コミックシナリオ原案
■物語全体のあらすじ
高校卒業後、就職もせずに時間を持て余していた佐久屋 良(サクヤ リョウ)は、暇潰しを兼ねてゲーム実況の配信を始める。
ちょうどハマっていたマルチプレイがウリのオンラインRPGで配信をしようと考えたが、ぼっちの良には一緒にゲームをするような友人はいない。なのでゲーム上でマルチプレイの募集をたてることにした。魔法の発動等コミュニケーションが重要なゲームなので、効率を重視して音声チャットが出来る人間のみを募る。すると同じくゲームの配信を行っている、八谷 昌也(ヤタニ マサヤ)とマッチングした。
昌也の声を聞いた良は、その声に一気に恋に落ちる。二人きりでダンジョンを攻略する、夢のような甘い時間。まるで一目惚れのような感覚で、良は昌也の声ばかりを求めるようになる。
運命的な出会いを果たした二人の恋。
ゲーム中だけでなく、睡眠以外の時間全てが、二人の繋がり合う時間。彼の声が、生活の全てに溶け込む。
音声チャット――電子の上で絶え間なく繋がり続ける彼の声は、まるで麻薬のようで……
しばらくそんな日々が続き、お互いの動画の再生数を稼ぐために、ライブ配信中に顔出しを行うことを決める二人。さっそく行ったその配信は、思っていた以上に大盛況。
でも、そんなことより……
電子の上でカメラに映る、お互いの姿に欲望を抑えられなくなった二人。
ライブ配信の成功をひとしきり喜んだ後……
『声だけじゃもう……我慢できんやろ?』
「うん……会いたい」
初めてのリアルでのコラボの約束を交わす二人。
愛しい彼の元へ向かう新幹線の中。
――会ったら、どうなるんだろう?
電子の上だけだった欲望が、手に触れられる距離となる。
駅前にて車で迎えにきてくれた昌也の姿に、良は胸のトキメキが押さえられない。
電子の上と変わらない優しさの昌也は、本当にかっこよくて……
「さぁどうぞ、オレの愛車へ」
初めて彼の声に、生で貫かれる快感。愛しい、甘い声は俺だけに向いている。
ドキドキのドライブデートの後は、彼の部屋へ。電子の上で、何度も見詰めた彼のソファで――コラボ配信が始まる。
「じゃ、これからコラボライブ始めまーす」
こちらを向いて笑うふりをしながら、ヘッドセット越しにキスを落とされ、画面外の彼の手が、良の太ももをなぞる。
配信中のカメラの下で、二人の愛は加速していく。