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回転木馬で見る夢を


 落ち着いた表情で帰って来た男三人を、ケイトはただ一言「お帰り」と言って労った。しかしその目は、少し腫れていて。精一杯強がっている彼女に掛ける言葉は、今のシズクには見つからなかった。
 ただ、「ただいま。ありがとう」とだけ伝えると、ふっとその口元が緩んだのを見て、シズクの方が感情を抑えることが出来なかったくらいだ。
 飲みかけのコウとリュウトのアイスコーヒーには、もう氷は残っていなくて。その溶けた様子がまるで、リュウトの今の心のように思えた。
「さーてと、俺はもう一杯飲み直してから行こかなー。さすがに付き合いたてのカップルの邪魔したあないしー」
 大袈裟なまでの嫌味っぽい台詞を吐いて笑うリュウトに、ケイトも「それもそうだな。私もお供しよう」と同意した。
「そういうことなら、ここからは少し……別行動にしようか。シズクも、それで良い?」
「うん。じゃあ十七時に門の前で集合で」
 カフェの壁に掛かった時計は、十四時になろうかというところだった。
 腰を落ち着かせた二人の提案(強がり)に乗って、シズクはコウと二人でカフェを出た。
 もちろん、今回は飲み物代のお金を置いて。あの恋人の聖地を出る時からずっと、コウはシズクと手を繋いでくれていた。
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