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「セブルスぅ~キスさせてあげるからもうやめよぉ~」
名無し先輩が僕の髪の毛をいじくりまわす。
「もう少しです。待ってください。」
「じゃ、キスはしなーい!」
僕は先輩に素早くキスをして教科書に戻る。
「こらっ!!!ずるいぞ!!!」
真っ赤になって横で騒ぐ先輩を無視して薬学の教科書に書き込みしていたら先輩の教科書と自分の教科書に違和感を感じた。
「…先輩、ここ僕の教科書と違いますね…」
「どこ?!」
先輩が僕にくっついて一緒に教科書を覗き込む。
右半身に先輩の体温が伝わって、こんな些細なことで僕の気持ちは嬉しくなる。
「ほら、ここ。僕のは数が3だけど先輩のは5って書いてある。」
「改定されたんじゃない?セブルスの学年で。」
なんだそんなことか…と先輩はつまらなそうな顔をして唇を尖らせるから、また素早くキスをしてやった。
「!!!いい加減にっ!!!」
「先輩、この教科書ちょっと貸してください。かまいませんよね?」
思いっきり甘えた表情をしてやったら先輩の表情が緩んだ。
「…まぁ…いいけどぉ~?」
「どうも。」
先輩の頭を優しく撫ぜようとしたら、生意気なんだよ!!!と絞め技を食らって僕はオエっと舌を出した。
「あ…ここも違うじゃないか。ふーん…」
夜、机に座って教科書を見比べると先輩の言う通り何か所か新しく改定された箇所が見つかった。
僕はそれらを自分の教科書に書き込みしながらパラパラとページをめくる。
名無し先輩の教科書だと思うとなんだか嬉しい。
先輩の引いたアンダーラインでさへ愛おしく思えてくる。
その時偶然開いたページで僕は手を止めた。
【セブルス可愛い】
僕の似顔絵とその周りにハートが沢山描いてある。
【リリーを見つめるセブルスを見ちゃった!今日の運勢は最悪×××】
先輩の日記を見てしまったようで、僕の胸はドキドキする。
【イケメン→私→根暗♡】
イケメンはブラックのことか?!
根暗は僕か…
「…フフ。」
思わず笑ってしまった。
名無し先輩らしい教科書だ。
パラパラとページをめくったら、教科書の隅にイラストがある。
二頭身の僕が教科書を読んでいるイラストだ。
絵が好きな先輩だけあってうまい。
「あ…これ。動く漫画になってる…」
パラパラ漫画になったそれを僕は指先で繰った。
【僕が教科書を読みながら歩いていると、後ろから名無し先輩が走ってきた。
先輩が僕に抱き着く。
びっくりしながらも笑顔で先輩を抱きしめる僕。
ふたりの頭上に天使が出てきて籠からたくさんの花びらを投げた。】
名無し先輩…ほんとに僕のことが大好きなんだな…。
そう思うと鼻の奥がツンとして泣きたくなるほど嬉しい。
(今すぐ先輩に会いたいな…)
そっと教科書を閉じると僕はその背表紙を撫ぜ名無し先輩のことを想った。
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「ヤバッ!!!」
ベッドにうつ伏せになってお菓子を食べていた私は勢いよく起き上がった。
…セブルスの可愛い顔に負けてつい貸してしまった教科書…よく考えたらあれ落書きだらけじゃん!!!
今頃全部読まれてしまっただろう…
くやしい(恥ずかしくて死にたい)!!!また弱みを握られてしまった!!!
頬が熱くなって私は枕に顔を埋めた。
******************
「教科書ありがとうございました。」
「あ…ああ。どういたしまして。」
セブルスはいつもと変わらない。
もしかして私から借りたものの、読んでないのかも!
きっとそうよ!
「ねぇねぇ、セブルス、今度の週末だけど…」
「名無し先輩可愛いですね。」
ギュッ
「ギャッ!セブルス!ここ廊下よ?!何考えてんの!!」
「大好きです」
「生意気ぃ!!!!(絶対仕返ししてやるぅ!!!!)」