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寮対抗クィディッチ杯で学園内は大騒ぎだというのに、僕は一人ベッドの上にいた。
3日ほど前から急に喉が痛み出したと思ったら、昨日から熱が出てしまった。
夜中は少ししんどかったけれど、今朝起きてみると高熱は引いて微熱になっている。
同室の二人はクィディッチ杯観戦に出かけ、部屋には僕一人だ。
今日は部屋の外からも物音がしない。
みんな競技場に出かけてしまったのだろう。
名無し先輩も今頃大声を上げながら観戦しているのだろうか?
スリザリンの試合の時、あの人は興奮しすぎて観戦席から地面へと落ちそうになったことがある。
身を乗り出す先輩を先輩の友人たちが慌てて背後から押さえていたっけ…
「…ふふ」
その時の名無し先輩を思い出して僕はひとり小さく笑った。
「何笑ってるの?!」
「へっ?!」
びっくりして顔を上げたら、締め切ったベッドのカーテンから名無し先輩が顔だけ出して僕を見ている。
前髪も体も全部カーテンの後ろ側にして、顔面だけぬっと突き出しているから僕は喉が詰まって咳き込んだ。
「ゲホゲホっ!!!せっ!!!先輩っ!!!」
「セブルス、大丈夫?!」
咳き込む僕を見て先輩がカーテンの中に入って来た。
遠慮なくベッドに座ると僕の背中をさする。
「咳がひどいね。」
先輩が言う。
僕はサイドテーブルのコップを手に取って水を一口飲んだ。
「はぁ…。違いますよ。先輩の顔にびっくりしてむせたんです…」
「あ、そうなの?わははははっ」
笑いながら先輩が僕の背中をバンバン叩いた。
「ちょっと、痛いじゃないですかっ!何しにきたんですか?!」
「かんびょう」
白々しくそう言いながら首を傾けて僕を見る。
「…休息の邪魔しにきたんでしょ。」
へへへと可愛らしく笑って座ったまま足をバタバタさせた。
「試合の応援はよかったんですか?」
「病気の彼氏のほうが大事。」
先輩はポケットからチョコレートを出してガブッとかぶりつく。
ベッドを汚さないでくださいねなんて憎まれ口を叩きながら、僕は先輩が試合観戦をやめて僕の所に来てくれたことを嬉しく思う。
「…もう熱ないの?」
片手でチョコレートを食べながら、先輩が僕の頬を触る。
ふわっと先輩の香りがして胸が苦しくなる。
「どうでしょう?」
机にチョコレートを置いて靴を脱いだ先輩が上がるから、ベッドがギシっと音を立てた。
名無し先輩の顔が近づいて僕のおでこに先輩のおでこがこつんと当たった。
甘いチョコレートの香りがする。
「…少しだけあるみたい。」
先輩がそう言いながら優しく僕にキスをする。
名無し先輩の柔らかくて小さい唇。
僕は堪らなくなって先輩を胸に引き寄せた。
「名無し先輩っ…」
「私にうつして早く元気になって」
微笑みながら先輩が僕の唇を甘噛みした。
優しく髪を撫ぜてくれる。
もっと名無し先輩に近づきたくて僕はそのままベッドに倒れ込んだ。
横を向くといつも教科書や本があるその場所に今日は大好きな名無し先輩がいる。
「セブルス」
先輩が嬉しそうに僕の名前を呼ぶ。
「はぁ…。」
「しんどい?」
「違います。先輩…無防備すぎます…」
「ふふふ」
悪戯っぽい笑顔で先輩が笑う。
僕は溜まらず先輩の頬を指先でなぞった。
「セブルスの考えてること全部わかるよ。」
僕の喉がごくりと音を立てる。
大きくてキラキラ光る瞳で僕を見つめる。
「ずっと前から今日は君とふたりっきりでいようって決めてたのに。
まさか病気になっちゃうなんてね。
せっかくのチャンスが台無し!」
残念だなぁ~と先輩が意味深に僕を見て笑う。
「ふたりっきりって…」
「…意味わかるよね?」
体がカッと熱くなってまた熱が出てきたみたいだ。
名無し先輩が僕の胸に顔を押し付けて背中に手を回した。
「…元気になったらセブルスのしたいことしようね。」
「…今すぐしたいです」
「だーめ。早く元気になりなさい。」
「名無しせんぱーい」
「甘えてもだめです!!!」
僕は先輩を抱きしめると体中に溜まった熱を吐き出すように大きく息を吐いた。
******************
よし!完全に元気になった!
すこぶる体調が良い!!!
新しい下着を下ろそうか…
「名無し先輩!!!」
「あっ…セブルス…げほっ…」
「先輩、何ですかそのマスク!!!」
「風邪ひいたみたい…」
「僕にうつしますか?!うつしましょう!!!今すぐベッドに…」
「こらっ!!!調子に乗らないでください!!!」
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