このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

フレアニスの天罰


 天使の炎<目>は、その男を見ていた。
 乗り手の帰りを待つ荷馬車の中で、男は信心深い村長の皮<変装>を脱ぎ去り、その下に隠した獰猛なる本性を露わにする。
「フレアニス教会の罪人共か。とんだ聖職者もいたものだな。天使の使徒が判決を下すのが先か、我々人間が嗅ぎ付けるのが先か……」
 男は精悍な顔立ちに、煮え滾るような怒りを宿していた。
「人の罪を裁くのは人間でなければならない。貴様の好きにはさせんぞフレアニス……っ」
 男の背後に生えたその“存在”に、天使の炎は動揺に震える。
 しかしそんな揺らぎなど気付きもしないその男は、また善良なる村人の長の皮を被って、洞窟からの人の気配に笑顔を向けた。



 END
8/8ページ
スキ