うん」
自分がずぶ濡れでも、ダンボールを見ても何も聞かない父親に心の中で感謝しながら、彼のさした傘の下で小さくなる。
家がどんどん近くなって、次第に少年の歩幅は小さくなり、やがて家の手前で完全に止まった。
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