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ジッとレコードに針を落とす音がする。
それに続いてゆったりとしたメロディが流れた。
「はい、ここでターン。
男子は女子をスマートにリードするのですよ。」
女子の席からクスクス恥ずかしそうに、でもどこか嬉しそうなざわめきがする。
僕は一番端の席に座ってただひたすら下を向いている。
大きめの空き教室に集められたスリザリンの高学年。
何事かと思ったらダンスの練習だという。
『今年はホグワーツでダンスパーティーを行うと校長先生がお決めになりました。
みなさんしっかり練習して、ダンス当日までに相手を決めておくんですよ。』
頭を鈍器で殴られたように僕は眩暈がした。
ちらりと視線だけ前を向くと、名無し先輩が窓辺にひとりもたれ掛かって突っ立っている。
女子はみんな先生のお手本のダンスに夢中なのに、先輩ときたら上の空で窓の外を眺めていた。
時々、名無し先輩の肩を先輩の友人たちが叩いて話しかける。
チラチラと男子を見ながら、誰と踊る?誰に誘われたい?などと相談しているのだろう。
名無し先輩は肩をすくめ、首を振って呆れた仕草をした。
それから向かいの男子席に座る僕を見た。
名無し先輩と目が合う。
先輩は僕の視線に気が付いて、両手を首に当て眼玉を上にベーっと舌出した。
まるで絞首刑になった人のような顔だ。
急な変顔にギョッとした後、吹き出しそうになる。
いきなりなんだ、あの人は…。
僕もジト目で睨み返してやる。
先輩はそっとダンスのお手本を指さすと、親指をブーイングの形にしてオエーっという表情をした。
あ…!名無し先輩もダンスが嫌なのか?!
そう思ったら、僕は突然元気が出てくる。
パンパンっと勢いよく手を叩く音がして我に返った。
「さぁ、立って。
男女ペアになって練習してみましょう!!!」
ざわざわと辺りが騒めいて、僕は大きなため息をつく。
「セブルス。練習しよ。」
顔を上げると名無し先輩がニヤニヤ笑いながら僕に手を突き出していた。
周りからオオ~!!っと冷やかしの声がする。
「男子諸君、焼くな焼くな!」
にひひと少年っぽい笑みで先輩がみんなをあしらった。
真っ赤になって冷や汗をかいた僕を先輩が強引に引っ張り立たせる。
「向こうで練習しよ。」
「先輩…ちょっと…!!」
「…サボろう…」
「えっ?!」
名無し先輩が僕を振り返って悪戯な笑みを浮かべた。