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「…うっ…うぐ…ふぇ…」
僕はギョッとして我に返る。横を見ると
名無し先輩が真っすぐ前を見たまま、大きな瞳から大粒の涙をぼろぼろこぼしていた。
「せんぱ…」
「うっ…うう…。さみしいよぉ…。」
「えっ?!」
「セブルスと離れるの嫌だぁ…」
目をごしごし擦りながら先輩がしゃくりあげた。
僕もなんだかすごく悲しくなって泣きたくなってくる。
「…毎日セブルスをからかわないと死んじゃう…」
「…そんなことで死んだりしません…。」
僕ら二人は目を真っ赤にして笑いあった。
涙で潤んだ名無し先輩の瞳が美しい。
僕はなんて鈍感だったんだろう。
名無し先輩はずっと前から僕を好きでいてくれたのに。
今になって先輩の気持ちに気が付くなんて。
「…僕は先輩がいないとさみしくて死ぬかもしれません。」
名無し先輩の大きな瞳にまた涙が浮かび上がる。
「死ぬまで僕をからかってくれるんですよね?
だったらこれからも一緒にいなきゃですね。」
先輩の頬に伝う涙をそっと指で拭って、その震える体を胸に抱き寄せた。
「…あ、鼻水ついちゃった…」
「先輩、ムードって言葉ご存知ですか?」
えへへと照れ笑いした先輩が僕をギュッと抱きしめる。
「セブルス、大好き。」
「僕のほうが好きですけどね…」
「はっ?!私のほうが好きよ!」
「…そうでしょうか?」
僕から体を離した先輩が腕を組んで僕を睨む。
「だったらどっちが好きか勝負する?」
「かまいませんよ?」
フンっと僕も先輩を見て笑ってやる。
なんて可愛らしい人なんだ。
キスしてやろうかと思ったら、先輩が勢いよくベンチから立ち上がった。
「よし、手始めに今から私とセブルスは付き合ってまーすって言いながら校舎内を走るわ!私!」
「えっ?!」
名無し先輩は僕をちらっと振り返るといつもの悪い笑顔を向けて走り出した。
「みなさぁぁぁぁぁああああああん!!!!!私たちやっと付き合うことになりましたぁぁぁあああああぁぁぁ!!!!」
先輩の元気な声が響き渡る。
「先輩!!!それは勘弁してください!!!僕の負けでいいです!!!!!!!!」
柄にもなく僕は全速力で走りながら先輩の後姿を追いかける。
全くなんて人を好きになってしまったんだろう…
まだまだこれからも先輩のからかいは終わりそうもない。
******************
スリザリン談話室。
先輩が僕の肩をツンツンつつく。
「もう付き合ってるからいろんな事していいのよね?」
「いっ…いろんな事って何ですかっ…?!」
「…あー…変なこと考えてる人がここにいまーす!!!」
みんなの視線を感じて僕は赤面する。
「考えてませんっ!!!」
「…私って魅力ない…?」
上目使いで体を密着させる先輩。
ゴクリ…僕の喉が鳴る。
「ほら!!!やっぱり変なこと考えてる!!!!」
ニヤニヤ笑う先輩。
「名無し先輩!もう知りませんっ!!!」
僕がそっぽを向いたら頬にふわっと唇の感触がした。
「!!」
「おやすみ、また明日ね。私のセブルス。」
名無し先輩はヒラヒラと手を振って女子寮に消えて行った。
【作者より】
いつも読んでくださってありがとうございます。
やっとくっついたふたり。
この話はこれからも続きます。
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