学生
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「セブルス、そこに栞ある?」
顔を上げると先輩の上半身が僕の膝の上に覆いかぶさるような態勢をしている。
ソファーの横に置かれた小さな丸テーブルに栞が置かれているのか確認しようと先輩が僕をまたいでいるのだ。
先輩の横顔が僕の顔面に迫る。
そんなことちっとも気にせず先輩は栞に手を伸ばす。
「先輩!栞なら僕が取ります!」
「あったぁ!」
テーブルの栞を摘まんで先輩が僕の顔を見た。
「…」
「…」
お互いに見つめ合って黙り込む。
名無し先輩は気まずそうな顔をして栞で唇を隠しながら僕の横にきちっと座りなおした。
いつもの先輩ならここで僕をからかうくせに、今日は何も言ってくれない。
僕は丸テーブルに本を置いてそっと右手を先輩のほうに伸ばした。
名無し先輩の左手に微かに触れた指先が温かい。
「名無し先輩」
「…ん?」
僕が横を向くと先輩はまだ栞で唇を隠している。
右手を先輩の左手に絡ませる。
ゆっくりと名無し先輩のほうに体を寄せると耳まで真っ赤になった先輩がそっぽを向いた。
「…こっち向いて。」
先輩はイヤイヤと小さく頭を振る。
左手で先輩の手から栞を抜き取ると、ハッとした顔で先輩が僕を見つめる。
「…恥ずかしい…」
「…誰もいませんよ?」
元気な先輩からは想像もできない小さく震える先輩を見て僕の心臓は爆発寸前だ。
可愛すぎないか?この反応!
堪らなくなって僕は先輩の唇にそっと自分の唇を当ててすぐに離した。
目を瞑る暇もなかったのか、先輩は潤んだ大きな瞳で僕を見つめている。
「びっくりしましたか?」
先輩は照れ隠しをするように肩をすくめて小さく笑う。
「もう一回。今度は名無し先輩から。」
「ベタベタするのに慣れてないんだ…」
一瞬戸惑った名無し先輩の困った表情が熱っぽくて僕はますます興奮してしまう。
「恋人になる前はいつも僕にくっついてきたくせにキスはしてくれないんですか?」
あんまり先輩が可愛いから僕は皮肉たっぷりに先輩をいじめてやろうと憎まれ口を叩いた。
その時甘いリンゴの香りがして、僕の瞳に先輩の長い睫毛が映った。
僕の下唇を先輩の柔らかな唇が甘く優しく包んで少し微笑んでいる。
繋いだ二人の手に熱が籠る。
「二人だけの秘密にしてね…」
少し唇を離した先輩が囁いた。
「セブルスとベタベタするのは好きだよ。慣れてないだけで。」
僕は無言のまま頷いて先輩の肩に腕を回すとその唇を優しく塞いだ。
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「先輩の弱点がわかりました。」
「な…何よ?!」
「恋愛に関しては奥手なんですね…」
「!!!!」
「僕はガンガン攻めるほうなので覚悟してくださいね。」
「知らない知らない!!聞こえなーい!!!!」
(ほんと可愛い人だな…)