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「ちょっとセブルス、痛いよぉ。」
背後からのんびり言われて僕はカッとして立ち止まった。
「正解を言いましょうか?
そのリングは恋人から貰ったものじゃありません!」
名無し先輩がびっくりした目で僕を見つめる。
「なぁーんだ。バレてたか。」
そう言いながらヘラヘラしている先輩の顔を見ていたら、無性に腹が立つ。
「僕はっ!…僕は先輩が片思いの相手とうまくいったんだと思って…。
でもさっきブラックにそうじゃ無いって話してましたよね?!」
「セブルス、聞いてたの?」
キョトンとした顔で見つめられて僕の顔が熱くなった。
そうだ!もし先輩を大好きでシルバーリングを渡したいと思っている男がいたとしたら?
恋人でも無い奴からもらった指輪をそんな場所につけるなんて…!!!
「紛らわしいことして…失礼じゃ無いですかっ!!!」
苦し紛れに僕は大声を出した。
「…誰に?」
先輩が突然真顔で僕に質問した。
「誰に対して失礼なの?」
「……」
「……」
二人の間に沈黙が走る。
「…だってこれ抜けないんだもん。」
ボソリと先輩がつぶやいて僕を上目遣いに見た。
「すぐ外そうと思ったけど無理なんだもん…朝から石鹸で何回も手洗いしてるけど抜けないんだもん!!!」
少しむくれた表情が面白くて、僕はおもわず吹き出しそうになる。
「誰ですか、取れない指輪の送り主は?」
「同室のミア。
これ手作りなんだよ?!凄いでしょ。」
そう言って先輩は得意そうに笑う。
「どうしてそんな紛らわしい場所なんですか…」
僕は呆れてため息をついた。
「男っ気も色気もないから左手につけてみろって言われて…」
名無し先輩は恥ずかしそうに俯いた。
なんだ。そんなことか。
僕は一人で何をイライラしてたんだろう。
冷静に考えて見ると、この人に恋人ができるとは思えない。
一日中、彼女の奇行に付き合える男などそうそういないはずだ。
「…でも、これのお陰で怒ったセブルスが見れたからラッキー!」
「なっ!!」
「私が誰かのものになっちゃうと思って心配した?!悲しかった?んっ?」
「…ただうっとおしかっただけです…」
「うそうそぉ~!ホッと一安心したのが顔に出ちゃってるよ?」
僕の胸をツンツンつつきながら先輩が可愛らしい笑みを浮かべた。
「先輩、外しましょう!」
「えっ?!」
「僕が引っ張ってみるので、トイレでやってみましょう!ほら、行きますよ!!」
真っ赤になった顔を隠すように僕はまた先輩の腕を掴んで歩き出した。
「お風呂でやってみるからいいよぉ~!」
「ダメです!!さぁ、早く!!」
僕の顔は先輩を引きずりながら自然と笑顔になっていた。
僕の後ろの名無し先輩はもっと笑顔で僕を見つめているとも知らずに。