コミックシナリオ原案


 昌也の部屋にて、二人の初のリアルでのコラボが始まる。

 いつも画面の向こうで見ていたソファに、良と昌也が座っている。

 二人ともヘッドセットを装着し、カメラに収まるためにくっついて――動画に映っているのは首から上だけなので、昌也が良を後ろから抱き締めている姿勢になっているのは、視聴者からは気付かれない。

 コラボ開始の声を上げながら、良の反応を、身体を楽しむ昌也に、良は画面に写し出される自分の顔が見れない程に赤面してしまう。

 愛しい気持ちが我慢出来ずに、視聴者にバレない程度のイタズラを繰り返す昌也。

 イヤらしく耳を舐め上げ、太ももに手を這わす。

「お気に入りのヘッドセット、わざわざ持って来たん?」

 ヘッドセットの内から外から、愛しい声が響く。

 大好きな昌也の声に耳を犯されながら、努めて普段通りの返事を返す。

「ほんまのこと言って?オレの声だけ聞いてたいんやろ?」

 何も知らない画面の向こうの反応にクスクス笑いながら、カメラの死角に手を伸ばす昌也。

――それ、ダメ……

『サクちゃん顔エロくない?』

――バレちゃう……

 視聴者の目線を感じながら、欲望に満ちた動画配信が始まる。







 二人の出会いはオンライン上だった。

 ゲームのマルチプレイでマッチングし、音声チャットでコミュニケーションを取る。

 その時良は、昌也の声に恋に落ちた。

 二人きりで進むダンジョン。昌也の声に、彼の姿を夢想してしまう。

 お互いのプレイングスキルを褒め合いつつ、ほんの少しのプライドと、彼に知ってほしいという気持ちで、自分が動画配信をしていると告げる良。

 すると、昌也も配信をしているという。

 そして交わされるコラボの約束。

 動画配信者同士。まるで一目惚れのようだった。







 それから二人は、睡眠時間以外はずっと電子上で繋がっていた。

 ゲームのダンジョンを二人で……二人きりで攻略し、それをお互いが動画として挙げる。

 ゲームをしていない時も、音声チャットによって繋がる二人。

 良の生活の全てに、昌也の声が溶け込んだ。

 昌也に全てを聞かれていて、そしてその声に密かに欲情していた。

 その秘められた欲望を自覚し、それが更に快感となっていた。


3/8ページ
スキ