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セブルスside
大好きなリリーと同じ寮になれなかった僕の気分は沈んでいた。
どんよりとした気分で僕はスリザリンの席へと向かう。
上級生達をちらっと見ると、みんな大きくて僕は急に怖くなる。
…どうしよう。
知り合いは一人もいない。
どんな顔して席に座ればいいんだろうか…?
「ほら、ここ。」
そう言って、椅子を指さし笑う名無し先輩を初めて見たとき、僕は何故かそれまでの不安が吹き飛んでいくような気がした。
僕と同じ黒髪で黒い瞳の先輩。
その大きな瞳が大広間の光を取り込んでキラキラと宝石のように輝いていた。
「…ねぇ、名前はなんていうの?」
先輩が僕の顔を覗き込んで優しい笑顔を向ける。
ここに座るまで、先輩全部が怖い魔法使いに見えてたのに不思議だ。
「セブルス、チキン好き?チーズも好き?サラダもおいしいし、パンはこれがオススメなんだ。」
そう言いながら先輩が僕のお皿につぎつぎと料理を入れていく。
その姿は楽しそうで、一所懸命説明している姿がなんだか上級生らしくない。
子供みたいな人だな…。
僕は心の中でこっそりそう思う。
その視線を勘違いされたのか、目の前の美しい先輩が僕に話しかける。
「怖がらなくていいわよ。でも名無しはスリザリンいち悪戯好きだから気をつけて。」
名無し先輩はそう言った先輩の顔を見ると、おどけた仕草をして楽しそうに笑った。
いったいどんな悪戯をするんだろう?
この美しい先輩にもまさか悪戯を…?
そんなことを思いながら、山盛りになったお皿のパンを口に入れた。
名無し先輩オススメのパンは本当においしい。
ふかふかして温かくて、ほんのり甘い。
おいしいです!と隣の先輩に言えたら…でも僕にはそんな勇気も社交性もない。
ちらっと先輩を見ると、嬉しそうな顔で僕を見ている。
なんだか恥ずかしくなって、僕は視線をそらした。
パンを半分くらい食べたところだっただろうか。
目の前に黄色くていい香りのフルーツが差し出された。
「これも食べてみて、ほら。」
先輩の笑顔が可愛くて、僕はドキドキしてしまう。
もたもたしてたらスプーンが僕の口に無理やり入ってきて、口の中にころんとフルーツが入ってきた。
初めて見るフルーツ。
どんな味がするんだろう?
くにゅっと噛むと口の中で大きな爆発音がして耳がキーンっと嫌な音を立てる。
目の前にパチパチを七色の星が飛ぶ。
そのあと、物凄く酸っぱい味が口内に広がって口中がじゅわじゅわした。
「あはははは!!!ごめんごめん!!!
popberryっていうの!びっくりした?!緊張してるから楽しませようと思って!」
『スリザリンいち悪戯好き』
こう言うことか!!!
出会って数十分の、しかも新入生に向かってこの先輩はなんてことをするんだ?!
僕の心臓はドキドキ高鳴って、思わず涙目になる。
涙目になった僕を見て、目の前の長髪でハンサムな先輩に注意された名無し先輩は肩をすくめてペロリと舌を出した。
全く懲りてない態度だぞ?!
「…怒られちゃった!セブルスごめんね?」
にひひひと悪戯な笑みを浮かべて僕をじーっと見ると、急にぐりぐりと僕の頭を撫ぜ回した。
「…髪をぐしゃぐしゃにされながら僕は思いました。この人はスリザリンいちの危険人物だと。」
「スリザリンいちの美人だって?照れるじゃない!」
「……。今すぐ医務室で頭の検査を受けてください。」
先輩は僕の読みかけの本を横からバタンっと閉じる。
「何するんですか?!」
「セブルス、一生困らせてあげるからね!」
「……一生。」
名無し先輩は机に座って嬉しそうにニコニコしている。
「一生ということはつまり、僕と死ぬまで一緒にいるということですか?」
「そうそう!リリーが結婚してくれなかったら、私が奥さんになって毎日困らせるつもり!」
「?!」
名無し先輩は笑いながら僕の鼻をむぎゅっと摘まんだ。
「なーんてね!じゃ、授業行ってきまぁす!!!」
ヒラヒラと手を振ると硬直する僕を置いて先輩は行ってしまった。
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「セブルス…さっきの話だけどさぁ…」
「えっ?!」
「君とリリーが結婚してもご近所に住んで困らせに行っていい?」
「はぁ?!」
「それから一緒の職場で困らせるでしょぉ?!そんで私が先に死んだらゴーストになって困らせに行ってあげるからね。
最後二人が死んだら肖像画を横に飾ってもらって毎日困らせに遊びに行くね!」
「…はぁ…好きにしてください…。」