「名無しが誰とも付き合わないのは好きな奴がいるからなのか？」
私の横で教科書を片付けながら、彼の美しいブロンドが揺れた。
「……。…男が好きじゃないからよ。」
同級生の彼は目を丸くして私を見る。
「見ての通り。私って男みたいでしょ。そういう訳なの。」
びっくりした顔が可笑しくて思わず吹き出してしまった。
これじゃ冗談がモロバレだ。
じゃねと慌てて私は教室を後にした。

夏の雲が終わり、秋のうろこ雲が出始めた空を見ながら私は校舎と校舎をつなぐ芝生の上を歩いていた。
森番の小屋のほうから下級生が授業を終えて帰って来る姿が見える。
「！」
その中にセブルスの姿を発見して、私はすぐ横のベンチに腰掛けた。
今日も彼はひとり俯き加減に歩いている。

…相変わらず…根暗ね…（笑）
あ、後ろからリリーが来たぞ！
ほら、挨拶するチャンス…ああ、もう何でそこで違う方向を向くの？！
もう、行っちゃたじゃない！

セブルスはリリーの背中をじっと見つめている。

もう！どんだけリリーが好きなのよ！
好きならもっと声かけなきゃ！
男ならグイグイいかなきゃ！
あ！ほら、ポッターがリリーに絡んだぞ。
リリー嫌がってる！ポッターめげない！
あ、…ポッター撃沈した（笑）
セブルスここでポッターに冷笑！
いや、リリーに微笑んでやれよ、そこは！
…！
セブルス、私に気がつきました！
睨んでいます。
私に接近中！

わざと教科書を広げて顔を隠した私の前にセブルスが立つ。
「…僕を観察ですか？先輩。」
「バレましたか。」
私は教科書から顔を出してにっこり笑ってやった。
「ポッターに微笑むより、好きな子に笑ってあげなよ。」
「！！」
セブルスは怒った顔を真っ赤にして歩き出した。
怒んなよぉ！とセブルスにの肩に飛びついた。

リリーのことになると、そんな可愛い顔するんだね。
人の気も知らないで。


「セブルスの笑顔かわいいよ？ほら、笑ってみ？」
「嫌です。笑いません。」
「これでどうだー！！（脇腹ツンツン）」
「わはははっ！！！それは反則です！！！先輩やめてください！！！！」