学生
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次の日僕は図書室で本を探していた。
呪文学の先生が話していた本はたしか…
「お探しの本はこれじゃないかしら?」
僕の腕の上に本がポンっと置かれて振り返ると肩越しに名無し先輩の笑顔があった。
昨日盗み見た二人の姿を思い出して僕は赤面する。
「違った?私の勘違いかな?」
「あっ、いえ、これであってます!ありがとうございます!」
僕は先輩に頭を下げる。
先輩は可愛らしい笑顔で僕を見てニコニコ笑っている。
その時だった。
「名無し先輩!」
名無し先輩の背後を見た僕は急に無表情になる。
僕の顔を見てびっくりした先輩が振り返り、肩をすくめた。
「図書館では静かにしなさい。シリウス。」
「先輩も静かにする柄じゃないでしょ?!」
兄さんは僕をチラっと見ただけで、最初からそこにいなかったようにふるまった。
「名無し先輩、一緒にお茶しにいこう!新しい呪文ができたんだよ……」
兄が先輩の耳元で悪戯そうな表情で囁く。
「えっ?!まさか…例のあれ?!」
「そう。例のやつ。」
名無し先輩も少年のような笑みを浮かべてソワソワしだした。
一体二人はどういう関係なのだろうか。
「レギュラス、もしわからないことあったらいつでも質問しに来て。
昔取ったノートがどこかにあると思うから。」
名無し先輩が僕を振り返って優しく微笑んだ。
兄を見ると面白くなさそうに僕を睨んでいる。
そんな目で見るな。
名無し先輩は僕の先輩だぞ。
「…名無し先輩に迷惑かけんなよ…」
「……。」
僕を空気みたいに扱うくせに、こんな時だけ兄貴面して。
「レギュラスは君みたいに私に迷惑かけません。さぁ、行くわよ!」
僕を気遣うように優しく笑うと、名無し先輩は兄さんの手首を掴んで歩き出した。
「先輩、手首じゃなくて手繋ぎません?」
「お静かに!」
普段女子にちやほやされてもスカした態度の兄が名無し先輩の前ではただの情けない男になってしまっている。
名無し先輩を見て嬉しそうに笑う顔……こっちが恥ずかしくなるじゃないか。
あんな可愛らしい兄を初めて見た僕はおかしくなって吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
僕には最近気になる人がいる。
一緒にいると今まで知らなかった自分を教えてくれる素敵な人だ。