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コミックシナリオ原案



 宅配サービスの食事を広げながら、いただきますと手を合わせる良。

 食事の時間も二人は繋がっている。昌也の咀嚼音にすら、良は密かに欲情している。彼の声だけあれば、生きていける。

 そんなことを考えていると、昌也から将来のことを聞かれた。

 動画ばかり配信していないで就職をした方が良いと諭されるが、今はまだ考えたくないと返事を濁す良。

 昌也は仕事をある事情で休職中のため、あくまで良のことを心配していた。なのでそんな良の態度に、怒鳴り声をあげる。

 いつ考えるんや?と問われ、黙る良。昌也はそんな良の空気を悟って、方向性を変える。

 今の動画配信を仕事にしようと本気で考えていくならば、もっと売れるために研究をしなければならないと。

 本当は昌也に言われなくても、良も理解はしていた。でも、この生活に満足していたから、わざわざ動こうとはしなかった。

 昌也の声に褒めてもらいたい。自分自身だけでは絶対に到達しなかった答え。自分自身のためというよりは、彼への気持ちの方が強かった。

「俺、頑張りたい……」

 良の言葉に昌也は甘い声で『ええ子やな』と囁く。







 研究の結果、手っ取り早く再生回数を稼ぐには「顔出し」が一番だという見解に達した。

 さっそく二人は家電量販店に走り、ゲーム中の自分の表情を写すカメラを購入する。

 良はその時、高性能のヘッドセットも新調した。高性能なノイズキャンセリング機能によって、より昌也の声に没頭するために。

 顔出しでのコラボ配信は大盛況に終わり、上機嫌な昌也。

 だが良は、昌也の顔を見ることが出来たことの方が嬉しかった。

 画面に映る良のことを「可愛い」としきりに褒める昌也に、良は釘付けになっていた。

『サク……』

 反応がない良を心配して囁く昌也。もう配信は終わっており、二人きりの音声チャット。

 大丈夫だと返事をしながら、見とれていたと嘘をついた。

『嘘』

 配信中に新しいヘッドセットのことを話したために、昌也は意地悪を言っている。

 声だけの繋がりだからこそ、きっと醜態は見えないから、彼の声だけを聞いていたいと白状する良。

 そんな良に昌也はリアルで会うことを提案する。


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