コミックシナリオ原案
昌也の家に向かう車の中。
運転する昌也の姿に見とれる良。車好きな昌也は、愛車の名称をキャラの名前に使っていた。
初めて乗せてもらうスポーツカーは、昌也にとても似合っていてかっこいい。まるでデートみたい。
名前の由来の話から、昌也が本名を教えてくれた。だが、良が本名を伝えようとしたら制止する昌也。
配信中に本名を間違えて呼びたくないからと、昌也は独占欲を隠さずに告げる。
信号待ちに差し掛かり、停車した車内で昌也は、良の身体を抱き締める
配信後に独占させてと言われ、あたふたする良に、昌也はからかいながらも獣の気配を隠さない。
信号が青になり運転の姿勢に戻る昌也が、ふいに良に問い掛ける。
音に拘りがあるんだろうと核心を突く昌也の問いに、良も素直に同意する。
毎日良は、昌也の声だけを聞きたくて、良の耳は昌也のためだけの器官だった。
同じく昌也も、自分の好きな音は自慢の音響設備で聞くことに拘っており、愛車はもちろん、部屋の中のオーディオもそのためにセッティングしていた。そしてそこで良の声をずっと聞いて、部屋の中を良で満たしていたと言う。
視線は運転のため前を向いたまま、表情を崩すことなく昌也は続ける。
「機械越しじゃない生のサクを、今夜はいっぱい聞かせてや」
部屋に着いて扉を開ける。ついつい立ち止まってしまう良を、昌也は後ろから抱き締める。
配信後まで我慢すると言う昌也に、良は何を我慢するのか思いきって聞いてみる。
「中身全部言ってもええの?オレが考えてること全部、全部サクにぶちまけても、ほんまにええの?」
昌也は休職前、職場の先輩に恋をして、酷い失恋を経験していた。まるで人間扱いされなかった経験から、もう失敗なんかしたくないから、からかうならやめてくれと悲痛な叫びを口にする。
そんな昌也を見ていられなくて、良は彼を強く抱き締める。
「……俺だって同じ気持ちだよ。だから気持ち悪くなんてない。本当に昌也が好き」
気持ちを確かめ合った二人。安心したように笑う昌也が、先程の問いに答える。
「今夜はサクがして欲しいこと、全部してあげる。これがオレのしたいことやで」